東映アニメ、2027年3月期第2四半期決算、版権好調も営業利益8.9%減

東映アニメの2027年3月期第2四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比3.7%増の466億円と増収でしたが、営業利益は8.9%減の151億円となり、増収減益でした。海外版権や劇場アニメが売上を支えた一方、映像製作・販売事業の減益と販管費の増加が利益を押し下げました。通期予想は据え置きで、売上成長と利益回復の両立が焦点です。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 466億円 | +3.7% | 982億円 | 47% |
| 営業利益 | 152億円 | -8.9% | 264億円 | 57% |
| 純利益 | 119億円 | -8.4% | 200億円 | 59% |
| 営業利益率 | 32.5% | |||
この決算のポイント
- 1版権事業は海外の商品化権・ゲーム化権が伸び、売上高が前年同期比6.0%増の250億円
- 2映像製作・販売事業は売上高が4.9%減、セグメント利益は32.0%減の44億円
- 3商品販売事業はドラゴンボールのショップとプリキュアのECが寄与し、売上高24.0%増
- 4通期予想は売上高982億円、営業利益264億円で据え置き、年間配当予想は44円
- 5総資産は前期末比3.2%増の2087億円、自己資本比率は84.4%を維持
業績のポイント
東映アニメ(東映アニメーション)の2027年3月期中間期は、売上高が前年同期比3.7%増の466億12百万円となる一方、営業利益は8.9%減の151億61百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は8.4%減の118億93百万円でした。増収でも販管費の伸びが利益を圧迫し、売上増が利益増につながらない決算となりました。
- 売上総利益: 252億3百万円と前年同期比1.6%増えましたが、販管費は100億42百万円と22.8%増加しました。
- 営業利益: 前年同期から14億77百万円減少し、営業利益率は前年同期の約37.0%から32.5%に低下しました。
- 経常利益: 161億82百万円と前年同期比9.6%減少しました。前年にあった投資有価証券売却益も当期はなく、純利益の前年割れにつながりました。
主力の「ワンピース」「ドラゴンボール」シリーズなどが収益を支え、売上高は前年同期の減収から増収に転じました。一方、売上原価に加えて販売費及び一般管理費も増え、売上の伸びを利益に結び付けられていません。利益率の回復には、作品や権利の販売拡大だけでなく、販管費の増加を吸収できる収益構造づくりが課題です。
セグメント別動向
売上の柱である版権事業が増収増益となり、商品販売やイベントも伸びました。一方、映像製作・販売事業は減収減益で、セグメントごとに明暗が分かれています。以下のセグメント売上高は、短信記載のセグメント間取引を含む数値です。
版権事業は、売上高250億83百万円(前年同期比6.0%増)、セグメント利益130億13百万円(同0.3%増)でした。海外で「ワンピース」の商品化権、「デジモンアドベンチャー」シリーズの商品化権・ゲーム化権が好調でしたが、国内では「ドラゴンボール」や「ワンピース」のゲーム化権販売が前年の勢いに届きませんでした。
映像製作・販売事業は、売上高152億40百万円(同4.9%減)、セグメント利益44億25百万円(同32.0%減)でした。「映画名探偵プリキュア!不思議な庭と2人の秘密」の稼働やテレビアニメの新作話数増、ゲーム向け音声制作はプラス材料でしたが、「ガールズバンドクライ」の映像ソフト販売の反動減や、アジアの配信権契約更新・見直しが響きました。
- 商品販売事業: 売上高44億56百万円(前年同期比24.0%増)、利益3億61百万円(同9.5%増)。「ドラゴンボール」のショップと「プリキュア」のECが好調でした。
- その他事業: 売上高21億68百万円(同15.4%増)、利益2億31百万円(同274.5%増)。「プリキュア」「ワンピース」などの催事やキャラクターショーが伸びました。
版権事業は全社売上の過半を占め、海外での権利販売が成長を支える一方、映像製作・販売事業の利益減少が連結利益を押し下げました。作品の人気を商品化やゲーム化、配信など複数の収益機会につなげる力が、今後の業績を左右します。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 映像製作・販売事業 | 152億円 | 33% | 44億円 | 29.0% |
| 版権事業 | 251億円 | 53% | 130億円 | 51.9% |
| 商品販売事業 | 45億円 | 10% | 4億円 | 8.1% |
| その他事業 | 22億円 | 5% | 2億円 | 10.7% |
財務状況と資本政策
総資産は2026年3月末から3.2%増の2087億72百万円となり、自己資本比率は84.4%と高い水準を保ちました。現金及び預金の増加や利益剰余金の積み上がりが財務を支えています。
| 項目 | 2026年9月末 | 前期末比・状況 |
|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 208,772 | +3.2% |
| 純資産(百万円) | 176,191 | +3.0% |
| 自己資本比率 | 84.4% | 前期末 84.6% |
| 現金及び預金(百万円) | 97,035 | +4,287百万円 |
| 年間配当予想(円) | 44 | 前期実績 44円 |
短信にはキャッシュ・フロー計算書の数値は掲載されていません。現金及び預金は前期末から42億87百万円増えた一方、自己株式は「株式付与ESOP信託」の導入に伴い5億円増加しました。自社株買いの実施はこの短信では発表されていません。
会社は財務の健全性、戦略投資、株主還元のバランスを重視し、2027年3月期から2031年3月期までの中期経営計画「VISION2030」で配当性向40%以上を掲げています。中計最終年度の総還元性向は50%を目途とし、安定配当を基本に投資戦略や業績に応じて還元を判断する方針です。
通期見通し
2027年3月期の通期業績予想は、2026年10月28日に公表した内容から変更ありません。売上高は前期比4.8%増を見込む一方、営業利益は14.9%減、親会社株主に帰属する当期純利益は20.2%減の計画です。
| 項目(百万円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績(概算) | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 98,200 | 98,200 | 約93,702 | +4.8% |
| 営業利益 | 26,400 | 26,400 | 約31,022 | -14.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 20,000 | 20,000 | 約25,063 | -20.2% |
前期実績の概算値は、短信に示された予想額と前期比から逆算しています。会社は、主力作品群から安定的な収益を確保・拡大する方針を示す一方、今回の中間期は営業利益が前年同期を下回りました。通期予想の達成には、下期に版権などの収益を伸ばし、利益率をどこまで持ち直せるかが焦点となります。
リスクと課題
作品の人気を収益に結び付ける事業モデルでは、権利販売の契約状況や地域ごとの市場動向が業績を左右します。会社も、経済環境や市場動向、為替変動などによって実績が予想と大きく異なる可能性を挙げています。
- 配信権契約の変動: アジアでは配信権の定例契約更新・見直しが映像製作・販売事業の減収要因となりました。契約の時期や条件によって、売上の振れが生じる可能性があります。
- 作品・権利販売の反動: 国内のゲーム化権販売が前年の勢いに届かず、映像ソフト販売にも前年の好調の反動が出ました。前年に伸びた作品の販売動向が、翌期の比較を難しくする場合があります。
- 為替・海外市場: 海外での権利販売が重要な収益源となるため、為替レートや各地域の市場環境の変化が業績に影響する可能性があります。
- 利益率の低下: 中間期は販管費が増え、増収でも営業減益となりました。売上拡大と費用管理を両立できるかが通期予想の達成に向けた課題です。
「ワンピース」「ドラゴンボール」などの知的財産を幅広い地域・用途へ展開することが強みですが、特定作品の販売動向や契約更新の影響を受けます。海外版権の好調が続くかに加え、映像製作・販売事業の採算回復も注目点です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
3,030円
最新終値(2026/10/30)
3,030円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
東映アニメをライバルと比較
年収・業績・株価を並べてエンターテインメント業界の今
掲載26社東映アニメはエンターテインメント業界の掲載26社中、売上高で22位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +0.3%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +2.1%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 5社下方 2社
- 営業利益率(業界)
- 13.5%
- 東映アニメ+4.6%
- エンターテインメント(業界平均)+0.3%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は13社合計で売上高+7.4%・営業利益−10.0%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は8社、下回る企業は4社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは5社、下方修正は2社。修正幅が最も大きいのはコナミ(営業利益+35.0%)。






タグ#東映アニメ#決算#決算分析#四半期決算#版権事業#海外展開#増収減益#配当
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版権事業の海外販売や商品販売の伸びは、人気作品を複数の収益源に広げる東映アニメの強みを示しています。一方、利益の柱である版権事業の増益幅は小さく、映像製作・販売の減益と販管費の増加が連結利益を押し下げました。
財務基盤は厚く、配当方針も中期計画で明確にしています。投資家は下期に売上が伸びるかだけでなく、販管費の増加を抑えて営業利益率を回復できるか、また海外の権利販売が継続するかを確認したいところです。
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掲載企業

東映アニメーション株式会社
東証 4816
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- 2026年3月期 通期
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