コマツ、2027年3月期第2四半期決算、増収で通期予想を上方修正

コマツの2027年3月期第2四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比14.1%増の2兆1,586億円、営業利益は3.5%増の2,866億円、純利益は9.2%増の1,919億円となり、増収増益でした。円安に加え、建設機械の販売増や価格改善、半導体関連事業の伸びが寄与し、会社は需要見通しの上振れを受けて通期予想を上方修正しました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2.2兆円 | +14.1% | 4.5兆円 | 49% |
| 営業利益 | 2,866億円 | +3.5% | 5,850億円 | 49% |
| 純利益 | 1,919億円 | +9.2% | 3,820億円 | 50% |
| 営業利益率 | 13.3% | |||
この決算のポイント
- 1建設機械・車両は売上高が前年同期比14.8%増、セグメント利益は1.0%増にとどまった
- 2産業機械他は半導体産業向けが伸び、セグメント利益が前年同期比27.0%増加
- 3通期売上高予想を前回から3.4%、営業利益予想を5.4%引き上げた
- 4年間配当予想は190円で据え置き、中間配当95円を実施。自己株式取得も進めた
- 5米州の建機需要は堅調な一方、中近東やインドネシアでは販売・需要の弱さが表れた
業績のポイント
コマツ(小松製作所)の中間期は、売上高が前年同期比14.1%増、営業利益が3.5%増、当社株主に帰属する純利益が9.2%増となりました。売上高の増加幅は2,671億円、営業利益の増加幅は96億円です。売上の伸びが利益の伸びを上回る決算となり、営業利益率は前年同期から1.3ポイント低下して13.3%でした。
- 建設機械・車両: 円安に加え、販売量の増加と販売価格の改善が売上・利益を押し上げた一方、コスト増が利益の伸びを抑えた。
- 産業機械他: 半導体産業向け事業の売上増などを受け、売上高・セグメント利益ともに前年同期を上回った。
- リテールファイナンス: 円安と資産の拡大が売上高、利益の増加につながった。
円安は海外売上を円換算した際の押し上げ要因となり、北米や中南米など複数地域での販売増も寄与しました。一方、売上原価や販管費も増え、売上高ほどには営業利益が伸びていません。利益率の低下は、需要拡大の恩恵を確保しながら、コスト増を吸収できるかが今後の焦点であることを示します。
セグメント別動向
主力の建設機械・車両は増収となったものの、利益の伸びは小幅でした。産業機械他は利益の伸びが目立ち、リテールファイナンスも増収増益を確保しています。以下は各セグメントの前年同期比で、自動表示される売上高・利益の規模や構成を示す表とは異なる比較です。
| セグメント | 売上高の前年比 | セグメント利益の前年比 |
|---|---|---|
| 建設機械・車両 | +14.8% | +1.0% |
| リテールファイナンス | +7.3% | +2.9% |
| 産業機械他 | +7.1% | +27.0% |
建設機械・車両は、円安、販売量の増加、価格改善で増収増益でした。北米ではインフラ・レンタル向け需要が堅調で、中南米では銅需要を背景に鉱山機械の販売が増加しました。一方、中近東では情勢の影響、インドネシアでは石炭採掘量の制限が需要を下押ししています。
産業機械他は、半導体産業向け事業の売上増が利益を押し上げました。リテールファイナンスは、円安と金融資産の拡大が増収増益を支えています。主力建機の利益率が前年同期を下回るなか、産業機械の利益成長が全社の増益を補う構図です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 建設機械・車両 | 2.0兆円 | 92% | 2,445億円 | 12.2% |
| リテールファイナンス | 517億円 | 2% | 174億円 | 26.5% |
| 産業機械他 | 1,132億円 | 5% | 211億円 | 18.4% |
通期見通し
コマツは2027年3月期の連結業績予想を上方修正しました。建設機械・車両で上期の需要が多くの地域で想定を上回り、通期も当初想定を上回る見通しとなったことに加え、第2四半期の為替が想定より円安だったことが背景です。
| 項目(億円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 43,020 | 44,500 | 41,328 |
| 営業利益 | 5,550 | 5,850 | 5,673 |
| 当社株主に帰属する純利益 | 3,490 | 3,820 | 3,764 |
今回予想は前回から売上高を1,480億円、営業利益を300億円、純利益を330億円引き上げました。前期比では売上高が7.7%増、営業利益が3.1%増、純利益が1.5%増となる計画です。通期平均の為替前提も前回より円安方向に見直されましたが、下期の為替前提は据え置かれています。需要見通しの改善を反映した上方修正であり、実際の着地には主要市場の需要や為替の変動が影響します。
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前期末から1,032億円増え、6兆5,272億円となりました。棚卸資産などの増加で資産が膨らむ一方、株主資本比率は前期末から1.5ポイント低下しています。キャッシュフローと株主還元は次の通りです。
| 項目 | 2027年3月期中間期 | 前年同期・前期末との比較 |
|---|---|---|
| 株主資本比率 | 53.2% | 前期末比-1.5ポイント |
| 営業キャッシュフロー | +1,393億円 | 前年同期比+117億円 |
| 投資キャッシュフロー | -1,190億円 | 支出が前年同期比249億円増加 |
| 財務キャッシュフロー | -780億円 | 前年同期は-715億円 |
| 年間配当予想 | 190円 | 前期実績と同額、修正なし |
営業活動の現金収入は中間純利益などを背景に増えましたが、棚卸資産の増加は資金を押し下げる要因です。投資活動では固定資産の購入などにより支出が増加し、財務活動では自己株式の取得と配当金の支払いがありました。年間配当は中間95円、期末95円の予想で据え置きです。自己株式取得はキャッシュフロー計算書に純額で記載されていますが、この短信には新たな取得枠の発表はありません。
戦略トピック
建設機械の販売にとどまらず、自動化や現場の生産性向上を支えるソリューション事業を強化しています。中期経営計画では、イノベーションによる価値共創、成長性と収益性の追求、経営基盤の革新を掲げています。
- 自律施工: 7月、米AIM Intelligent Machinesと戦略的パートナーシップを締結。スマートコンストラクションと自律運転技術を連携させ、建設現場の自律施工を目指す。
- ICT建機: 日米欧豪でのICT建機化率は中間期に30.1%。施工管理と機械を組み合わせ、現場の生産性向上を進める。
- 鉱山の無人化: 無人ダンプトラック運行システムの累計導入台数は9月末に1,089台となった。
- 地域別商品展開: インド発の7トン級油圧ショベルや新興国向け機種を投入し、地域の顧客ニーズに応じた商品を広げる。
機械販売から現場ソリューションへの移行は、価格や販売台数だけに頼らない収益づくりにつながる可能性があります。自律化や遠隔操作、AI活用を現場に定着させ、顧客の生産性向上と継続的なサービス収入の双方に結びつけられるかが、中長期の成長を左右します。
リスクと課題
通期予想は引き上げられましたが、建設機械は地域ごとの需要差が大きく、為替やコストの変動も利益に影響します。会社も主要市場の経済状況、製品需要、為替、各種規制や会計基準の変更を業績変動要因として挙げています。
- 為替変動: 円安は海外売上の円換算額を押し上げる一方、円高に転じれば売上高や利益の下押し要因となる。
- 地域ごとの需要差: 中東情勢の影響で中近東の販売が減少。インドネシアでは石炭採掘量の制限を背景に鉱山機械需要が低迷している。
- 国内市場の弱さ: 人件費・資材価格の高騰や労働力不足を背景に、日本では一般ユーザー向け・レンタル向け需要が低迷している。
- コストと在庫: 中間期はコスト増が主力部門の利益率を押し下げ、棚卸資産も増加した。需要に見合う在庫管理と採算の確保が課題となる。
売上の伸びと通期予想の上方修正は前向きな材料ですが、地域別の濃淡や利益率の低下を見落とせません。下期に需要の強さが続くか、円安による追い風とコスト増を差し引いて利益を確保できるかが、予想達成のポイントです。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
6,300円
最新終値(2026/10/29)
6,300円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
コマツをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて重工業業界の今
掲載7社コマツは重工業業界の掲載7社中、売上高で3位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- −11.0%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- +18.6%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 2社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 8.0%
- コマツ+20.3%
- 重工業(業界平均)−11.0%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は4社合計で売上高+14.0%・営業利益+97.4%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は0社、下回る企業は2社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは2社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのはコマツ(営業利益+15.2%)。






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需要の強さを確認でき、通期予想も引き上げられた点は評価できます。一方、売上高の伸びに対して営業利益の伸びが小さく、主力の建設機械・車両の利益率が低下しているため、増収の質は慎重に見たいところです。
中長期では、自律施工や無人化などのソリューションが、機械販売に続く収益の柱へ育つかが注目点です。短期の為替や市況だけでなく、現場の生産性向上を顧客価値と継続収入に結びつけられるかが、コマツの成長力を測る材料になります。
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掲載企業

株式会社小松製作所
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4期- 2027年3月期 第2四半期(中間期)
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- 2026年3月期 第3四半期




