日本M&AセンターHD、2期連続の中間配当で約9億円超過、第三者委が統制不備を指摘
日本M&Aセンターホールディングスは、2024年12月と2025年12月の中間配当が会社法上の分配可能額を計約9億円上回っていたとの第三者委員会報告を受けた。委員会は確認体制の欠如や役職員の知識不足などを原因に挙げた。同社は株主に返還を求めず、取締役への責任追及訴訟も起こさない一方、配当審議の独立化などの再発防止策を実施している。

開示の要点
- 超過額合計
- 約9.05億円
- 株主への返還
- 求めない
- 責任追及訴訟
- 提起しない
- 役員報酬返納
- 月額の10〜30%、1〜3カ月
- 新中間配当
- 1株14円
2期連続で分配可能額を超過
2024年12月と2025年12月の中間配当はいずれも、効力発生日の分配可能額を上回っていた。超過額は2回で約9.05億円となり、第三者委員会は会社法に違反する配当と認定した。
| 中間配当 | 配当総額(億円) | 分配可能額(億円) | 超過額(億円) |
|---|---|---|---|
| 2024年12月 | 44.4 | 43.7 | 0.72 |
| 2025年12月 | 44.4 | 36.1 | 8.33 |
配当額はいずれも1株14円だった。委員会は、各年の9月末を臨時決算日として計算書類を作成し、必要な監査と承認を経ていれば、2024年分は約81億円、2025年分は約62億円の余裕をもって実施できたと試算している。期中の利益を配当財源に含めるための手続きが取られていなかったことが、超過につながった。
確認する担当も手順も定まらず
委員会は、分配可能額を誰が確認するかが決まっておらず、実際には誰も検証していなかったことを主な原因に挙げた。配当統制の空白に加え、取締役会の審議や監査にも不備があったと指摘している。
- 確認体制: 分配可能額の算定・確認の担当や手順が明確でなく、職務権限表に定めた起案・審査も運用されていなかった。
- 知識不足: 役職員の多くが、期中の利益を配当財源に算入するには臨時計算書類の作成と承認が必要だと十分に理解していなかった。
- 取締役会資料: 中間配当を独立した議案とせず、決算短信の承認をもって決定。資料には持株会社単体の貸借対照表上の数値が示されていなかった。
- 監査の不備: 監査等委員会と内部監査で、中間配当の財源や手続きが具体的な監査項目になっていなかった。
持株会社移行後、同社単体の収益の大半は子会社からの配当金や経営指導料だが、子会社から6月に受け取る配当は、その年の中間配当の財源には直ちに算入できない。委員会は、連結の純資産が十分にあるとの認識が、単体の分配可能額を確認しなかった背景の一つになったと分析した。
民事責任は否定できず、会社は提訴見送り
委員会は、取締役が超過を認識して配当した事実は認められず、刑事責任は負わないと判断した。一方、分配可能額の確認を怠った以上、民事責任がないとは断定できないとした。
- 責任追及の判断: 悪質性や利害関係者への実質的な影響が限定的であること、再発防止策への取り組み、現任取締役の報酬返納の申し出などを踏まえ、委員会は提訴しない判断も不合理とはいえないとした。
- 会社の対応: 監査等委員会は委員会の判断などを総合的に考慮し、取締役の責任を追及する訴えを提起しないことを決めた。
- 株主への対応: すでに支払った配当の返還は求めず、株主に手続きも求めない。
- 報酬の自主返納: 現任取締役が職責に応じて月額報酬の10〜30%を1〜3カ月返納する申し出を行い、取締役会が受理した。
委員会は、責任追及の要否を判断する監査等委員会の委員長と常勤監査等委員も当時の決議に在任していたことを指摘し、判断の過程と理由を株主に丁寧に説明するよう求めた。会社が訴訟を見送る方針を示したことで、今後はその判断の説明と、再発防止策が実際に機能しているかが焦点となる。
配当の独立審議など再発防止策を実施
同社は、配当を独立した議案として審議し、単体の分配可能額を確認する仕組みを導入した。2027年3月期の中間配当は、分配可能額の範囲内であることを確認したうえで、決算短信の承認とは別の議案として決議した。
- 取締役会資料: 単体の分配可能額と算定過程を記載し、配当を独立した議案として審議・決議する。
- 算定と確認: チェックリストに手順を加え、作成者と確認者を分ける。職務権限表に基づく起案・審査も運用する。
- 監査と研修: 取締役会の決議前に監査等委員会が違反の有無を確認し、取締役や配当関係者への研修を定期的に行う。
- 外部専門家: 配当の決定にあたり、必要に応じて外部専門家の確認を受ける。
2027年3月期の中間配当は1株14円、総額約44.9億円。会社は連結業績への影響を軽微としている。過年度分の返還を株主に求めない一方、配当手続きの見直しと取締役会・監査の実効性が、信頼回復に向けた課題となる。
開示前後の株価推移
開示当日の終値(2026/10/30)
619.5円
最新終値(2026/10/30)
619.5円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
日本M&Aセンターをライバルと比較
年収・業績・株価を並べてその他サービス業界の今
掲載19社日本M&Aセンターはその他サービス業界の掲載19社中、売上高で16位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +18.3%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +21.1%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 5社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 11.4%
- 日本M&Aセンター−14.7%
- その他サービス(業界平均)+18.3%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は11社合計で売上高+8.9%・営業利益+51.7%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は1社、下回る企業は4社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは5社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのはリクルート(営業利益+20.1%)。






タグ#日本M&AセンターHD#第三者委員会#中間配当#分配可能額#コーポレートガバナンス#会社法#再発防止策
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本件の焦点は配当金の返還や業績への影響より、配当財源を確認する仕組みがなく、取締役会・監査の双方で見過ごされた統制上の問題にある。会社は手順を整えたが、制度を設けるだけでなく、担当者の分離や監査等委員会の事前確認が継続して運用されるかが重要だ。責任追及を見送る判断についても、委員会が求めた株主への丁寧な説明が信頼回復の前提となる。
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