日産、2027年3月期第1四半期決算、営業利益779億円と黒字転換、売上高9.5%増

日産(日産自動車)が発表した2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比9.5%増の2兆9,642億円、営業利益は779億円となり、前年同期の791億円の営業損失から黒字転換を達成した。為替の追い風や構造改革によるコスト削減が奏功し、親会社株主に帰属する四半期純利益も38億円と、前年同期の1,157億円の赤字から大幅に改善した。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3.0兆円 | +9.5% | 13.0兆円 | 23% |
| 営業利益 | 779億円 | — | 2,000億円 | 39% |
| 純利益 | 38億円 | — | 200億円 | 19% |
| 営業利益率 | 2.6% | |||
業績のポイント
2027年3月期第1四半期(2026年4月~6月)の連結業績は、グローバル需要が前年同期比2.1%減の2,115万台と軟調だったものの、日産の小売台数は0.9%減の70万1千台にとどまった。売上高は2兆9,642億円と前年同期比9.5%増となり、営業利益は779億円(前年同期は791億円の損失)と、1,570億円の損益改善を実現した。主な要因は、円安を中心とした為替変動のプラス影響と、グローバルでのコスト削減活動の進展だ。
経常利益は491億円(前年同期は1,092億円の損失)、親会社株主帰属の四半期純利益は38億円(同1,158億円の損失)と、いずれも黒字化した。営業外損益では支払利息が増加したものの、持分法投資損失が縮小し、特別損失も前年同期の576億円から187億円へ減少。収益構造の改善が数字に表れた格好だ。
セグメント別動向
日産の事業は「自動車事業」と「販売金融事業」の2セグメントで構成される。
自動車事業の外部顧客への売上高は2兆6,170億円(前年同期比8.6%増)だったが、セグメント損失は177億円(前年同期は1,720億円の損失)と、依然赤字が続いている。販売台数が伸び悩む中、研究開発費や販管費の負担が重く、本業の収益力回復が急務だ。ただし、地域別では明暗が分かれた。
販売金融事業は外部収入が3,471億円(同16.7%増)、セグメント利益は861億円(同9.7%増)と好調で、利益率は約24.8%と高水準を維持。自動車事業の損失を補う構図が鮮明だ。
地域別売上高では、最大市場の北米が1兆8,688億円(同24.6%増)と急伸し、営業利益も959億円と全体を牽引。日本は売上高4,282億円(同5.7%減)と減少したが、営業利益は176億円の黒字を確保した。欧州は3,022億円(同2.1%増)ながら261億円の営業損失。アジアは919億円(同26.4%減)と大きく落ち込み、営業利益も55億円と前年から半減。その他地域は2,732億円(同17.6%減)、77億円の損失となった。
下表にセグメント別業績をまとめる。
| セグメント | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 利益率 | 全体売上比 |
|---|---|---|---|---|
| 自動車事業 | 2,617,062 | -17,796 | -0.7% | 88.3% |
| 販売金融事業 | 347,141 | 86,177 | 24.8% | 11.7% |
| 合計 | 2,964,203 | 77,889 | 2.6% | 100.0% |
(注:売上高は外部顧客向け、営業利益はセグメント利益ベース)
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 自動車事業 | 2.6兆円 | 88% | -17,796百万円 | -0.7% |
| 販売金融事業 | 3,471億円 | 12% | 862億円 | 24.8% |
財務状況と資本政策
2026年6月末の総資産は20兆925億円(前期末比2,801億円増)、純資産は5兆3,286億円(同869億円増)、自己資本比率は24.3%とほぼ横ばいだ。営業キャッシュ・フローは372億円の収入となり、前年同期の842億円の支出から大幅改善。収益黒字化に加え、売上債権の減少や仕入債務の管理が寄与した。
一方、自動車事業のフリーキャッシュフローは3,239億円のマイナスで、設備投資やリース車両の取得が重しとなった。自動車事業のネットキャッシュ(手元資金-有利子負債)は9,692億円と、3月末から2,012億円減少。財務健全性は維持しているが、収益力に見合ったキャッシュ創出力の強化が求められる。
配当については、2026年3月期に無配だったが、2027年3月期も中間・期末ともに0円の予想が据え置かれており、当面は無配が続く見通し。自社株買いの発表もなかった。
リスクと課題
日産が直面する主なリスクは以下の通り。
- 為替変動:北米を中心に海外売上比率が高く、急激な円高は業績の下押し要因となる。
- 市場環境の悪化:世界需要の減速や競争激化が販売台数に影響。特に中国を含むアジア市場の低迷が懸念材料。
- 訴訟リスク:過去の有価証券報告書の虚偽記載に関連した訴訟が国内外で継続中。今後の進展次第で追加損失が発生する可能性がある。
- 商品競争力:電動化シフトへの対応遅れやモデルサイクルの陳腐化がシェア低下を招くリスク。
通期見通し
2027年3月期通期の連結業績予想は、売上高13兆円(前期比8.3%増)、営業利益2,000億円(同244.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益200億円を見込む。これは第1四半期の進捗率が売上高で22.8%、営業利益で38.9%にとどまっており、下期偏重型の計画であることを示す。
会社は為替前提を明示していないが、現状の円安水準が維持されれば、北米を中心に利益上振れの可能性もある。一方、営業利益率は1.5%程度と依然低く、本格的な収益回復には更なる構造改革の成果が必要だ。
| 項目 | 2027年3月期 予想 | 前期実績(参考) | 予想増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 13,000,000百万円 | 非開示 | 8.3%増 |
| 営業利益 | 200,000百万円 | 非開示 | 244.8%増 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 20,000百万円 | 非開示 | - |
(注:前期実績は当四半期短信では非開示のため参考値無し)
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/3)
325円
最新終値(2026/10/23)
268.7円-17.3%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#日産#決算#決算分析#四半期決算#黒字転換#営業利益#北米市場#コスト削減#業績回復
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コメント
第1四半期の黒字化はポジティブなサプライズだが、自動車事業の赤字が続いている点は看過できない。実質的な稼ぎ頭は北米と販売金融であり、欧州・アジアの不振が足を引っ張る構造だ。
営業利益率2.6%は量産自動車メーカーとして物足りなく、通期予想の1.5%では株主資本コストを大きく下回る。為替頼みの利益体質から脱却し、商品力強化が急務。ネットキャッシュ9,692億円と財務基盤は厚いが、自動車事業のフリーキャッシュフローが四半期で3,200億円超のマイナスと燃焼が早く、このままでは持続性に疑問が残る。
今後の焦点は、北米の販売勢いが継続するか、中国市場のテコ入れ策、そして次期中期計画でのEV投資の具体像だろう。
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