富士通、2027年3月期第2四半期決算、増収増益も純利益68%減

富士通の2027年3月期第2四半期決算を分析すると、売上収益は前年同期比3.8%増、営業利益は2.1%増と増収増益でした。一方、親会社の所有者に帰属する中間利益は68.5%減。前年同期にあった非継続事業の利益や持分法投資利益の反動が大きく、本業の利益動向と最終利益を分けて見る必要があります。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1.6兆円 | +3.8% | 3.5兆円 | 46% |
| 営業利益 | 1,076億円 | +2.1% | 4,150億円 | 26% |
| 純利益 | 826億円 | -68.5% | 3,100億円 | 27% |
| 営業利益率 | 6.6% | |||
この決算のポイント
- 1売上収益は3.8%増の1兆6,264億円、営業利益は2.1%増の1,076億円
- 2調整後営業利益は6.1%減の1,140億円で、会計上の営業増益とは異なる動き
- 3親会社帰属中間利益は68.5%減、前年の非継続事業利益などの反動が影響
- 4通期の調整後営業利益予想は4,250億円、前期比8.8%増を見込む
- 5年間配当予想は55円で前期比5円増、自己株式取得の支出は328億円
業績のポイント
富士通株式会社(富士通)の2027年3月期中間期は、売上収益が前年同期比3.8%増の1兆6,264億円、営業利益が2.1%増の1,076億円でした。親会社の所有者に帰属する中間利益は68.5%減の826億円となり、本業は増収増益、最終利益は前年の反動で大幅減という結果です。
- 売上収益: 1兆6,264億円で前年同期比3.8%増。売上原価は増えたものの、売上総利益も5,482億円へ増加しました。
- 営業利益: 1,076億円で前年同期比2.1%増。一方、一過性要因などを除く調整後営業利益は1,140億円で6.1%減でした。
- 親会社帰属中間利益: 826億円で前年同期比68.5%減。前年同期には非継続事業から1,463億円の利益があり、持分法による投資利益も大きかったため、比較上の反動が出ました。
売上収益と営業利益は小幅ながら前年を上回りましたが、調整後営業利益は減少しており、報告営業利益の増加だけでは基礎的な収益力の改善を判断しにくい状況です。前年の最終利益には、事業売却などに伴う非継続事業の利益が含まれていました。したがって、純利益の大幅減をそのまま本業の急失速とみなすのではなく、継続事業と一過性要因を分けて見ることが重要です。
セグメント別動向
富士通はサービスソリューション、ハードウェアソリューション、ユビキタスソリューションの3事業を報告セグメントとし、セグメント利益には調整後営業利益を使っています。短信のセグメント表はテキスト上で数値を判読できないため、各事業の売上高や利益の増減は断定せず、開示されている事業内容と評価指標を整理します。
- サービスソリューション: Uvanceを軸に、企業や官公庁、自治体、金融、ヘルスケアなどにサービスを提供する事業です。業種・業務への理解を生かしたサービスの開発と実装を掲げています。
- ハードウェアソリューション: サーバーやストレージの販売・保守に加え、基地局や光伝送システムなどの通信インフラを扱います。ICT基盤を担う製品と保守サービスが中心です。
- ユビキタスソリューション: パソコンなどのクライアントコンピューティングデバイスで構成されます。
富士通は、セグメントの業績を一過性の再編費用やM&A関連費用などを除いた調整後営業利益で評価しています。事業ごとの実績と前年同期比を確認するには、会社が別途公表した2026年度第2四半期決算概要の資料が必要です。全社では調整後営業利益が前年同期比で減っており、サービス事業の成長やハードウェアの需要が、利益率の改善につながるかが今後の焦点です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| サービスソリューション | - | - | - | - |
| ハードウェアソリューション | - | - | - | - |
| ユビキタスソリューション | - | - | - | - |
通期見通し
富士通は2027年3月期の通期予想を据え置きました。売上収益は前期比0.2%増の3兆5,100億円、営業利益は19.1%増の4,150億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は31.0%減の3,100億円を見込みます。
| 項目 | 通期予想 | 前期比 | 調整後予想 |
|---|---|---|---|
| 売上収益(億円) | 35,100 | +0.2% | 35,100 |
| 営業利益(億円) | 4,150 | +19.1% | 4,250 |
| 親会社帰属当期利益(億円) | 3,100 | -31.0% | 3,200 |
会社は予想を修正していません。調整項目を除く見通しでは、調整後営業利益が前期比8.8%増、調整後当期利益が7.3%増で、報告ベースと調整後ベースでは利益の増減率が異なります。中間期の調整後営業利益が前年同期を下回ったため、下期に利益を伸ばし、通期の増益計画を達成できるかが注目点です。
財務状況と資本政策
9月末の総資産は3兆3,100億円で、2026年3月末から1,066億円減少しました。親会社所有者帰属持分比率は61.7%と、前年度末の59.4%から上昇しています。
| 項目 | 2027年3月期中間期 | 前年同期・前年度末との比較 |
|---|---|---|
| 総資産(億円) | 33,100 | 前年度末比1,066億円減 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 61.7% | 前年度末比+2.3ポイント |
| 営業キャッシュフロー(億円) | 1,291 | 前年同期の1,676億円から減少 |
| 投資キャッシュフロー(億円) | -420 | 前年同期は2,591億円の収入 |
| 期末現金同等物(億円) | 4,134 | 前年度末の4,504億円から減少 |
| 年間配当予想(円) | 55 | 前期実績50円から5円増 |
営業キャッシュフローは前年同期を下回りました。前年同期は子会社・事業の売却による収入が投資キャッシュフローを押し上げており、今期の投資キャッシュフローの赤字との単純比較には注意が必要です。中間配当は前期の15円から25円に増え、年間配当予想も増額しています。また、自己株式取得による支出は328億円で、前年同期の205億円を上回りました。
リスクと課題
会社は、主要市場の景気や為替に加え、価格競争、技術開発競争、調達環境などを業績に影響する要因として挙げています。通期予想は据え置かれていますが、中間期の調整後営業利益が減少しているため、下期の収益回復と各リスクへの対応が重要です。
- 主要市場の景気・為替: 日本、欧州、北米、オセアニア、中国を含むアジアの景気や為替、金利の変化が需要と採算に影響する可能性があります。
- 価格・技術競争: 競争激化や技術開発競争によって市場での位置づけが変わり、受注や利益率が低下するおそれがあります。
- 部品調達・供給環境: 部品の調達環境が変化した場合、製品の供給やコストに影響する可能性があります。
- プロジェクト・投資の採算: 不採算プロジェクトの発生や、研究開発、設備投資、買収・事業再編の成果が想定を下回るリスクがあります。
- 規制・品質・突発事象: 公的規制や税務、製品・サービスの欠陥、自然災害などが事業運営や業績に影響する可能性があります。
サービス事業の拡大や技術投資は成長機会である一方、投資負担と成果の見極めが欠かせません。利益計画の進み具合だけでなく、調整後利益の改善やキャッシュ創出力も継続して確認したいところです。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
4,322円
最新終値(2026/10/29)
4,322円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
富士通をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電機業界の今
掲載59社富士通は電機業界の掲載59社中、売上高で6位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +20.4%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- +20.3%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 21社下方 2社
- 営業利益率(業界)
- 10.6%
- 富士通+8.1%
- 電機(業界平均)+20.4%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は32社合計で売上高+12.1%・営業利益+50.6%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は9社、下回る企業は21社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは21社、下方修正は2社。修正幅が最も大きいのはカシオ(営業利益+30.8%)。






タグ#富士通#決算#決算分析#四半期決算#2027年3月期#増収増益#Uvance#配当#自己株式取得
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売上収益と報告営業利益は増えましたが、調整後営業利益は減少しており、表面上の増益だけで事業の勢いを判断するのは早計です。前年の非継続事業利益などが純利益を大きく押し上げていたため、最終利益の減少には比較条件の違いも強く表れています。
注目したいのは、年間配当を増やす一方で、通期の調整後利益増益を見込む会社計画に対し、中間期の調整後営業利益は前年割れとなった点です。下期にサービス事業の収益性や投資の成果が見えてくるかが、投資家にも就職活動中の学生にも富士通の成長力を測る材料になります。
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- 2026年3月期 通期
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