
双日、2027年3月期第1四半期決算、収益39%増、税引前65%増
売上高
8,342億円
+39.3%
営業利益
-
純利益
302億円
+43.4%
通期予想
1,300億円
営業利益率
-
双日の2027年3月期第1四半期決算は、収益39.3%増の8,342億円、税引前四半期利益64.8%増の411億円と大幅増収増益となった。特に化学セグメントがメタノール価格上昇や日本エイアンドエルの利益貢献で急伸、エネルギー・総合インフラも海外インフラ事業の連結効果が寄与した。
業績のポイント
双日(双日株式会社)は、2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)決算で、大幅増収増益を達成した。収益合計は前年同期比39.3%増の8,342億49百万円、売上総利益は35.4%増の1,113億47百万円、税引前四半期利益は64.8%増の411億17百万円に急拡大した。親会社の所有者に帰属する四半期純利益も43.4%増の302億22百万円となり、1株当たり利益は144円72銭(前年同期100円30銭)に上昇した。
増収の主因は、電力・ガス小売事業の連結子会社化や省エネ関連事業の取引増加を背景としたエネルギー・総合インフラ部門の拡大、及び各種化学品の取引増加と市況上昇による化学部門の躍進だ。利益面では、売上総利益の増加に加え、持分法投資損益が前年同期の108億円から140億59百万円へと大きく伸びたことが、税引前利益を押し上げた。また、FVTOCI金融資産や在外子会社の換算差額がプラスに働き、四半期包括利益は766億2百万円と前年同期の43億円から約18倍に膨らんだ。
四半期純利益は法人所得税費用を差し引き323億57百万円(前年同期比47.4%増)で、非支配持分を除いた親会社帰属分が302億円強。7つの報告セグメントすべてが前年同期比で黒字化は維持したものの、金属・資源・リサイクルと生活産業・アグリビジネスは減益となっており、セグメント間で明暗が分かれた。
業績推移(通期)
セグメント別動向
セグメント別の親会社帰属四半期純利益は以下の通り。前年同期比で化学、リテール・コンシューマーサービス、エネルギーが大幅増益となった一方、金属・資源と生活産業が減益となった。
| セグメント | 収益合計 (百万円) | 親会社帰属利益 (百万円) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 自動車 | 104,151 | -344 | 損失縮小 |
| 航空・交通インフラ | 21,586 | 3,391 | +10.5% |
| エネルギー・総合インフラ | 191,078 | 6,858 | +57.0% |
| 金属・資源・リサイクル | 131,813 | 2,130 | -31.3% |
| 化学 | 190,108 | 11,053 | +89.5% |
| 生活産業・アグリビジネス | 101,359 | 2,652 | -23.2% |
| リテール・コンシューマーサービス | 80,494 | 4,307 | +374.7% |
自動車は前期の赤字事業撤退効果と中南米自動車販売事業の継続的な利益貢献により損失が縮小。航空・交通インフラは豪州公共交通事業の新規連結と海外工業団地での引き渡し増加が寄与し増益。エネルギー・総合インフラは豪州インフラ開発事業の新規連結と米国省エネ関連事業の取引増加で収益が急拡大し、利益も57%増加。
金属・資源・リサイクルは主に豪州原料炭事業における生産効率の低迷により減益。一方、化学セグメントが大幅増益。メタノール価格の上昇に加え、日本エイアンドエルの利益貢献や国内外トレードの堅調な推移が追い風となり、前年同期比89.5%増の110億53百万円を計上した。生活産業・アグリビジネスは海外肥料事業で少雨による作付遅れが取扱数量減少を招き減益。リテール・コンシューマーサービスは煙草取引とベトナム業務用食品卸売事業の好調で374.7%増と急回復を見せた。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 自動車 | 1,042億円 | 13% | -344百万円 | - |
| 航空・交通インフラ | 216億円 | 3% | 34億円 | - |
| エネルギー・総合インフラ | 1,911億円 | 23% | 69億円 | - |
| 金属・資源・リサイクル | 1,318億円 | 16% | 21億円 | - |
| 化学 | 1,901億円 | 23% | 111億円 | 5.8% |
| 生活産業・アグリビジネス | 1,014億円 | 12% | 27億円 | 2.6% |
| リテール・コンシューマーサービス | 805億円 | 10% | 43億円 | 5.3% |
財務状況と資本政策
当第1四半期末の総資産は3兆7,304億22百万円で前期末比824億円増加。持分法投資の増加や新規連結が主因。負債合計は2兆5,162億24百万円で220億円増加し、有利子負債(リース負債除く)が新規調達により膨らんだ。自己資本比率は30.7%(前期末29.9%)に改善したが、ネット有利子負債は1,315億円増の1兆1,711億3百万円、ネット有利子負債倍率は1.02倍となった。
キャッシュ・フローでは、営業活動による支出が572億79百万円(前年同期は7億円の支出)と運転資金の増加が響いた。投資活動では金融ソリューション事業出資などで419億17百万円の支出。財務活動では借入増により935億74百万円の収入となった。現金及び現金同等物の期末残高は2,421億5百万円。
配当は、安定配当と累進的な方針を維持。2027年3月期は中間90円、期末90円の年間180円(前期比15円増配)を予定。中期経営計画に基づき、基礎的営業キャッシュ・フローの3割程度を株主還元に充当し、株主資本DOE4.5%を目指す。当四半期も、円貨1,000億円・外貨24.75億米ドルのコミットメントラインを確保し、流動性は十分に確保している。
リスクと課題
業績の変動要因として、以下のリスクが挙げられる。
- 資源価格(石炭、メタノール等)や為替の変動が、主に金属・資源、化学セグメントの収益に直接影響を与える。
- 豪州原料炭事業における生産効率の低迷は、地質リスクや労務問題を含む構造的課題の可能性があり、継続的なモニタリングが必要。
- 生活産業・アグリビジネスは天候リスクに晒されており、肥料需要や作物生産に影響が及ぶ。
- エネルギー事業では、新規連結した事業の収益安定性や規制変更リスクが潜在する。
- 金利上昇による金融費用増加圧力。第1四半期の支払利息は前年同期比39.9%増の93億67百万円に達しており、有利子負債拡大のコストを注視する必要がある。
- 為替前提は通期150円/ドルで設定されているが、円高進行時には輸出関連や海外事業の収益にマイナスとなる。
通期見通し
2027年3月期の通期連結業績予想は、期初計画から変更なし。主な前提は為替レート1ドル=150円。
| 項目 | 通期予想 |
|---|---|
| 売上総利益 | 4,400億円 |
| 税引前利益 | 1,700億円 |
| 当期純利益(当社株主帰属) | 1,300億円 |
第1四半期の実績は、売上総利益で通期予想の25.3%(1,113億円/4,400億円)、親会社帰属純利益で23.2%(302億円/1,300億円)の進捗率となった。化学やエネルギーの好調が続けば、上振れの可能性もあるが、資源セグメントの低迷や不透明なマクロ環境を踏まえ、会社側は通期見通しを据え置いている。今後の市況動向と豪州原料炭事業の生産回復が鍵を握る。
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双日は多角的ポートフォリオを活かし、化学やエネルギーが好調で全体をけん引した。しかし、資源セグメントの減益や運転資金増加による営業CFの悪化は懸念材料である。為替や市況に左右されやすい事業構造であり、今後のコスト管理と成長投資のバランスが問われる。引き続き、豪州原料炭事業の生産効率改善や、新規連結事業の収益安定化が中期目標達成の鍵を握る。
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