アンリツ、2027年3月期第2四半期決算、営業利益90%増で通期予想を上方修正
アンリツの2027年3月期第2四半期決算を分析すると、売上収益は前年同期比34.1%増、営業利益は89.8%増、親会社株主に帰属する中間利益は72.0%増と大幅な増収増益でした。生成AI普及を背景にデータセンター関連の計測需要が伸び、食品検査の自動化需要も堅調です。会社は通期予想を上方修正し、年間配当も63円へ引き上げました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 693億円 | +34.1% | 1,450億円 | 48% |
| 営業利益 | 96億円 | +89.8% | 220億円 | 43% |
| 純利益 | 66億円 | +72.0% | 160億円 | 41% |
| 営業利益率 | 13.8% | |||
この決算のポイント
- 1受注高は前年同期比59.6%増の878億円、受注残高も63.1%増と先行需要が拡大
- 2通信計測事業はデータセンター向け需要で営業利益が前年同期比120.2%増
- 3環境計測事業はEV関連投資の遅れで営業損失12億円、のれん減損も計上
- 4通期営業利益予想を従来の200億円から220億円へ上方修正、年間配当は63円
業績のポイント
アンリツ(アンリツ株式会社)は2027年3月期中間期に、売上収益が34.1%増、営業利益が89.8%増、親会社の所有者に帰属する中間利益が72.0%増となりました。受注の拡大を伴う増収増益で、会社は通期予想も引き上げています。
- 通信計測の需要回復: AI利用の広がりを受け、データセンターの高速・大容量化に伴う光トランシーバー向け計測器需要が好調でした。前年に米国の関税政策の影響で先送りされた顧客投資の回復も寄与しました。
- 食品検査の自動化: 人手不足を背景に、食品メーカーの品質検査や省人化投資が継続。北米の食肉市場ではX線検査機の需要を獲得しました。
- 環境計測の減損: EV・電池関連の国内投資が想定より緩やかで、高砂製作所ののれんについて13億円の減損損失を計上しました。
受注高は前年同期比59.6%増、受注残高も63.1%増となり、将来の売上につながる案件が積み上がっています。主力の通信計測事業の伸びが利益成長をけん引する一方、環境計測の採算改善が今後の課題です。
セグメント別動向
通信計測事業は、売上収益が前年同期比36.1%増、営業利益が120.2%増でした。生成AIの普及でデータセンターの通信量が増え、800GEへの更新や次世代の1.6T向け開発が進んでいます。光トランシーバーの生産増強に伴う計測器需要に加え、先送りされていた顧客投資の回復も追い風となりました。
PQA事業は、売上収益が前年同期比16.6%増、営業利益が48.0%増でした。食品メーカーでは人手不足を受け、異物検査や包装品質検査などの自動化・省人化が進んでいます。北米の食肉市場向けX線検査機が堅調で、品質保証への関心の高まりも需要を支えました。
環境計測事業は、売上収益が前年同期比137.4%増となった一方、営業損失が拡大しました。データ収集システムを手掛けるDEWETRON GmbHの連結寄与が増収に貢献しましたが、国内EV・電池向け試験需要の回復遅れと、のれん減損が利益を押し下げました。
- その他: 売上収益は前年同期比0.4%減でしたが、営業利益は54.0%増。センシング&デバイスなどの事業が含まれます。
利益の増減額では、通信計測事業の増益が他事業の動きを大きく上回りました。環境計測事業では、増収だけでなく減損後の収益力回復を確認する必要があります。
- 通信計測+47億円
- PQA+7億円
- 環境計測-12億円
- その他+4億円
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 通信計測 | 421億円 | 61% | 87億円 | 20.6% |
| PQA | 170億円 | 25% | 22億円 | 12.7% |
| 環境計測 | 70億円 | 10% | -13億円 | -18.1% |
| その他 | 33億円 | 5% | 11億円 | 34.8% |
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前期末から増加し、自己資本比率に当たる親会社所有者帰属持分比率は76.5%と高水準を保ちました。営業キャッシュフローは前年同期を上回り、投資後もフリーキャッシュフローはプラスです。
| 項目 | 2027年3月期中間期末・累計 | 比較対象 |
|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 176,241 | 前期末比+2,982 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 76.5% | 前期末76.6% |
| 営業キャッシュフロー(百万円) | 8,841 | 前年同期8,481 |
| 投資キャッシュフロー(百万円) | -2,294 | 前年同期-1,352 |
| フリーキャッシュフロー(百万円) | 6,547 | 前年同期7,128 |
| 有利子負債(百万円) | 7,033 | 前期末6,754 |
配当予想は次の通りです。
| 1株当たり配当 | 2027年3月期予想 | 前期実績 |
|---|---|---|
| 中間配当(円) | 25 | 20 |
| 期末配当(円) | 38 | 30 |
| 年間配当(円) | 63 | 50 |
期末配当は従来予想の25円から13円増額されました。会社は連結配当性向50%以上を目標に、業績に応じて還元する方針です。中間期の自己株式取得支出はほぼなく、今回の株主還元策の中心は増配です。
通期見通し
アンリツは2027年3月期の通期業績予想を上方修正し、売上収益を1,450億円、営業利益を220億円としました。営業利益の予想は従来から10.0%引き上げ、前期実績に対しても48.4%増を見込みます。
| 項目(億円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 1,400 | 1,450 | 1,175 |
| 営業利益 | 200 | 220 | 148 |
| 親会社株主に帰属する当期利益 | 150 | 160 | 117 |
通信計測事業では光トランシーバー生産市場向け需要が計画を上回り、PQA事業では食品品質保証の自動化投資が好調なため、両事業の予想を引き上げました。環境計測事業はEV・電池向け投資の遅れと減損を反映して下方修正しており、強い主力事業が全社予想を押し上げる構図です。会社の下期想定為替レートは1米ドル150円です。
受注・成長投資
受注高は中間期として878億円に達し、前年同期比59.6%増となりました。期末の受注残高も612億円と前年同期比63.1%増で、販売実績だけでなく受注面にも成長の勢いが表れています。
通信計測では、データセンターの高速化を支える800GE関連の更新に加え、1.6T向け光トランシーバーの量産化が始まりました。ネットワーク機器のPCIe Gen6・Gen7や、将来の6G、衛星通信向けの開発需要も見込まれます。こうした規格移行に関わる測定需要は、アンリツにとって中長期の事業機会です。
一方、受注残がそのまま同じ利益率で売上になるとは限りません。会社は当期の研究開発費を110億円と計画し、前期実績から8.1%増を見込んでいます。次世代通信への開発投資を続けながら、受注を納期通りに売上へつなげ、利益率を維持できるかが焦点です。
リスクと課題
通期予想は上方修正されたものの、事業ごとの需要環境には差があります。会社が挙げる経済情勢や為替、競争の変化に加え、環境計測事業の回復ペースが利益を左右します。
- EV・電池投資の遅れ: 国内顧客の投資が想定より緩やかで、環境計測事業の売上・利益が計画を下回る可能性があります。高砂製作所では、のれんの一部について減損損失を計上しました。
- データセンター需要の変動: AI関連の設備投資や800GE・1.6Tへの移行が鈍れば、光トランシーバー向け計測器需要が弱まるおそれがあります。
- 競争と価格下落: 計測器や品質検査装置の競争が激しくなり、価格下落圧力が強まれば、売上が伸びても利益率が低下する可能性があります。
- 為替・地域経済: 海外売上や各地域の経済情勢、為替レートの変動が業績に影響します。会社の下期想定は1米ドル150円で、実際の為替が前提から動けば予想との差につながります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
3,120円
最新終値(2026/10/29)
3,120円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
アンリツをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電機業界の今
掲載59社アンリツは電機業界の掲載59社中、売上高で50位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +20.4%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- +20.3%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 21社下方 2社
- 営業利益率(業界)
- 10.6%
- アンリツ+65.4%
- 電機(業界平均)+20.4%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は32社合計で売上高+12.1%・営業利益+50.6%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は9社、下回る企業は21社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは21社、下方修正は2社。修正幅が最も大きいのはカシオ(営業利益+30.8%)。






タグ#アンリツ#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#通信計測#データセンター#通期予想上方修正#増配
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今回の決算は、AI・データセンター向けの通信計測需要が受注と利益の両面で強く表れた点が際立ちます。受注残の大幅な増加は先行きの支えですが、納入時期や採算が伴うかは引き続き確認したいところです。
一方、環境計測事業ではEV関連投資の遅れが減損損失として表面化しました。通期予想の上方修正と増配は前向きな材料ですが、通信計測への利益依存が強まる中、環境計測の損失縮小と主力需要の持続性が次の決算の注目点です。
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