日清製粉G、2027年3月期第2四半期決算、純利益76%増も本業は横ばい
日清製粉Gの2027年3月期第2四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比2.4%増、営業利益は0.8%増と小幅な増収増益でした。政策保有株式の縮減や前年の減損損失の反動で中間純利益は75.8%増えた一方、天候不順やコスト上昇で中食・惣菜事業は減益です。通期の売上高予想を上方修正し、年間増配と自己株式取得も決めました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,418億円 | +2.4% | 9,000億円 | 49% |
| 営業利益 | 228億円 | +0.8% | 460億円 | 50% |
| 純利益 | 182億円 | +75.8% | 410億円 | 44% |
| 営業利益率 | 5.2% | |||
この決算のポイント
- 1海外製粉の出荷増で製粉事業の売上高は2,279億円、前年同期比7.7%増となった。
- 2中食・惣菜事業は天候不順とコスト高で営業利益23億円、前年同期比30.9%減。
- 3通期売上高予想を8,700億円から9,000億円へ上方修正、利益予想は据え置いた。
- 4年間配当は65円へ前期から5円増配予定、上限200億円の自己株式取得を決議した。
業績のポイント
日清製粉G(日清製粉グループ本社)の中間期は、売上高が4,417億円(前年同期比2.4%増)、営業利益が228億円(同0.8%増)、親会社株主に帰属する中間純利益が181億円(同75.8%増)でした。最終利益は大幅増、本業利益は横ばいとなり、利益の伸びには前年同期の一時的な損失の反動も含まれます。
- 増収の主因: 米国の生産体制強化による海外製粉の出荷増と為替換算の影響が売上高を押し上げました。
- 営業利益の支え: 海外製粉の出荷増や酵母・健康・バイオ事業の出荷増、食品事業の価格改定が寄与しました。
- 利益を抑えた要因: 中東情勢の影響による原材料・エネルギーなどのコスト上昇に加え、中食・惣菜事業の販売が天候不順で低調でした。
- 純利益の押し上げ要因: 政策保有株式の売却を進めたほか、前期に計上したインドイースト事業の減損損失の反動がありました。
売上高と営業利益は伸びたものの、経常利益は240億円(前年同期比3.0%減)でした。持分法による投資利益の減少などが響いており、最終利益の増加率だけでは通常の稼ぐ力を判断しにくい決算です。円安や小麦相場の上昇は売上高を押し上げる一方、原材料費などの上昇にもつながるため、下期は価格転嫁とコスト管理が焦点になります。
セグメント別動向
製粉事業は売上高2,279億円、営業利益140億円でした。国内は拡販で出荷が前年を上回り、政府売渡価格の引き上げや輸送費・人件費の上昇を受けて業務用小麦粉を価格改定しました。米国の生産体制強化による出荷増と為替換算も業績を支えました。
食品事業は売上高1,088億円、営業利益45億円でした。価格改定や海外業務用プレミックスの好調に加え、パン酵母などの出荷増が利益に寄与しました。一方、培養用基材の出荷は減少しており、事業内で強弱が分かれています。
中食・惣菜事業は売上高812億円、営業利益24億円と、主要事業の中で利益の落ち込みが目立ちました。天候不順による販売低調に各種コスト上昇が重なり、利益率も低下しました。その他事業は大型工事の反動で売上高238億円、営業利益23億円となりました。
製粉事業では水島工場を中核にデジタル技術を使った自動化・省人化を進め、コスト低減を目指しています。食品事業では「マ・マー レンジでもち旨! やみつき麺」シリーズを発売し、即食需要を取り込みます。下のグラフはセグメント別営業利益の前年同期比で、食品の伸びに対し中食・惣菜の落ち込みが大きく、事業ごとの収益差が鮮明です。
- 製粉+6.3%
- 食品+22.1%
- 中食・惣菜-30.9%
- その他-11.0%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 製粉 | 2,279億円 | 52% | 140億円 | 6.1% |
| 食品 | 1,088億円 | 25% | 45億円 | 4.1% |
| 中食・惣菜 | 812億円 | 18% | 24億円 | 2.9% |
| その他 | 238億円 | 5% | 23億円 | 9.7% |
財務状況と資本政策
9月末の総資産は8,455億円と前期末から42億円減少しましたが、自己資本比率は61.9%と前期末の61.1%から上昇しました。営業キャッシュフローは前年同期を下回ったものの、営業活動による資金収入を維持しています。
| 項目(億円) | 2026年3月期中間期・期末 | 2027年3月期中間期・9月末 |
|---|---|---|
| 営業キャッシュフロー | 344.5 | 325.6 |
| 投資キャッシュフロー | -265.5 | -270.5 |
| 財務キャッシュフロー | -181.0 | -181.8 |
| 現金同等物期末残高 | 820.8 | 777.8 |
設備投資など有形・無形固定資産の取得に249.6億円を投じ、配当支払と自己株式取得もあったため、現金同等物は前期末比で減少しました。財務活動では配当支払が84.3億円、自己株式取得が24.9億円でした。
| 1株当たり配当(円) | 2026年3月期 | 2027年3月期予想 |
|---|---|---|
| 中間 | 30 | 32 |
| 期末 | 30 | 33 |
| 年間 | 60 | 65 |
会社は配当性向を「50%目安」とする方針のもと、年間配当を前期から5円増額する計画です。さらに、株主還元の充実と資本効率の向上を目的に、取得総額200億円、上限1,400万株(自己株式を除く発行済み株式の5.00%)の自己株式取得を決議しました。
通期見通し
2027年3月期の売上高予想は9,000億円へ引き上げました。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の予想は据え置きで、売上高の上方修正がそのまま利益予想の引き上げにはつながっていません。
| 項目(億円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 8,700 | 9,000 | 8,650 |
| 営業利益 | 460 | 460 | 467 |
| 経常利益 | 490 | 490 | 514 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 410 | 410 | 326 |
売上高予想は前回から300億円、3.4%増額し、前期比では4.0%増を見込みます。円安基調と小麦相場の高騰を反映した修正で、利益予想は営業利益が前期比1.5%減、経常利益が4.7%減、純利益が25.8%増のままです。
1株当たり当期純利益の予想は、自己株式取得の影響を織り込み148.02円としました。下期は円安や原料高が売上規模を押し上げる一方、コスト上昇をどこまで価格に反映できるか、また中食・惣菜の販売が回復するかが、利益計画の達成を左右します。
戦略トピック
日清製粉Gは、2026年度の優先課題としてインフレ対抗策、事業ポートフォリオの見直しと成長戦略、危機対応力を高めるガバナンス体制の構築を掲げています。取締役会は本年の定時株主総会後から社外取締役が過半数を占める体制に移りました。
- 北米製粉の拡大: 米国の生産体制を強化して出荷を伸ばし、今後も成長投資を続けて北米市場での拡大を目指します。
- プレミックスの生産能力増強: 米国Medallion Foodsに新たな製造ラインを導入することを決め、北米事業の拡大につなげます。
- 中食・惣菜の開発基盤: トオカツフーズを事業持株会社とする体制に変更しました。京都府宇治市の新工場は2027年6月ごろの稼働を予定し、東京・用賀の開発拠点も本年度中の竣工を目指しています。
国内では日清製粉の水島工場を中核に自動化と省人化を進め、安定供給と生産性向上の両立を狙います。食品事業では大谷翔平選手を起用した販売促進を続けるほか、即食需要に応える新商品も投入しました。成長投資を進める一方、原料・エネルギー価格の変動下で投資効果を利益に結びつけられるかが今後の評価点です。
リスクと課題
会社は円安や中東情勢の不安定化などを背景に、原材料・エネルギー価格や資材コストの上昇が続くと説明しています。消費者の生活防衛意識も高く、価格改定と販売数量の維持を両立できるかが課題です。
- 原材料・エネルギー高: 小麦相場の高騰や円安は仕入れ費用を押し上げます。価格転嫁が遅れれば、製粉・食品事業の利益率を圧迫します。
- 中東情勢と為替変動: 地政学リスクや為替の変化で原料・燃料・輸送費が変動し、調達コストや海外事業の円換算額に影響します。
- 天候不順と消費の弱さ: 中食・惣菜事業では天候不順が販売低調の主因となりました。物価高による節約志向が続けば、販売数量の回復が遅れる可能性があります。
- 海外事業の競争と投資回収: 前期はインドイースト事業で、原材料・燃料高や競争激化、価格転嫁の遅れを背景に減損損失を計上しました。北米などへの成長投資では、需要拡大と収益性の確保が必要です。
複数の事業で価格改定を進める一方、価格上昇が販売量を弱める可能性もあります。原料コストの吸収、天候に左右されにくい商品開発、海外投資の収益管理が、下期以降の業績を見極めるうえで重要です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/28)
2,012円
最新終値(2026/10/28)
2,012円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/28更新
日清製粉Gをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて食品・飲料業界の今
掲載39社日清製粉Gは食品・飲料業界の掲載39社中、売上高で11位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +14.0%全業界 +17.1%
- 今期計画 営業利益
- +10.9%全業界 +11.4%
- 予想の上方修正
- 5社下方 5社
- 営業利益率(業界)
- 7.7%
- 日清製粉G+14.6%
- 食品・飲料(業界平均)+14.0%
- 全業界+17.1%
- 足元の業績今期第1四半期累計は23社合計で売上高+5.9%・営業利益+15.3%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は10社、下回る企業は5社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは5社、下方修正は5社。修正幅が最も大きいのはダイドー(営業利益+17.1%)。





タグ#日清製粉G#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#製粉事業#自己株式取得#増配#中食・惣菜
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売上高の上方修正と純利益の大幅増は目を引きますが、営業利益の伸びは小さく、利益の質を分けて見る必要があります。純利益には前年のインドイースト事業の減損損失の反動が含まれ、経常利益は減少しました。
北米製粉への投資と自己株式取得を同時に進める姿勢は、成長と株主還元の両立を狙うものです。今後は、原料高を販売価格に反映しながら中食・惣菜の採算を戻せるか、そして北米の増産投資が持続的な利益成長につながるかに注目します。
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