
富士電機、2027年3月期第1四半期決算、売上高・利益とも過去最高で通期予想を上方修正
売上高
2,733億円
+10.2%
通期予想
1.3兆円
営業利益
250億円
+38.3%
通期予想
1,565億円
純利益
207億円
+89.4%
通期予想
1,115億円
営業利益率
9.2%
富士電機が発表した2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比10%増の2,733億円、営業利益が38%増の250億円となり、過去最高を更新した。エネルギー・インダストリーの旺盛な需要に支えられ、通期業績予想も上方修正。政策保有株式売却の特別利益で純利益は89%増の207億円に急拡大し、全利益項目で四半期最高を達成した。
業績のポイント
富士電機(富士電機)の2027年3月期第1四半期(2026年4月~6月)連結業績は、売上高が2,733億円(前年同期比10.2%増)、営業利益が250億円(同38.3%増)と、第1四半期としていずれも過去最高を更新した。
売上高の伸びは、エネルギー関連の工事進行案件の進捗やエネルギーマネジメント需要増、インダストリーのFAコンポーネント・ITソリューションなどの好調が牽引。半導体は電装分野の減速や原材料高で営業減益となったが、産業向けは堅調。食品流通は自販機需要減が響いた。
損益面では、人件費増や原材料高があったものの、売上増効果で吸収。営業利益は69億円増、経常利益は82億円増の256億円。親会社株主に帰属する純利益は、政策保有株式売却による特別利益約70億円の計上で207億円(同89.4%増)と急伸し、3つの利益すべてで過去最高となった。
業績推移(通期)
セグメント別動向
部門別では、エネルギーとインダストリーが大幅伸長。半導体と食品流通は減益となった。
- エネルギー(売上高825億円、営業利益121億円)
発電プラントの工事進捗増やエネルギーマネジメントでの蓄電システム・変電機器の大口案件増加が寄与。施設・電源システム分野では前期のデータセンター向け反動で減収も、営業利益は案件差で増益。設備工事も需要増と原価低減で増収増益。
- インダストリー(売上高1,039億円、営業利益85億円)
FAコンポーネントの国内外需要増に加え、鉄鋼向け自動化、ITソリューションの民需・文教大口案件が拡大。器具分野も値上げ効果で増益。一方、社会ソリューション(鉄道車両)は増収も案件差で減益。
- 半導体(売上高544億円、営業利益31億円)
モータードライブ向けなど産業用が為替影響もあり増収。電動車(xEV)向けパワー半導体の需要減と原材料高で全体では18億円の営業減益。SiCパワー半導体への設備投資は継続。
- 食品流通(売上高261億円、営業利益27億円)
国内自販機の需要減が響き減収減益。コンビニ向けカウンター機材は好調。
- その他(売上高150億円、営業利益9億円)
金融サービスや不動産などが含まれ、小幅増。
| 部門 | 売上高(億円) | 営業利益(億円) | 営業利益率 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|
| エネルギー | 825 | 121 | 14.7% | 30.2% |
| インダストリー | 1,039 | 85 | 8.2% | 38.0% |
| 半導体 | 544 | 31 | 5.7% | 19.9% |
| 食品流通 | 261 | 27 | 10.3% | 9.6% |
| その他 | 150 | 9 | 6.0% | 5.5% |
| 消去・全社 | △87 | △23 | - | - |
| 合計 | 2,733 | 250 | 9.2% | 100% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| エネルギー | 825億円 | 30% | 121億円 | 14.7% |
| インダストリー | 1,039億円 | 38% | 85億円 | 8.2% |
| 半導体 | 544億円 | 20% | 31億円 | 5.7% |
| 食品流通 | 261億円 | 10% | 27億円 | 10.3% |
| その他 | 150億円 | 6% | 9億円 | 6.0% |
通期見通し(上方修正)
第1四半期の好調を受け、2027年3月期の通期連結業績予想を上方修正した。
売上高は従来予想比250億円増の1兆3,000億円、営業利益は140億円増の1,565億円、純利益は65億円増の1,115億円へと引き上げられた。
下期為替レートは1ドル=150円、1ユーロ=175円、1人民元=21.9円を前提としている。
| 項目 | 前回予想 (2026年4月28日) | 今回修正予想 | 前期実績 (2026年3月期) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆2,750億円 | 1兆3,000億円 | 1兆2,267億円 |
| 営業利益 | 1,425億円 | 1,565億円 | 1,358億円 |
| 純利益 | 1,050億円 | 1,115億円 | 981億円 |
中間期(2026年4月~9月)予想も、売上高5,940億円、営業利益580億円、純利益400億円へと大幅に引き上げられた。
財務状況と資本政策
第1四半期末の総資産は1兆3,578億円(前期末比489億円減)。売掛金の減少が主因。有利子負債は864億円で、ネット有利子負債(現預金控除後)は130億円と、実質無借金に近い水準を維持。D/Eレシオは0.1倍、ネットD/Eは実質ゼロと財務安全性は高い。
キャッシュ・フローは、営業活動で515億円の収入(前年同期111億円)。投資活動は72億円の支出に留まり、フリー・キャッシュフローは444億円のプラスへと大幅改善(前年同期は106億円のマイナス)。
株主還元では、自己株式取得(210億円)と配当支払(161億円)を実施。中間配当予想は前年同期比16円増の107円。通期配当予想は未定だが、上方修正と自社株買いから増配期待が強い。
リスクと課題
富士電機が認識する主なリスクは以下の通り。
- 地政学リスクと原材料価格:銅や銀等の高騰が続き、インダストリーや半導体の利益を圧迫。為替も円安効果はあるが、海外生産コスト増の要因に。
- 半導体電装分野の停滞:xEV向けパワー半導体の需要減が顕在化。SiC投資は将来を見据えるが、市況回復には時間を要する可能性。
- 公正取引委員会の調査:2026年7月14日、冷凍冷蔵設備に関し独禁法違反の疑いで立入検査を受けた。影響額は未定だが、レピュテーションリスクや制裁金の可能性が懸念される。
- 競争環境:データセンター向けなど成長分野では競合との差別化と生産能力増強が不可欠。国内変圧器や電源盤の設備増強を進めているが、需要変動リスクも残る。
研究開発・設備投資の動向
研究開発費は99億円(前年同期比9.2%増)と、引き続き売上比3.6%を投下。エネルギーのGX関連、インダストリーのデジタル化、半導体のSiCパワー半導体など成長分野に重点配分。
設備投資は73億円(前年同期124億円)と41%減。半導体の設備投資が90億円→28億円と大きく減少したが、これは将来の需要拡大を見据えた先行投資の一巡と需要減への対応。一方、エネルギーの変圧器・開閉装置、電機盤等の生産能力増強は継続しており、通期では264億円を計画(前年同期比13.7%減)。
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今回の決算のポイントは、エネルギー・インダストリーの需要が想像以上に強い点だ。データセンターや再生可能エネルギー投資が追い風となり、売上・利益とも過去最高を更新。通期上方修正はポジティブだが、半導体の電装分野の落ち込みや独禁法調査といったネガティブ材料もある。
注目は、自社株買いと大幅増配の可能性。中間配当は107円に増額され、通期でも過去最高配当更新の期待が高まる。一方、SiCパワー半導体の設備投資が減ったのは一時的な需給調整か、競争力確保の観点からは中長期的な動向を注視したい。
全体的には、構造的なエネルギー関連需要の拡大が収益を支えており、来期以降も成長が続く可能性が高い。
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https://www.gyokaidigest.com/companies/fuji-electric/report/2027-Q1
