デンソー、2027年3月期第2四半期決算、増収も営業利益19.5%減で通期予想据え置き

デンソーの2027年3月期第2四半期決算を分析すると、売上収益は前年同期比7.0%増の3兆8,436億円と増収でした。一方、部材費の高騰や開発投資の強化、前年にあった一時的な費用回収の反動で営業利益は19.5%減の1,701億円となり、親会社株主に帰属する中間利益も8.8%減でした。通期予想は据え置き、円安や合理化でコスト増を補う計画です。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3.8兆円 | +7.0% | 7.8兆円 | 50% |
| 営業利益 | 1,701億円 | -19.5% | 5,000億円 | 34% |
| 純利益 | 1,198億円 | -8.8% | 3,820億円 | 31% |
| 営業利益率 | 4.4% | |||
この決算のポイント
- 1車両販売や電動化・安全製品の拡大で、売上収益は前年同期比7.0%増
- 2部材費高騰や開発投入の強化などで営業利益は前年同期比19.5%減
- 3欧州は品質費用などで営業損失14億円、前年同期の営業利益から赤字転落
- 4自己株式取得に3,136億円を投じ、取締役会は追加取得と消却も決議
- 5年間配当予想は前期比7円増の74円、通期業績予想は前回公表値を維持
業績のポイント
デンソー(正式名称:デンソー)は2027年3月期中間期に増収となった一方、利益は減少しました。売上収益は前年同期比7.0%増の3兆8,436億円、営業利益は19.5%減の1,701億円、親会社の所有者に帰属する中間利益は8.8%減の1,198億円です。
主な増減要因は次の通りです。
- 売上を押し上げた要因: 車両販売の増加に加え、電動化・安全製品の装着が拡大しました。
- 営業利益の下押し要因: 部材費などの高騰に加え、将来に向けた開発投入を強化しました。
- 前年との比較要因: 前年度にあった一時的な費用回収の反動も、利益を押し下げました。
- 利益を支えた要因: 円安の進行や操業度差益、合理化努力がコスト増の一部を補いました。
増収は自動車生産の回復だけでなく、電動化や安全性向上に関わる製品の搭載拡大を反映しています。一方、売上の伸びが利益の伸びにつながらず、コスト上昇と成長に向けた開発投資が短期収益を圧迫しました。売上増でも利益は減少しており、今後は製品構成の改善や合理化が利益回復の焦点になります。
セグメント別動向
地域別では日本が増益を確保した一方、北米とアジアは減益、欧州は赤字に転落しました。売上収益は各地域で前年同期を上回り、円安が海外売上を押し上げた地域もありました。
日本は売上収益が前年同期比9.6%増の2兆3,009億円、営業利益は55.3%増の490億円でした。車両販売の増加で売上が伸び、円安や操業度差益、合理化努力が部材費の上昇を補いました。
北米は売上収益が6.2%増の1兆336億円、営業利益は30.7%減の395億円でした。売上には円安が寄与しましたが、前年度に計上した一時的な費用回収がなくなり、利益は前年を下回りました。
アジアは売上収益が4.1%増の9,907億円、営業利益は28.0%減の691億円でした。車両販売の減少を円安が補って増収となったものの、操業度差損が利益を押し下げました。
- 欧州: 売上収益は2.3%増の3,715億円でしたが、部材費の高騰と品質費用の発生で営業損失14億円となり、前年同期の営業利益86億円から赤字に転じました。
- その他地域: 売上収益は14.4%増の709億円、営業利益は12.9%増の131億円でした。
地域別では、日本の改善が北米・アジアの落ち込みを補いました。欧州では品質費用が利益を左右しており、売上の伸びだけでなく、品質の安定と地域ごとの操業度改善が重要です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 1.6兆円 | 42% | 490億円 | 3.0% |
| 北米 | 1.0兆円 | 27% | 395億円 | 3.8% |
| 欧州 | 3,354億円 | 9% | -14億円 | -0.4% |
| アジア | 7,910億円 | 21% | 691億円 | 8.7% |
| その他 | 708億円 | 2% | 131億円 | 18.5% |
通期見通し
デンソーは2027年3月期の通期業績予想を前回公表値から据え置きました。売上収益は前期比2.8%増、営業利益は9.5%減を見込んでいます。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上収益(億円) | 77,500 | 77,500 | +2.8% |
| 営業利益(億円) | 5,000 | 5,000 | -9.5% |
| 税引前利益(億円) | 5,530 | 5,530 | -10.4% |
| 親会社帰属当期利益(億円) | 3,820 | 3,820 | -13.9% |
会社は、部材費などの高騰や操業度差損がある一方、円安の進行と合理化で相殺する想定を示しました。第3四半期以降の為替前提は1ドル153円、1ユーロ180円です。中間期の営業利益は前年同期を下回りましたが、予想修正はなく、下期の収益改善を見込む計画です。
財務状況と資本政策
中間期末の資産は減少し、自己資本比率に相当する親会社所有者帰属持分比率も低下しました。一方、営業キャッシュフローは前年同期を上回り、自己株式の取得や増配を通じた株主還元を進めています。
| 項目 | 2027年3月期中間期末・中間期 | 前期末・前年同期比 |
|---|---|---|
| 総資産(億円) | 86,755 | 前期末比553億円減 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 59.3% | 前期末の62.9%から低下 |
| 営業キャッシュフロー(億円) | 3,359 | 前年同期の1,932億円から増加 |
| 投資キャッシュフロー(億円) | -2,177 | 前年同期の-1,612億円から支出増 |
| 自己株式取得(億円) | 3,136 | 前年同期の2,209億円から増加 |
年間配当予想は74円で、前期実績の67円から7円増となる見込みです。中間配当は37円で、会社は配当予想を修正していません。さらに、取締役会は決算発表日に自己株式の追加取得と消却を決議しましたが、短信には取得の詳細条件や規模は記載されていません。
自己株式取得などの株主還元を進めた結果、自己株式は増加し、資本合計は前期末から減少しました。営業キャッシュフローが前年同期を上回った一方、設備取得などによる投資支出もあり、成長投資と還元を並行させる資金配分が続いています。
戦略トピック
デンソーは2030年に向けた中期経営計画「CORE 2030」を策定し、商品づくり、モノづくり、人づくり・パートナーとの共創を成長の柱に掲げました。目指す姿は「モビリティから広がる未来社会を、人の可能性で実現する企業」です。
- 商品づくりの強化: 顧客価値を高める商品を通じ、付加価値と収益性の向上を目指します。
- モノづくりの革新: 生産の効率化や合理化を進め、コスト上昇への対応力を高めます。
- 人づくり・共創: 社内の人材育成とパートナーとの連携を成長の基盤に置きます。
中間期は将来に向けた開発投入の強化が営業利益を押し下げたと説明しており、投資負担はすでに業績に表れています。開発投資を電動化や安全関連製品の競争力、そして収益性の改善につなげられるかが、計画の進捗を見極めるポイントです。
リスクと課題
会社は為替や事業環境の変化によって、実際の業績が予想から大きく異なる可能性があるとしています。中間期に表れたコスト高や地域ごとの収益差も、下期の利益回復を左右する課題です。
- 部材費などの高騰: コスト上昇が続けば、増収でも利益率が回復しにくくなる可能性があります。
- 操業度の変動: 車両販売や生産の減少は、特にアジアで見られた操業度差損を通じて利益を圧迫します。
- 為替変動: 通期予想は円安を織り込んでおり、為替が前提から外れれば売上や利益が変動します。
- 品質費用と開発負担: 欧州では品質費用が赤字要因となり、開発投入の強化も短期利益を押し下げています。
- 地域別の採算差: 日本の増益に対し、北米・アジアは減益、欧州は赤字で、地域ごとの収益改善に差があります。
通期予想は据え置かれていますが、部材費、操業度、為替の前提が変われば計画達成に影響します。投資家は下期の利益回復だけでなく、欧州の品質費用と北米の一時的な費用回収反動がどこまで解消するかを確認したいところです。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
1,868.5円
最新終値(2026/10/29)
1,868.5円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
デンソーをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて自動車業界の今
掲載29社デンソーは自動車業界の掲載29社中、売上高で4位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- −2.6%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- +2.1%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 6社下方 4社
- 営業利益率(業界)
- 4.3%
- デンソー−18.8%
- 自動車(業界平均)−2.6%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は16社合計で売上高+11.6%・営業利益+13.7%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は6社、下回る企業は9社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは6社、下方修正は4社。修正幅が最も大きいのは日野(営業利益+87.5%)。





タグ#デンソー#決算#決算分析#四半期決算#自動車部品#営業減益#電動化#自己株式取得#配当
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売上が伸びても利益が減った点は、デンソーの足元を読むうえで見逃せません。円安や合理化で増収を確保しながら、部材費と開発投資、地域ごとの操業度や品質コストが利益を押し下げています。
下期のコスト吸収力が焦点です。通期予想は据え置かれ、年間配当の増額や自己株式取得も打ち出していますが、株主還元と並行して、成長投資を収益改善へ結びつけられるかが今後の評価を左右しそうです。
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4期- 2027年3月期 第2四半期(中間期)
- 2027年3月期 第1四半期
- 2026年3月期 通期
- 2026年3月期 第3四半期




