アイシン、2027年3月期第2四半期決算、増収も利益下振れで通期予想を下方修正
アイシンの決算を分析すると、2027年3月期中間期は円安効果で売上収益が前年同期比7.3%増となった一方、資材価格の上昇や一過性費用が響き、営業利益は16.3%減、親会社株主に帰属する中間利益は28.9%減でした。中国を中心とする販売減などを織り込み、通期の利益予想を下方修正。増収の裏で利益と通期見通しが悪化した決算です。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2.7兆円 | +7.3% | 5.3兆円 | 51% |
| 営業利益 | 804億円 | -16.3% | 2,150億円 | 37% |
| 純利益 | 497億円 | -28.9% | 1,350億円 | 37% |
| 営業利益率 | 3.0% | |||
この決算のポイント
- 1売上収益は円安などで前年同期比7.3%増の2兆6,531億円
- 2営業利益は資材高や一過性費用で前年同期比16.3%減の804億円
- 3中国セグメントの営業利益は前年同期比63.4%減、欧州は営業赤字に転落
- 4通期営業利益予想を2,150億円へ下方修正、売上収益予想は5兆2,500億円で据え置き
- 5年間配当予想は前期比5円増の75円、自己株式取得に641億円を支出
業績のポイント
アイシン(株式会社アイシン)の2027年3月期中間期は、売上収益が前年同期比7.3%増の2兆6,531億円、営業利益は16.3%減の804億円、親会社の所有者に帰属する中間利益は28.9%減の496億円でした。売上高が伸びても利益が減る、増収減益の決算です。
- 増収要因: 得意先の車両生産台数やパワートレインユニットの販売台数は減少したものの、円安が売上収益を押し上げました。
- 利益を圧迫した要因: 中東情勢を背景とする資材価格の高騰や、熊本地震の影響など一過性の費用を計上しました。
- 下支え策: 自動車市場の環境変化に対応し、追加の合理化や費用削減を進めました。円安も利益面を支えたものの、費用増を補いきれませんでした。
売上総利益は前年同期の2,780億円から2,806億円へ小幅に増えた一方、販売費及び一般管理費は1,875億円から2,097億円へ増加しました。売上拡大が利益率の改善につながっておらず、円安による追い風と、材料費・固定費などのコスト上昇がせめぎ合っています。通期予想も下方修正されており、今後は販売数量の回復に加え、費用増をどこまで抑えられるかが焦点です。
セグメント別動向
地域別では、北米とアセアン・インドの利益が前年同期を上回った一方、中国で大幅減益、欧州は営業赤字となりました。以下のグラフは、各地域の営業利益が前年同期からどれだけ増減したかを示しています。
日本は営業利益が前年同期比10.6%減の227億円でした。売上収益は得意先の生産台数増加や円安で6.4%増の1兆6,551億円となったものの、資材価格の高騰や一過性費用が利益を押し下げました。企業体質の改善努力は続いていますが、費用増を吸収しきれていません。
北米は営業利益が41.4%増の119億円でした。ハイブリッドトランスミッションの生産台数増加と円安で売上収益が17.7%増。資材高の影響は残るものの、パワートレインユニットの販売増と関税回収の進展が利益を支えました。
欧州は前年同期の営業利益34億円から、20億円の営業損失に転落しました。得意先の生産台数やパワートレインユニット販売の減少で売上収益が16.4%減となり、生産準備費用の増加も重なりました。
中国は営業利益が63.4%減の74億円でした。売上収益は得意先の生産台数やパワートレインユニット販売の減少で9.3%減。体質改善の成果はあったものの、販売減の影響が上回りました。
アセアン・インドは営業利益が9.2%増の368億円でした。インドでパワートレインユニットの販売が増え、円安も寄与し、売上収益は19.7%増となりました。地域ごとの明暗がはっきりしており、特に中国・欧州の販売回復と採算改善が全社業績の立て直しに欠かせません。
- 日本-27億円
- 北米+35億円
- 欧州-55億円
- 中国-130億円
- アセアン+31億円
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 1.3兆円 | 50% | 227億円 | 1.7% |
| 北米 | 6,607億円 | 25% | 119億円 | 1.8% |
| 欧州 | 1,128億円 | 4% | -20億円 | -1.8% |
| 中国 | 2,382億円 | 9% | 75億円 | 3.1% |
| アセアン・インド | 2,995億円 | 11% | 369億円 | 12.3% |
財務状況と資本政策
2026年9月末の総資産は前期末比4.0%減の4兆3,300億円、親会社所有者帰属持分比率は49.1%でした。営業キャッシュ・フローは前年同期を下回りましたが、投資キャッシュ・フローの支出は縮小しています。
| 項目 | 2027年3月期中間期末・累計 | 比較対象 | 前年同期・前期末比 |
|---|---|---|---|
| 総資産 | 4兆3,300億円 | 前期末4兆5,123億円 | -4.0% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 49.1% | 前期末48.8% | +0.3ポイント |
| 営業キャッシュ・フロー | 1,457億円 | 前年同期1,762億円 | -17.3% |
| 投資キャッシュ・フロー | -1,030億円 | 前年同期-1,140億円 | 支出が縮小 |
| 年間配当予想 | 75円 | 前期実績70円 | +5円 |
中間配当は前年同期の30円から35円に増え、期末配当予想は40円です。また、中間期には自己株式取得に641億円を支出し、前年同期の422億円を上回りました。配当の増額と自社株買いを進める一方、現金及び現金同等物は前期末から785億円減少しています。中間期末の財務基盤は一定の厚みを保っていますが、利益予想の引き下げを受け、還元と成長投資を両立できるキャッシュ創出力が今後の注目点です。
通期見通し
アイシンは2027年3月期の通期営業利益予想を2,150億円、親会社の所有者に帰属する当期利益予想を1,350億円へ下方修正しました。売上収益予想は5兆2,500億円で据え置き、利益面の見通しを引き下げています。
| 項目 | 2026年4月公表の前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 金額記載なし | 5兆2,500億円 | 金額記載なし |
| 営業利益 | 金額記載なし | 2,150億円 | 金額記載なし |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 金額記載なし | 1,350億円 | 金額記載なし |
今回の短信には、前回予想と前期実績の金額は掲載されていません。会社は、中間期の実績と足元の事業環境を踏まえ、中国を中心としたパワートレインユニット販売の減少や、為替など前提条件の変化を織り込んだと説明しています。通期の前年比では売上収益が2.6%増の一方、営業利益は6.0%減、親会社の所有者に帰属する当期利益は21.4%減の計画です。為替前提は1米ドル157円、1人民元23.3円で、販売動向や為替の変化が予想を左右します。
リスクと課題
通期では売上増を見込む一方、利益は前期を下回る予想です。会社が挙げた販売減や為替前提の変化に加え、中間期に表れた地域別の差や費用増が、下期の業績を左右します。
- 中国の販売減: パワートレインユニットを中心に販売台数の減少を見込み、売上と利益の下押し要因となっています。
- 資材価格の上昇: 中東情勢に伴う資材高が中間期の利益を圧迫しました。価格転嫁や合理化が追いつかなければ、採算悪化が続く可能性があります。
- 欧州の採算低下: 得意先の生産台数や販売の減少に生産準備費用の増加が重なり、営業赤字となりました。販売回復と費用管理が課題です。
- 為替など前提条件の変化: 会社はドル157円、人民元23.3円を前提に通期予想を策定しています。実際の為替が前提から動けば、売上や利益が予想と異なる可能性があります。
- 災害などの一時要因: 熊本地震の影響など特殊要因による費用を中間期に計上しました。追加の一時費用が発生すれば、利益回復を妨げる要因になります。
北米やアセアン・インドが伸びる一方、中国と欧州は販売・採算面で課題を抱えており、地域間のばらつきが大きくなっています。会社が進める合理化・費用削減の成果と、中国を含む各地域の販売回復が、下方修正後の通期計画を達成できるかを判断する材料です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
2,040.5円
最新終値(2026/10/29)
2,040.5円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
アイシンをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて自動車業界の今
掲載29社アイシンは自動車業界の掲載29社中、売上高で6位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- −2.6%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- +2.1%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 6社下方 4社
- 営業利益率(業界)
- 4.3%
- アイシン−23.6%
- 自動車(業界平均)−2.6%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は16社合計で売上高+11.6%・営業利益+13.7%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は6社、下回る企業は9社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは6社、下方修正は4社。修正幅が最も大きいのは日野(営業利益+87.5%)。





タグ#アイシン#決算#決算分析#四半期決算#自動車部品#増収減益#通期業績予想#配当#自社株買い
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売上収益の伸びに対して営業利益が減り、通期利益予想も下方修正された点は、数量拡大だけでは採算を維持しにくい事業環境を映しています。北米やアセアン・インドの増益は明るい材料ですが、中国の減益幅が大きく、欧州も赤字に転じており、地域分散だけでは全社の利益変動を吸収できていません。
投資家は下期の販売台数に加え、資材高や一過性費用を除いた実力ベースの採算改善を見極めたいところです。中間配当の増額や自己株式取得は株主還元への姿勢を示しますが、利益予想が引き下げられた局面だけに、還元を支えるキャッシュ創出力の回復も重要になります。
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