マクセル、2027年3月期第2四半期決算、増収増益も通期予想は据え置き

マクセルの2027年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比15.8%増、営業利益が14.0%増、純利益が12.1%増となり、増収増益でした。粘着テープや一次電池、半導体関連製品の販売が伸び、円安も利益を押し上げました。会社は通期予想を据え置き、生成AI関連需要を追い風にする一方、在庫積み増しの反動や原材料高を警戒しています。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 749億円 | +15.8% | 1,430億円 | 52% |
| 営業利益 | 58億円 | +14.0% | 100億円 | 58% |
| 純利益 | 47億円 | +12.1% | 67億円 | 71% |
| 営業利益率 | 7.7% | |||
この決算のポイント
- 1機能性部材料は半導体製造工程用テープが伸び、営業利益が前年同期比331.3%増の19億円。
- 2エネルギーは一次電池が好調で売上高41.8%増、ただし営業利益は9.3%減。
- 3価値共創事業は健康・理美容製品が低迷し、営業損益は9,500万円の赤字に転落。
- 4通期予想は売上高1,430億円、営業利益100億円で据え置き。純利益予想は前期比18.9%減。
- 5中間配当は前年の25円から28円に増額。年間配当予想は56円で前期比6円増。
業績のポイント
マクセル(正式名称:マクセル)は2027年3月期中間期に増収増益となり、売上高の増加額は前年同期比101億9,100万円、営業利益は7億700万円、親会社株主に帰属する中間純利益は5億1,300万円増えました。経常利益は58億1,400万円で前年同期比13.8%増、1株当たり中間純利益は128円76銭でした。
- 販売数量・製品構成: 一次電池、粘着テープ、車載光学部品、半導体関連製品が増収に寄与しました。
- 半導体市場: 生成AI向けを中心に市場が好調で、顧客の在庫消化が進み、半導体関連製品の販売が回復しました。
- 為替: 対米ドルの平均レートは1ドル159円となり、円安が営業利益を押し上げました。
- コスト面: 中東情勢を背景に原材料・エネルギー価格が上昇し、価格改定の効果が出るまでの時間差が一部事業の利益を圧迫しました。
半導体関連の回復と円安が増益を後押しした一方、事業ごとの利益にはばらつきがありました。売上高の伸びだけでなく、価格転嫁や製品構成の改善がどこまで続くかが、下期の収益力を見極めるポイントです。
セグメント別動向
セグメントでは機能性部材料が大幅な増益となる一方、価値共創事業は赤字に転落しました。下表は前年同期比の変化を示し、売上高や営業利益の実額と構成比はこのセクション直後のセグメント表で確認できます。
| セグメント | 売上高の前年比 | 営業利益の前年比 |
|---|---|---|
| エネルギー | +41.8% | -9.3% |
| 機能性部材料 | +23.2% | +331.3% |
| 光学・システム | -6.6% | -9.1% |
| 価値共創事業 | -10.3% | 赤字転落 |
エネルギーは、村田製作所から譲り受けた事業を含む医療機器用・車載用の一次電池が好調でした。一方、角形リチウムイオン電池の生産終了や、原材料高の価格反映に時間差があること、前年に一過性のライセンス収入があったことから減益です。
機能性部材料は、半導体製造工程用テープを中心とする粘着テープと産業用部材が伸びました。顧客の在庫積み増し需要に加え、材料費上昇を受けた価格見直しも利益を押し上げています。
光学・システムは、新製品の車載光学部品と半導体関連製品の回復が寄与したものの、前年のライセンス収入の反動で減収減益でした。価値共創事業は電設工具が堅調でしたが、国内・北米向けの健康・理美容製品が振るわず、採算改善が課題です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| エネルギー | 296億円 | 40% | 15億円 | 4.9% |
| 機能性部材料 | 194億円 | 26% | 19億円 | 10.0% |
| 光学・システム | 184億円 | 25% | 25億円 | 13.4% |
| 価値共創事業 | 75億円 | 10% | -95百万円 | -1.3% |
通期見通し
マクセルは2027年3月期の通期業績予想を据え置きました。中間期の実績は会社計画を上回ったものの、下期には一次電池や粘着テープの需要反動、地政学リスク、原材料・エネルギー高などの懸念が残るため、現時点では予想を変更していません。
| 項目 | 2027年3月期予想 | 前期実績(概算) | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(億円) | 1,430 | 約1,294 | +10.5% |
| 営業利益(億円) | 100 | 約78.9 | +26.7% |
| 純利益(億円) | 67 | 約82.6 | -18.9% |
前期実績は、短信に記載された通期予想の前年比から逆算した概算です。下期は生成AI関連需要を背景に半導体関連製品の好調が続き、新製造ラインの稼働による一次電池や粘着テープの販売拡大も見込んでいます。
一方、中間期に見られた一次電池の価格改定前の駆け込み需要や、顧客による粘着テープの在庫積み増しには反動の可能性があります。会社はポートフォリオ改革による収益性向上と成長事業の強化を進め、全固体電池を中心とする新事業の早期収益化も目指します。
財務状況と資本政策
2026年9月末の総資産は前期末比1.6%増の1,847億2,600万円、自己資本比率は前期末の47.9%から49.9%へ上昇しました。純資産は中間利益の計上などで増え、負債は長期借入金などの減少を受けて縮小しています。
| 項目 | 2027年3月期中間期 | 比較・内容 |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 49.9% | 前期末から2.0ポイント上昇 |
| 流動比率 | 1.9倍 | 会社開示値 |
| 手持ち資金 | 408億7,500万円 | 流動資産と流動負債の差額 |
| 中間配当 | 1株28円 | 前年同期の25円から3円増 |
| 年間配当予想 | 1株56円 | 前期実績の50円から6円増 |
2026年5月には自己株式629万2,200株、120億7,500万円相当を消却しました。これは保有株式の消却であり、今回新たに同額の自社株買いを実施したという意味ではありません。
配当を増やす一方で自己株式を消却し、資本効率と株主還元を意識した施策を進めています。設備投資や成長投資を続けながら財務基盤も維持できるか、今後の資金配分に注目が集まります。
研究開発・成長投資
中間期の設備投資は前年同期比147.7%増の54億3,400万円と大きく増えました。研究開発費は29億4,400万円で前年同期比2.6%減となり、投資の拡大は研究開発費よりも設備面で目立っています。
| 項目 | 中間期実績 | 前年同期比 | 2027年3月期見通し |
|---|---|---|---|
| 設備投資 | 54億3,400万円 | +147.7% | 100億円 |
| 減価償却費 | 30億7,900万円 | +18.8% | 65億円 |
| 研究開発費 | 29億4,400万円 | -2.6% | 60億円 |
会社は新製造ラインの稼働による一次電池や粘着テープの販売拡大を見込んでおり、設備投資の増加は供給能力の強化につながる可能性があります。また、全固体電池を中心とした新事業の早期業績貢献を目標に掲げています。
ただし、研究開発費は中間期時点で前年を下回っています。設備投資が売上や利益に結び付く時期と、次世代電池などの研究開発をどう事業化するかが、成長投資の成果を測る焦点です。
リスクと課題
中間期は需要回復と円安が業績を押し上げましたが、会社は下期の需要やコスト環境を不透明とみています。短期的な受注増が継続的な需要に変わるか、価格改定で費用上昇を吸収できるかが課題です。
- 需要の反動: 一次電池の価格改定前の駆け込み需要や、粘着テープで顧客が積み増した在庫が一巡すれば、下期の販売が鈍る可能性があります。
- 地政学リスク: 中東情勢などの変化が原材料・エネルギー価格の上昇や供給不安につながり、調達費用と生産計画に影響するおそれがあります。
- 価格転嫁の時間差: 原材料高を販売価格に反映するまでのタイムラグが続けば、一次電池などで利益率が圧迫されます。
- 為替変動: 中間期は円安が利益を支えましたが、為替レートの変化によって業績予想とのずれが生じる可能性があります。
- 事業別の収益格差: 健康・理美容製品の低迷で価値共創事業が赤字となっており、販売回復やコスト対応が進まなければ全社利益の重荷になります。
中間期の増益をそのまま下期へ延長できるとは限りません。特に在庫需要の反動と原材料価格の動向を確認しながら、機能性部材料など好調な事業の利益を維持できるかが重要です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
2,496円
最新終値(2026/10/29)
2,496円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
マクセルをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電機業界の今
掲載59社マクセルは電機業界の掲載59社中、売上高で47位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +20.4%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- +20.3%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 21社下方 2社
- 営業利益率(業界)
- 10.6%
- マクセル+11.5%
- 電機(業界平均)+20.4%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は32社合計で売上高+12.1%・営業利益+50.6%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は9社、下回る企業は21社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは21社、下方修正は2社。修正幅が最も大きいのはカシオ(営業利益+30.8%)。






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中間期は半導体関連の回復と一次電池の伸びが業績を支えましたが、増収が全事業の利益改善に直結しているわけではありません。機能性部材料の大幅増益と、エネルギーの減益、価値共創事業の赤字が併存しています。
下期の焦点は一時的な在庫需要を実需につなげられるかです。設備投資の拡大や新製造ラインが供給力と採算を高める一方、原材料高や需要反動が計画達成を左右するため、通期予想を据え置いた判断の妥当性を今後の四半期で見極めたいところです。
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