日本M&Aセンター、2027年3月期第2四半期決算、利益減少も商談在庫は拡大

日本M&Aセンターの2027年3月期第2四半期決算を分析すると、売上高は225億9900万円で前年同期比0.1%増と横ばいだった一方、営業利益は78億9600万円で6.0%減、純利益は53億500万円で1.9%減となりました。広告宣伝費やIT関連費用が利益を押し下げましたが、新規受託や大型案件は伸び、商談在庫は前年同期末比約22%増。下半期の成約拡大につながるかが焦点です。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 226億円 | +0.1% | 528億円 | 43% |
| 営業利益 | 79億円 | -6.0% | 193億円 | 41% |
| 純利益 | 53億円 | -1.9% | 134億円 | 40% |
| 営業利益率 | 34.9% | |||
この決算のポイント
- 1成約件数は上期478件で前年同期比2.0%減、7~9月期は290件で5.1%増。
- 2新規売り受託は699件で13.5%増、ミッドキャップ案件は155件で30.3%増。
- 3商談在庫は9月末に前年同月末比約22%増え、下半期の成約拡大に備える。
- 4年間配当予想は29円で前期と同額、うち特別配当は4円を予定。
- 5通期業績予想は据え置き、売上高528億円、営業利益193億円を見込む。
業績のポイント
日本M&Aセンター(日本M&Aセンターホールディングス)の中間期は、売上高が前年同期比0.1%増、営業利益が6.0%減、親会社株主に帰属する中間純利益が1.9%減でした。売上高がほぼ横ばいのなか、販売費や一般管理費の増加が利益を圧迫しました。売上横ばいで費用増が利益を圧迫
| 指標 | 前年同期比 | 増減額 |
|---|---|---|
| 売上高 | +0.1% | +12百万円 |
| 営業利益 | -6.0% | -503百万円 |
| 経常利益 | -8.0% | -687百万円 |
| 中間純利益 | -1.9% | -105百万円 |
売上原価は案件紹介料や外注費の減少などで前年同期比1.2%減りました。一方、創業35周年の記念施策に伴う広告宣伝費や、データドリブン経営を進めるためのIT関連費用が増え、販売費及び一般管理費は11.1%増加しました。
上期の成約件数は前年同期を下回ったものの、成功報酬1億円以上の大型案件は増え、一件当たりのM&A売上高も高水準を維持しました。第1四半期から第2四半期にかけて成約件数が伸びており、会社は受託案件の質を保ちながら、積み上がった商談の成約を進める方針です。
セグメント別動向
主力のM&Aコンサルティング事業は、外部顧客向け売上高が前年同期比0.1%減、セグメント利益が5.2%減でした。ファンド事業は規模が小さいものの、売上高が53.6%増え、セグメント利益は前年の赤字から黒字に転じました。
M&Aコンサルティング事業は、成約件数の上期累計が前年同期を下回った一方、大型案件の成約組数は15.2%増え、一件当たりの売上高も2.2%増えました。新規受託や商談在庫が伸びていることから、会社は下半期の成約増につなげる考えです。ただし、広告宣伝費やIT費用などの増加が利益を押し下げました。
ファンド事業は、外部顧客向け売上高が前年同期比53.6%増、セグメント利益は前年の赤字から黒字となりました。第1四半期に計上した投資案件の売却益が利益を押し上げており、継続的な事業収益の伸びと分けて見る必要があります。2026年4月には事業を統括する中間持株会社J-Capitalを設立し、ファンド事業をグループの第二の柱として育てる体制を整えました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| M&Aコンサルティング事業 | 225億円 | 100% | 84億円 | 37.3% |
| ファンド事業 | 86百万円 | 0% | 6億円 | 645.3% |
財務状況と資本政策
9月末の総資産は608億6000万円で、3月末から8.1%減少しました。自己資本比率は83.9%と、3月末の75.8%から上昇しています。営業キャッシュフローは前年同期を下回りましたが、投資キャッシュフローはプラスに転じています。
| 指標 | 2026年9月末・中間期 | 2026年3月末・前年同期 |
|---|---|---|
| 総資産 | 608億6000万円 | 662億2300万円 |
| 自己資本比率 | 83.9% | 75.8% |
| 営業キャッシュフロー | 19億3900万円 | 46億7200万円 |
| 投資キャッシュフロー | 23億6200万円 | -32億円 |
| 財務キャッシュフロー | -57億8100万円 | -54億5100万円 |
営業キャッシュフローの減少には、未払費用の支払いなどが影響しました。財務キャッシュフローの主な支出は配当金の支払いと借入金の返済です。9月末の現金及び預金は3月末から減少したものの、自己資本比率は高く、財務基盤には余裕があります。
年間配当予想は1株29円で、前期実績と同額です。中間配当は普通配当12円と特別配当2円、期末予想は普通配当13円と特別配当2円で、年間4円の特別配当を含みます。決算短信には自社株買いの発表はありません。
通期見通し
会社は2027年3月期の通期業績予想を据え置きました。売上高は前期比5.1%増、営業利益は2.9%増、親会社株主に帰属する当期純利益は7.3%増を見込んでいます。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 528億円 | 528億円 | 501億8500万円 |
| 営業利益 | 193億円 | 193億円 | — |
| 当期純利益 | 134億円 | 134億円 | — |
中間期の実績は会社計画に対し、売上高が94.6%、営業利益が91.8%、純利益が85.6%の達成率でした。上期の成約件数は前年同期を下回りましたが、商談在庫は前年同月末比で約22%増えています。
会社は、案件工程の管理を徹底し、受託の質を重視しながら商談在庫の成約を進める方針です。通期予想の達成には、下半期に商談を実際の成約へつなげられるかが重要になります。
戦略トピック
日本M&Aセンターは「第二創業」のスタートの年と位置づけ、2033年3月期に連結経常利益300億円を達成する目標に向けて、営業体制や成長基盤を整えています。AI活用、地域金融機関との連携、ミッドキャップ企業や海外市場への対応を進めています。
- AIによる案件分析: AI商談解析サービス「Bring Out」で譲渡企業約3,700社、譲受候補企業約13,500社の情報を集積し、約13,000組のマッチングを生成。AI経由の初成約も実現しました。
- AI活用の内製化支援: AIブレインパートナーズの完全子会社化を決定し、2026年11月2日の株式交換を予定しています。
- 北米への展開: 北米のミッドキャップ市場に強みを持つ米Generational Groupと戦略的業務提携を結び、日本・ASEANに加えて北米での支援体制を強化します。
- 地域・ミッドキャップの開拓: 全国14カ所のサテライトオフィスなどを通じて地域顧客との接点を増やし、ミッドキャップ企業の専門部署で子会社売却や事業カーブアウトを支援します。
AIや海外展開への投資は、マッチングや案件獲得の効率を高め、将来の成長につなげる狙いです。足元では費用が増えて利益を押し下げているため、投資が成約率や収益性の改善として表れるかが今後の評価ポイントです。
リスクと課題
M&A仲介は案件の受託から成約までに時間がかかり、成約時期のずれが業績に影響します。会社も業績予想は一定の前提に基づくもので、実際の業績はさまざまな要因で変わる可能性があるとしています。
- 成約時期の変動: 上期の成約件数は前年同期比2.0%減でした。商談在庫の増加が下半期の成約に結びつかなければ、通期計画の達成が難しくなる可能性があります。
- 成功報酬への依存: 成功報酬は上期売上高の大きな部分を占めます。大型案件の成約や取引完了の時期によって、売上高と利益が変動しやすい構造です。
- 費用増加と利益率: 広告宣伝やIT関連の支出が増え、経常利益率は前年同期の37.9%から34.9%に低下しました。成長投資の効果が十分に出るまで、費用が利益を圧迫する懸念があります。
- 投資案件の利益変動: ファンド事業では投資案件の売却益が利益を押し上げることがあります。売却の有無や時期によって、期ごとの利益が振れやすい点に注意が必要です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
619.5円
最新終値(2026/10/30)
619.5円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
日本M&Aセンターをライバルと比較
年収・業績・株価を並べてその他サービス業界の今
掲載19社日本M&Aセンターはその他サービス業界の掲載19社中、売上高で16位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +18.3%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +21.1%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 5社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 11.4%
- 日本M&Aセンター−14.7%
- その他サービス(業界平均)+18.3%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は11社合計で売上高+8.9%・営業利益+51.7%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は1社、下回る企業は4社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは5社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのはリクルート(営業利益+20.1%)。






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上期は売上高がほぼ横ばいで利益も減りましたが、新規受託と商談在庫の増加は下期の回復余地を示しています。特にミッドキャップ案件や大型案件が伸びている点は、案件の量だけでなく単価にも目配りする戦略と合致します。
一方、商談在庫が増えたこと自体は、まだ売上や利益の実現を意味しません。広告・IT投資の増加を吸収できるだけの成約率向上が見えるか、またファンドの売却益に頼らず利益を伸ばせるかが、通期予想と「第二創業」の実効性を測る焦点です。
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