大東建託、2027年3月期第2四半期決算、営業利益14.3%増で通期予想を上方修正

大東建託の決算を分析すると、2027年3月期中間期は売上高が前年同期比3.0%増、営業利益が14.3%増、純利益が28.6%増となり、増収増益でした。賃貸事業の入居率と賃料収入が利益を押し上げ、不動産開発事業も拡大。会社は通期予想を上方修正し、営業利益予想を5.6%引き上げました。建設受注の減少や金利上昇が続くなか、賃貸収益と開発事業の成長が業績を支えています。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 9,887億円 | +3.0% | 2.1兆円 | 48% |
| 営業利益 | 793億円 | +14.3% | 1,500億円 | 53% |
| 純利益 | 642億円 | +28.6% | 1,090億円 | 59% |
| 営業利益率 | 8.0% | |||
この決算のポイント
- 1不動産賃貸事業の営業利益は前年同期比16.7%増、高水準の入居率と家賃収入が寄与
- 2不動産開発事業は売上高が前年同期比30.6%増、営業利益は53.3%増
- 3建設事業の受注工事高は前年同期比13.2%減、9月末受注残高も4.7%減
- 4通期営業利益予想を前回から5.6%引き上げ、年間配当予想は165円
- 5THEグローバル社を完全子会社化する一方、ソラスト株式の譲渡を完了
業績のポイント
大東建託(発行会社の正式名称も大東建託)は、2027年3月期中間期に売上高9,886億円、営業利益792億円、親会社株主に帰属する中間純利益641億円を計上しました。前年同期比ではそれぞれ3.0%増、14.3%増、28.6%増で、利益の伸びが売上高を上回りました。
- 賃貸収益の拡大: 高水準の入居率や管理物件の増加を背景に、賃貸事業の売上高と利益が伸びました。
- 建設事業の採算改善: 完成工事高は減少しましたが、価格改定などで完成工事総利益率が前年同期より2.8ポイント上がりました。
- 不動産開発の成長: THEグローバル社の連結化や各事業の堅調な推移が増収増益に寄与しました。
- 特別損益の影響: ソラスト株式の売却益98億円を計上した一方、JustCo株式の評価損43億円も発生しました。
賃貸収益と開発事業が利益をけん引した一方、純利益の伸びにはソラスト株式売却益も含まれます。営業利益率は前年同期の7.2%から8.0%へ上昇しており、賃貸事業と建設事業の採算改善が本業の利益成長を支えました。
- 売上高291億円
- 営業利益99億円
- 経常利益71億円
- 純利益143億円
セグメント別動向
不動産賃貸事業は売上高が前年同期比4.0%増、営業利益が16.7%増でした。一括借上物件の増加や高水準の入居率を背景に、管理会社の家賃収入が伸びています。9月の居住用家賃ベース入居率は97.7%と前年同期を0.4ポイント上回りました。
建設事業は完成工事高が前年同期比6.1%減ったものの、営業利益は11.4%増でした。価格改定の効果などで完成工事総利益率が改善しましたが、金利上昇で顧客の資金調達負担が増し、受注工事高は13.2%減少しました。
不動産開発事業は売上高が前年同期比30.6%増、営業利益が53.3%増でした。THEグローバル社を連結したことに加え、投資マンションや収益不動産の販売が寄与しました。その他の事業は売上高が6.7%増えた一方、介護施設の拡充や採用費用がかさみ、営業利益は20.1%減でした。
営業利益の前年比はセグメント間で差があり、開発事業の伸びが目立つ一方、その他事業は減益です。賃貸事業の安定したストック収益が全体を支える構図ですが、建設事業では受注の減少が今後の完成工事高に影響する可能性があります。
- 建設+11.4%
- 不動産賃貸+16.7%
- 不動産開発+53.3%
- 金融+3.9%
- その他-20.1%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 建設事業 | 2,480億円 | 25% | 222億円 | 9.0% |
| 不動産賃貸事業 | 6,189億円 | 63% | 533億円 | 8.6% |
| 不動産開発事業 | 789億円 | 8% | 91億円 | 11.5% |
| 金融事業 | 56億円 | 1% | 20億円 | 36.5% |
| その他 | 374億円 | 4% | 30億円 | 8.0% |
通期見通し
大東建託は2027年3月期の通期業績予想を上方修正しました。賃貸事業の賃料改定や高水準の入居率、THEグローバル社の連結化を見込み、売上高は前回予想から1.5%、営業利益は5.6%引き上げています。
| 項目(億円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 20,500 | 20,800 | 19,847 |
| 営業利益 | 1,420 | 1,500 | 1,353 |
| 経常利益 | 1,400 | 1,480 | 1,392 |
| 純利益 | 1,080 | 1,090 | 990 |
今回予想は前期実績と比べ、売上高4.8%増、営業利益10.9%増、純利益10.1%増を見込む内容です。中間期の営業利益は通期予想の約52.9%に達しましたが、建設受注の弱さや資材・人件費の動向には注意が必要です。
財務状況と資本政策
9月末の総資産は前期末から1,992億円増の1兆5,667億円となり、自己資本比率は前期末から2.1ポイント低下して34.4%でした。営業キャッシュフローは前年同期のマイナス157億円からマイナス318億円に悪化し、投資キャッシュフローもマイナス127億円でした。
- 資産と負債: 仕掛販売用不動産や販売用不動産が増加し、長期借入金も前期末から1,458億円増えました。
- 現金の動き: 財務キャッシュフローは1,231億円のプラスで、現金及び現金同等物は中間期末に3,387億円となりました。
- 配当: 中間配当は1株81円、期末予想は84円で、年間予想165円は株式分割を考慮した前期実績150.4円から14.6円増です。
- 自己株式: 中間期の自己株式取得による支出は134億円でした。
開発用不動産の仕入れやTHEグローバル社の取得などを背景に資産と有利子負債が増えています。年間配当予想は連結配当性向50.2%を想定しており、成長投資と株主還元を並行する方針です。
戦略トピック
大東建託は不動産開発事業の拡大に向け、THEグローバル社を完全子会社化しました。同社は首都圏中心部での住宅開発や資本効率の高い経営に強みを持ち、大東建託はグループの開発力や仕入れ力を高め、建築機能との連携や出口戦略の多様化を進める考えです。
一方、2015年から資本業務提携を続けてきたソラストの保有株式は全て譲渡し、提携を終了しました。協業効果が限定的だったと判断したためで、売却益98億円を中間期の特別利益に計上しています。
開発事業をグループの柱へ育成する狙いが明確になった一方、買収後の統合や収益化が問われます。会社はTHEグローバル社との協働を通じ、不動産開発事業での投資拡大と収益力の強化を目指しています。
リスクと課題
中間期は増益でしたが、建設受注の減少や金利・コストの上昇は、今後の受注や利益率を左右する要因です。会社が挙げる事業環境の不透明さも踏まえ、次の点に注意が必要です。
- 金利上昇: 顧客の資金調達負担が増すと賃貸住宅への投資判断が慎重になり、建設事業の受注に影響する可能性があります。
- 受注と受注残の減少: 中間期の受注工事高は前年同期比13.2%減、9月末受注残高も4.7%減で、将来の完成工事高を押し下げる懸念があります。
- 原材料・エネルギー価格: 価格の高止まりが続けば、建設コストや施設運営費が増え、利益率を圧迫するおそれがあります。
- 介護事業の先行費用: 施設拡充や人材採用に伴う費用が続けば、その他事業の利益回復が遅れる可能性があります。
- 買収後の統合: THEグローバル社との連携が想定通り進まない場合、開発事業の成長や投資回収に影響するリスクがあります。
賃貸事業は入居率と管理戸数の拡大が支えですが、建設受注の回復と買収事業の収益化が中期的な焦点です。資材価格、金利、為替や地政学リスクによる物流・エネルギーへの影響も業績を変動させる可能性があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
3,225円
最新終値(2026/10/30)
3,225円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
大東建託をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて建設・不動産業界の今
掲載61社大東建託は建設・不動産業界の掲載61社中、売上高で9位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +3.4%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +1.5%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 11社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 10.1%
- 大東建託+12.1%
- 建設・不動産(業界平均)+3.4%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は33社合計で売上高+7.2%・営業利益+17.1%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は5社、下回る企業は28社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは11社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのはユアテック(営業利益+16.9%)。






タグ#大東建託#決算#決算分析#四半期決算#2027年3月期#上方修正#不動産賃貸事業#不動産開発事業#配当
この記事はいかがでしたか?
登録不要・匿名で送信コメント
賃貸事業の安定した収益に加え、開発事業が伸びて通期予想の上方修正につながった点は評価できます。とくに入居率の高さと賃料改定は、建設受注が弱い局面でも利益を支える力になっています。
一方、受注工事高の減少は先行きの注意材料です。今後はTHEグローバル社との統合効果が数字に表れるか、開発投資の拡大が資本効率を損なわず利益につながるかが注目点です。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/daito-trust/report/2027-Q2
関連記事
同社の関連記事
賃貸住宅・不動産管理の最新記事
- 決算解説レオパレス212027年3月期 第1四半期レオパレス21、2027年3月期第1四半期決算、営業微減益も純利益急拡大

- 決算解説スターツ2026年3月期 通期スターツコーポレーション・2026年3月期通期、営業利益11.2%増の362億円——管理物件拡大と建設単価上昇が寄与、次期10円増配へ

- 決算解説東建2027年4月期 第1四半期東建、2027年4月期第1四半期決算、増収も建設採算悪化で営業益18%減

- 決算解説大和ハウス2027年5月期第1四半期タマホーム、2027年5月期第1四半期決算、営業損失も通期業績予想を大幅上方修正

- シルバー事業の譲渡レオパレス219月30日レオパレス21、介護子会社全株式を1円で売却、特別損失計上し非連結化へ

掲載企業

大東建託株式会社
東証 1878
これが最新の決算解説です
次回の決算発表
同業他社の発表予定
今後2週間に609社が決算発表 · 注目企業と進捗率を見る他の決算期
4期- 2027年3月期 第2四半期(中間期)
- 2027年3月期 第1四半期
- 2026年3月期 通期
- 2026年3月期 第3四半期




