インフォマート、2026年12月期第3四半期決算、営業利益41%増で通期予想維持

インフォマートの2026年12月期第3四半期決算を分析すると、1〜9月の売上高は前年同期比10.5%増、営業利益は40.9%増、純利益は31.4%増となりました。企業間取引のデジタル化を追い風に利用企業が増え、サーバー移行完了による費用減も利益を押し上げました。通期予想は据え置き、飲食店向けサービスを広げる買収も実施しています。

決算の数字第3四半期累計
期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 153億円 | +10.5% | 213億円 | 71% |
| 営業利益 | 34億円 | +40.9% | 50億円 | 68% |
| 純利益 | 20億円 | +31.4% | 31億円 | 64% |
| 営業利益率 | 22.2% | |||
この決算のポイント
- 1BtoB-PF ES事業は料金改定と利用拡大で売上高が前年同期比14.3%増
- 2BtoB-PF FOOD事業は売上高8.4%増、営業利益39.2%増と伸長
- 3第三者割当増資などで財務基盤を強化、自己資本比率は89.2%
- 4年間配当予想は6.58円で、前期実績の5.44円から増配の見込み
- 5K&Cファクトリーを子会社化し、飲食店向け経営支援を拡充
業績のポイント
2026年1〜9月の売上高は152億5,300万円で前年同期比10.5%増、営業利益は33億9,300万円で40.9%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は19億7,300万円で31.4%増でした。売上高の増加に加え、クラウド基盤の移行完了などで原価が抑えられ、営業利益率は前年同期の約17.4%から約22.2%へ上昇しました。
- 売上の伸び: BtoBプラットフォームの利用企業数が拡大し、売上高は前年同期から14億4,900万円増えました。
- 原価の抑制: 残存サーバーのクラウド移行を完了し、データセンター費用が減少しました。請求書事業では開発費の資産計上により償却費も減っています。
- 販管費の増加: 人材確保に向けた賃金体系・賃金水準の改善で人件費が増えた一方、タノム社ののれん償却費は減少しました。
- 一時的な費用: 新規契約獲得に向けたセールスパートナーへの強化策で、顧客紹介手数料が増加しました。
増収と原価抑制が利益成長を後押しした決算です。前年同期比では売上高の伸びを営業利益の伸びが上回り、利益率も改善しました。一方、持分法による投資損失や投資有価証券評価損も発生しており、営業外・特別損益には投資関連の変動が表れています。
セグメント別動向
BtoB-PF FOOD事業は売上高95億400万円(前年同期比8.4%増)、営業利益30億8,700万円(39.2%増)でした。外食チェーンやホテル、給食事業者などで受発注サービスの利用が増え、TANOMUも営業強化を通じて利用が拡大しました。利用企業数と流通金額の増加が、システム使用料の伸びにつながっています。
BtoB-PF ES事業は売上高57億4,900万円(前年同期比14.3%増)、営業利益3億600万円(61.6%増)でした。請求書サービスでは大手企業やグループ企業の導入・稼働が進み、2025年4月の料金改定も売上を押し上げました。TRADEも営業活動の強化で有料利用企業が増え、データセンター費用の低減も利益増に寄与しました。
両事業とも増収増益ですが、増収率はES事業が上回り、営業利益の規模はFOOD事業が大きくなっています。FOOD事業では受発注に加え、飲食店の経営管理まで支援範囲を広げる動きがあり、ES事業では請求書のデジタル化と料金改定が成長を支えています。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| BtoB-PF FOOD事業 | 95億円 | 62% | 31億円 | 32.5% |
| BtoB-PF ES事業 | 57億円 | 38% | 3億円 | 5.3% |
財務状況と資本政策
9月末の総資産は336億7,300万円、自己資本比率は89.2%でした。第三者割当増資と自己株式の処分を行ったことで純資産が増え、現金及び現金同等物も大きく積み上がっています。
| 項目 | 2026年9月末・1〜9月 | 比較対象 |
|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 33,673 | 2025年末 18,172 |
| 自己資本比率 | 89.2% | 2025年末 66.8% |
| 営業CF(百万円) | 2,152 | 前年同期 2,886 |
| 投資CF(百万円) | -5,027 | 前年同期 -2,732 |
| 財務CF(百万円) | 14,317 | 前年同期 289 |
| 現金及び現金同等物(百万円) | 17,598 | 2025年末 6,155 |
| 年間配当予想(円) | 6.58 | 前期実績 5.44 |
財務CFの増加は、第一生命ホールディングス(現・第一ライフグループ)を割当先とする新株発行と自己株式処分が主因です。投資CFでは関係会社株式の取得やシステム開発への支出があり、営業CFは法人税の支払い増などで前年同期を下回りました。自社株買いの発表はなく、年間配当は中間3.29円、期末予想3.29円で、前期から増配となる計画です。
通期見通し
2026年12月期の業績予想は据え置き、売上高213億4,800万円、営業利益50億円、純利益30億9,700万円を見込みます。営業利益は前期比74.6%増の計画で、9カ月累計の実績は通期予想に対して約68%まで進みました。
| 項目(百万円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績(概算) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 21,348 | 21,348 | 約18,809 |
| 営業利益 | 5,000 | 5,000 | 約2,864 |
| 純利益 | 3,097 | 3,097 | 約1,921 |
前回予想と今回予想に変更はありません。前期実績は、短信に記載された通期予想の前年比から逆算した概算です。両事業の利用拡大や請求書サービスの料金改定に加え、データセンター費用の抑制を見込む一方、人件費や郵送代行・スキャンなどの手数料は増加する想定です。売上成長でこれらの費用増を吸収し、増益を目指す計画です。
戦略トピック
インフォマートは2026年9月30日、飲食店向け経営管理システム「ぴかいちナビ」を手掛けるK&Cファクトリーの株式80.0%を取得し、連結子会社化しました。取得対価は5億7,500万円で、当第3四半期累計の損益には取得後の業績を含んでいません。
- サービス領域の拡大: 受発注や仕入・原価管理に、飲食店の売上や食材費・人件費の管理を加えます。
- 顧客基盤とデータの連携: 両社のサービスや顧客基盤を組み合わせ、店舗運営の効率化と高度化を目指します。
- 中長期の成長投資: データとAIを活用した次世代の経営支援基盤を構築し、顧客単価の向上につなげる方針です。
この買収は、飲食店向けの既存サービスを補完し、プラットフォームの利用価値を高める狙いがあります。取得に伴うのれんは5億8,100万円で、暫定計上され、9年間で均等償却する計画です。
リスクと課題
国内BtoB-EC市場の拡大は追い風ですが、企業の投資判断やコスト環境が変われば、利用拡大や利益計画に影響する可能性があります。決算短信で示された事業・財務上の論点は次の通りです。
- 景気・コスト環境: エネルギー・原材料価格の高止まりや物価上昇、金融政策の変更に伴う利上げなどが企業活動に影響し、顧客のデジタル投資が鈍る可能性があります。
- 成長費用の増加: 人材の拡充や顧客獲得施策で人件費・紹介手数料が増えています。売上の伸びが費用増を下回れば、利益率の改善が止まる懸念があります。
- 投資先の評価変動: 当期は持分法による投資損失や投資有価証券評価損を計上しました。投資先の業績や保有株式の評価によって、営業利益以外の損益が変動する可能性があります。
- 買収後の統合と収益化: K&Cファクトリーなどの投資では、サービスや顧客基盤の連携を進め、取得費用やのれんに見合う成長効果を実現できるかが課題です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
766円
最新終値(2026/10/30)
766円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
インフォマートをライバルと比較
年収・業績・株価を並べてITサービス業界の今
掲載31社インフォマートはITサービス業界の掲載31社中、売上高で29位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +4.6%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +29.6%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 9社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 14.5%
- インフォマート+133.5%
- ITサービス(業界平均)+4.6%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第2四半期累計は11社合計で売上高+10.5%・営業利益+14.1%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は2社、下回る企業は11社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは9社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのはAppier(営業利益+16.7%)。





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売上高の伸び以上に営業利益が増え、サーバー移行完了によるコスト低下も利益率改善に効いています。クラウド基盤の整備が一巡した後も、利用企業の拡大と料金改定で成長を続けられるかが、収益力の持続性を測るポイントです。
K&Cファクトリーの子会社化は、受発注から店舗経営管理まで支援範囲を広げる一手です。買収の損益寄与は今期累計に含まれていないため、今後はサービス連携が顧客単価や継続利用にどう表れるかに注目したいです。
資本増強で財務余力は高まりましたが、資金増加には第三者割当増資と自己株式処分の影響があります。成長投資を利益成長につなげながら、増配を含む株主還元とのバランスを維持できるかが焦点です。
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