日立建機、2027年3月期第2四半期決算、増益受け通期予想を上方修正

日立建機の2027年3月期第2四半期決算は、部品・サービスの伸長や円安を追い風に増収増益となりました。売上収益は前年同期比6.7%増の6,981億円、調整後営業利益は25.0%増の752億円、親会社株主に帰属する中間利益は31.6%増の497億円です。堅調な上期実績を受け、同社は通期業績予想を上方修正しました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,981億円 | +6.7% | 1.5兆円 | 47% |
| 営業利益 | 752億円 | +25.0% | 1,550億円 | 49% |
| 純利益 | 497億円 | +31.6% | 900億円 | 55% |
| 営業利益率 | 10.8% | |||
この決算のポイント
- 1部品・サービスの売上増と円安で、売上収益は前年同期比6.7%増の6,981億円
- 2建設機械ビジネスの調整後営業利益は前年同期比30.0%増、全体の利益をけん引
- 3スペシャライズド・パーツ・サービスは売上増でも、競争激化などで調整後営業利益が23.9%減
- 4通期調整後営業利益予想を前回から50億円引き上げ、年間配当は前期比15円増の190円を計画
- 5中間期に305億円の自己株式を取得、フリー・キャッシュ・フローは463億円の黒字
業績のポイント
日立建機株式会社(以下、日立建機)の2027年3月期中間期は、売上収益が前年同期比6.7%増、調整後営業利益が25.0%増、親会社株主に帰属する中間利益が31.6%増となりました。売上収益は上期として過去最高を更新し、売上と利益がそろって伸長しました。
- 売上収益: 6,981億円。部品・サービスを中心とした売上増と円安が押し上げました。
- 調整後営業利益: 752億円。前年同期から150億円増となり、バリューチェーン比率の改善や円安が物流費などのコスト増を補いました。
- 親会社株主に帰属する中間利益: 497億円。前年同期から119億円増となりました。
- 税引前中間利益: 788億円で、前年同期比29.3%増でした。
北米では公共投資やエネルギー関連工事が需要を支え、中南米では資源価格を背景に鉱山向け需要が底堅く推移しました。欧州も前年同期から回復基調です。一方、物流費の上昇や中東を中心とする物流の混乱、エネルギー価格高騰、金利高は引き続き経営環境の重荷で、会社は先行きに不透明感が残るとしています。
セグメント別動向
建設機械ビジネスが利益成長を主導する一方、スペシャライズド・パーツ・サービスビジネスは増収減益となりました。売上の伸びが利益に結び付いたかどうかで、事業ごとに明暗が分かれています。
建設機械ビジネスは、売上収益が前年同期比6.3%増、調整後営業利益が30.0%増となりました。中南米やインドで販売が伸びたほか、円安も業績を押し上げました。北米の公共投資やエネルギー関連工事も需要を支え、主力事業の採算改善が連結利益の伸びにつながっています。
スペシャライズド・パーツ・サービスビジネスは、売上収益が前年同期比11.2%増となった一方、調整後営業利益は23.9%減でした。円安で売上が増えたものの、顧客の投資抑制や競争環境の激化が利益を圧迫しました。同事業はBradkenやH-E Partsなどを通じ、鉱山機械の部品・アフターサービスを担います。マイニング需要が底堅い地域でも、顧客の投資判断や競争の影響が利益率を左右する点が課題です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 建設機械ビジネス | 6,256億円 | 90% | 709億円 | 11.3% |
| スペシャライズド・パーツ・サービスビジネス | 725億円 | 10% | 43億円 | 5.9% |
通期見通し
日立建機は2027年3月期の通期業績予想を上方修正しました。中間期の堅調な業績を反映し、売上収益は前回予想から300億円、調整後営業利益は50億円引き上げています。
| 項目(億円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 14,700 | 15,000 | 14,055 |
| 調整後営業利益 | 1,500 | 1,550 | 1,330 |
| 税引前当期利益 | 1,430 | 1,500 | 1,242 |
| 親会社株主に帰属する当期利益 | 840 | 900 | 732 |
今回予想は前期比で売上収益6.7%増、調整後営業利益16.6%増を見込みます。ただし、会社は油圧ショベルとマイニング製品の年間新車需要について、いずれも前年比で若干の減少を予想し、前回見通しを維持しました。中東の物流混乱やエネルギー価格、金利などのリスクを織り込んだうえで、通期予想を引き上げた形です。
財務状況と資本政策
9月末の総資産は前期末比156億円減の1兆8,416億円、親会社株主持分比率は48.8%でした。利益を確保しながら自己株式の取得と増配を進め、株主還元を強めています。
| 項目 | 2027年3月期中間期・9月末 | 前年同期・前期末との比較 |
|---|---|---|
| 親会社株主持分比率 | 48.8% | 前期末比+0.3ポイント |
| 営業活動によるCF | 524億円の収入 | 前年同期比142億円減 |
| 投資活動によるCF | 61億円の支出 | 前年同期比159億円減 |
| フリー・キャッシュ・フロー | 463億円の収入 | 前年同期比17億円増 |
| 年間配当予想 | 190円 | 前期実績175円から15円増 |
中間期には自己株式を306億円取得し、財務活動によるキャッシュ・フローは688億円の支出となりました。現金及び現金同等物は期首から225億円減少して1,190億円となっています。利益剰余金が増える一方で自己株式の取得が資本を押し下げており、安定したキャッシュ創出を株主還元にも振り向ける方針が表れています。
リスクと課題
通期予想は上方修正されたものの、会社は油圧ショベルとマイニング製品の新車需要が年間で若干減少するとみています。需要環境の不透明さに加え、物流やコスト、事業ごとの採算差が下期の焦点です。
- 需要の鈍化: 油圧ショベルとマイニング製品の新車需要は前年比で若干の減少を想定しており、販売台数の下振れは売上や稼働率に影響します。
- 物流・エネルギーコスト: 中東地域を中心とする物流の混乱や世界的なエネルギー価格の高騰が続けば、輸送費や調達費が増え、利益を圧迫する可能性があります。
- 金利と顧客投資: 金利高は建設機械や鉱山機械への顧客投資を抑える要因です。スペシャライズド・パーツ・サービスでは、顧客の投資抑制がすでに利益減少の背景となっています。
- 資源価格と競争: 銅・金価格は堅調な一方、石炭や鉄鉱石などは弱含みです。資源価格が下がればマイニング需要に響くほか、部品・サービスの競争激化も採算を左右します。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
5,105円
最新終値(2026/10/29)
5,105円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
日立建機をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて機械業界の今
掲載54社日立建機は機械業界の掲載54社中、売上高で3位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +17.1%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- +14.1%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 17社下方 3社
- 営業利益率(業界)
- 9.6%
- 日立建機−0.8%
- 機械(業界平均)+17.1%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は31社合計で売上高+14.5%・営業利益+25.8%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は7社、下回る企業は19社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは17社、下方修正は3社。修正幅が最も大きいのはTHK(営業利益+84.6%)。






タグ#日立建機#決算#決算分析#四半期決算#建設機械#通期業績予想上方修正#増配#自社株買い
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建設機械の販売だけでなく部品・サービスを伸ばし、円安の追い風も利益に取り込めた点が今回の決算の強さです。とくに建設機械ビジネスの利益成長が全体をけん引しており、売上の伸びが利益拡大につながったことが確認できます。
一方で、部品・サービスの一角は増収でも減益です。中期計画で重点分野に掲げるサービス事業の利益率改善が進むか、また新車需要の減少を補う継続収益をどこまで積み上げられるかが、今後の注目点です。
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4期- 2027年3月期 第2四半期(中間期)
- 2027年3月期 第1四半期
- 2026年3月期 通期
- 2026年3月期 第3四半期




