野村総研、2027年3月期第2四半期決算、増益で通期予想を上方修正

野村総研の2027年3月期第2四半期決算は、金融ITソリューションやIT基盤サービスの伸びを受け、売上収益が前年同期比8.3%増、営業利益と親会社株主に帰属する中間利益がともに12.0%増となりました。国内のシステム開発や運用サービスが収益性を押し上げ、会社は通期予想を上方修正。期末配当も増額し、好調な受注を成長と還元に反映する決算となりました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,299億円 | +8.3% | 8,700億円 | 49% |
| 営業利益 | 883億円 | +12.0% | 1,800億円 | 49% |
| 純利益 | 600億円 | +12.0% | 1,230億円 | 49% |
| 営業利益率 | 20.5% | |||
この決算のポイント
- 1金融ITソリューションは金融業全般向けが好調で、売上収益は前年同期比8.8%増
- 2IT基盤サービスはデジタルセキュリティやDWP事業が伸び、売上収益は前年同期比11.8%増
- 3通期売上収益予想を前回から200億円引き上げ、8,700億円に上方修正
- 4年間配当予想は前期77円から88円へ増額、期末配当を前回予想から4円引き上げ
- 5自己株式を約700億円取得し、発行済み株式の約3.45%に当たる株式を消却
業績のポイント
野村総研(野村総合研究所)の2027年3月期中間期は、売上収益が4,299億円(前年同期比8.3%増)、営業利益が882億円(同12.0%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益が600億円(同12.0%増)でした。売上収益の増加額は328億円、営業利益の増加額は94億円です。
- 金融IT・IT基盤の拡大: 金融業向けの受注や運用サービス、デジタルセキュリティ事業などが売上を押し上げました。
- 国内サービスの収益性向上: システム開発案件と運用サービスの増加を背景に、営業利益率は前年同期の19.8%から20.5%へ上昇しました。
- 利益の伸びが売上を上回る: 営業利益の増加率は売上収益の増加率を上回り、収益性も改善しました。
同社は、既存システムの刷新やデジタルセキュリティへの投資が堅調で、AIを業務に組み込む需要も増えていると説明しています。インフレや金融市場の変動、中東情勢など不確実さは残るものの、現時点では顧客のIT投資が受注と利益の成長につながっています。
セグメント別動向
金融ITソリューションとIT基盤サービスが利益成長をけん引しました。対照的に、コンサルティングは増収ながら減益となり、セグメントごとの収益力には差が出ています。
コンサルティングは売上収益が前年同期比4.7%増でした。国内でAIコンサルティング案件の受注が増えた一方、一部案件の縮小で稼働率が低下し、営業利益は6.8%減となりました。AIを活用した企業変革支援への需要は強いものの、案件の進み方が利益を左右しました。
金融ITソリューションは売上収益が前年同期比8.8%増、営業利益は17.7%増でした。金融業全般向けの売上が好調で、良好な受注環境と運用サービスの増加が収益性を押し上げました。顧客のAI活用や金融ビジネスプラットフォームの拡大も成長の背景です。
産業ITソリューションは売上収益が前年同期比5.1%増、営業利益は0.5%増でした。国内事業全般で増収となり、案件の進捗が利益を支えましたが、利益の伸びは小幅にとどまりました。
IT基盤サービスは売上収益が前年同期比11.8%増、営業利益は17.8%増でした。デジタルセキュリティ事業やデジタルワークプレイス(DWP)事業が好調で、増収効果も利益を押し上げました。セグメント間で利益の伸びに差があり、コンサルティングの稼働率改善が今後の注目点です。
- コンサル-6.8%
- 金融IT+17.7%
- 産業IT+0.5%
- IT基盤+17.8%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| コンサルティング | 332億円 | 8% | 78億円 | 23.5% |
| 金融ITソリューション | 2,445億円 | 57% | 423億円 | 17.3% |
| 産業ITソリューション | 1,183億円 | 28% | 149億円 | 12.6% |
| IT基盤サービス | 1,192億円 | 28% | 227億円 | 19.1% |
通期見通し
野村総研は中間期の実績と足元の受注環境を踏まえ、2027年3月期の通期業績予想を上方修正しました。売上収益は前回予想から200億円増、営業利益は50億円増とし、親会社の所有者に帰属する当期利益も40億円増へ引き上げました。
| 項目(百万円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 850,000 | 870,000 | 814,708 |
| 営業利益 | 175,000 | 180,000 | 58,273 |
| 税引前利益 | 177,000 | 182,000 | 58,851 |
| 親会社株主に帰属する当期利益 | 119,000 | 123,000 | 15,257 |
増額の中心は、金融ITソリューションとIT基盤サービスです。会社は金融ITソリューションの売上収益予想を前回から190億円、IT基盤サービスを50億円引き上げる一方、コンサルティングは40億円引き下げました。前期実績に対する利益の高い伸び率には、前期実績との比較による影響も含まれるため、今後は受注の継続と利益率の維持が焦点になります。
財務状況と資本政策
自己株式の取得や配当を進める一方、営業活動によるキャッシュ・フローは増加しました。中間期末の自己資本比率に当たる親会社所有者帰属持分比率は前期末から低下しており、株主還元と資本効率の向上を積極化した局面です。
| 指標 | 2027年3月期中間期末・中間期 | 前期末・前年同期 | 比較 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 935,624 | 959,794 | 前期末比2.5%減 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 41.0% | 45.2% | 4.2ポイント低下 |
| 営業活動CF(百万円) | 94,534 | 73,668 | 前年同期比28.3%増 |
| フリーCF(百万円) | 122,201 | 18,928 | 前年同期比545.6%増 |
| 年間配当予想(1株当たり) | 88円 | 77円 | 前期比11円増 |
- 自己株式取得: 中間期に約700億円を投じて1,470万株を取得しました。取締役会が決めた上限は2,100万株、700億円でした。
- 株式消却: 6月に約2,004万株を消却し、消却前の発行済み株式総数の3.45%に相当しました。
- 配当増額: 中間配当は42円で、期末予想を前回予想から4円増の46円に修正しました。年間配当予想は前期の77円から88円です。
- キャッシュの動き: 投資活動によるキャッシュ・フローがプラスになった主因は定期預金の払い戻しです。財務活動では自己株式取得と配当の支出がありました。
配当は内部留保を確保しながら安定配当を続け、連結配当性向40%を目安に決める方針です。フリーキャッシュフローの増加は定期預金の払い戻しを含むため、事業のキャッシュ創出力を見る際は営業活動によるキャッシュ・フローと分けて評価する必要があります。
戦略トピック
野村総研は2026年4月に中期経営計画「NRIグループ中期経営計画(2026-2028)」を始動し、AIによるビジネス変革、デジタルセキュリティサービス、社会共創サービスを成長領域に定めました。コンサルティングからITソリューションまで一貫して提供する強みを、需要拡大が見込まれる分野の事業拡大につなげる方針です。
- AIによるビジネス変革: AI導入のコンサルティングに加え、金融ビジネスプラットフォームにAIを組み込んだサービスを拡大します。国内外のAIテック企業との共創も進めます。
- デジタルセキュリティ: サイバーリスクへの対応として、コンサルティングやAIを組み込むデジタルトラスト基盤、グローバル支援体制を強化します。
- 社会共創サービス: 金融ビジネスプラットフォームの拡大や、社会保障を含むソーシャルDX領域への取り組みを進めます。
AIを単なる業務効率化にとどめず、顧客のビジネスモデルやサプライチェーンの変革につなげる考えです。中間期はAIコンサルティングの受注増が確認できた一方、コンサルティング部門では一部案件の縮小が利益を押し下げており、案件の安定確保と実装までの一貫支援が成長の鍵になります。
リスクと課題
会社は国内外の経済情勢やITサービス市場の需要、他社との競争などを業績に影響する要因として挙げています。中間期の受注環境は良好ですが、投資判断の変化や案件の稼働状況が業績を左右する可能性があります。
- 景気・投資の変調: 物価や国内金利の上昇、中東情勢や自然災害の影響で企業業績や景気の先行きが悪化すれば、顧客のIT投資が抑制されるおそれがあります。
- 案件の稼働率: コンサルティングでは一部案件の縮小に伴い稼働率が低下し、増収でも減益となりました。案件の規模や進捗によって収益が変動します。
- 競争と技術変化: AIやクラウド、デジタルセキュリティの需要が伸びる一方、他社との競争や技術変化への対応が遅れれば、受注やサービスの競争力に影響します。
- サイバーリスク: 顧客のシステム基盤やセキュリティサービスを担うため、サイバー脅威の高度化は対策需要を生む一方、サービスの安全性や信頼性を保つ負担にもなります。
成長分野への投資と、複雑化するシステムを安定運用する人材・体制の確保を両立できるかが課題です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
5,992円
最新終値(2026/10/29)
5,992円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
野村総研をライバルと比較
年収・業績・株価を並べてITサービス業界の今
掲載31社野村総研はITサービス業界の掲載31社中、売上高で3位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +6.9%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- +29.6%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 9社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 14.5%
- 野村総研+5.0%
- ITサービス(業界平均)+6.9%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第2四半期累計は13社合計で売上高+9.7%・営業利益+13.1%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は3社、下回る企業は11社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは9社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのはAppier(営業利益+16.7%)。





タグ#野村総研#決算#決算分析#四半期決算#上方修正#金融IT#AI#自社株買い#増配
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金融ITとIT基盤の両輪が増収増益を支え、通期予想の上方修正にもつながった、手堅さのある中間決算です。特に国内の開発・運用サービスの収益性向上は、受注量だけでなく利益率も改善している点で評価できます。
一方、コンサルティングはAI案件の受注が増えても、案件縮小による稼働率低下で減益でした。AI需要の拡大を持続的な利益成長に結びつけるには、案件の獲得だけでなく、実装までの人員配置と稼働の平準化が重要です。
自己株式取得と増配は株主還元を強める動きですが、自己資本比率は低下しました。定期預金の払い戻しがフリーキャッシュフローを押し上げているため、今後は営業キャッシュ創出の継続性と、成長投資・還元のバランスを確認したい決算です。
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- 2027年3月期 第1四半期
- 2026年3月期 通期
- 2026年3月期 第3四半期




