豊田通商、2027年3月期第2四半期決算、純利益40%増で資源高が寄与

豊田通商の決算を分析すると、2027年3月期中間期は資源・メモリ関連市況の上昇などを受け、収益が前年同期比32.6%増、営業利益が42.2%増、親会社株主に帰属する中間利益が40.2%増となりました。サーキュラーエコノミーやデジタルソリューション、アフリカが利益を伸ばし、通期純利益予想は4,300億円を据え置きました。資源市況の追い風が増益をけん引する一方、営業キャッシュフローはマイナスに転じています。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 7.2兆円 | +32.6% | — | — |
| 営業利益 | 3,713億円 | +42.2% | — | — |
| 純利益 | 2,620億円 | +40.2% | 4,300億円 | 61% |
| 営業利益率 | 5.2% | |||
この決算のポイント
- 1収益は資源・メモリ関連市況の上昇などで前年同期比32.6%増の7兆1,806億円。
- 2営業利益は売上総利益の増加などを受け、前年同期比42.2%増の3,712億円。
- 3サーキュラーエコノミーの中間利益は資源市況の上昇で前年同期比206.4%増。
- 4アフリカの中間利益は自動車販売の増加などで前年同期比40.2%増の650億円。
- 5通期純利益予想は4,300億円で据え置き、年間配当予想は前期比5円増の125円。
業績のポイント
豊田通商株式会社の2027年3月期中間期は、収益が前年同期比32.6%増の7兆1,806億円、営業利益が42.2%増の3,712億円、親会社の所有者に帰属する中間利益が40.2%増の2,620億円でした。資源・メモリ市況の上昇が増益を後押ししました。
- 収益の押し上げ: 資源およびメモリ関連市況の上昇などにより、前年同期から1兆7,663億円増加しました。
- 営業利益の増加: 売上総利益が前年同期比1,753億円増え、販売費及び一般管理費の増加を吸収しました。
- 純利益の増加: 営業利益の伸びに加え、持分法による投資損益も前年同期比で約94億円増加しました。
増収率に比べて利益の伸びが大きく、売上総利益の拡大が利益を押し上げた形です。一方、販売費及び一般管理費も増加しており、今後は市況の追い風が弱まった場合に利益成長をどこまで維持できるかが焦点になります。
セグメント別動向
利益の伸びはセグメントで濃淡があり、資源関連やデジタル、アフリカが増益をけん引しました。資源関連とアフリカが利益成長を主導する一方、グリーンインフラとライフスタイルは減益でした。
| セグメント | 中間利益の前年同期比 |
|---|---|
| メタル+(Plus) | +7.3% |
| サーキュラーエコノミー | +206.4% |
| サプライチェーン | +34.3% |
| モビリティ | +27.7% |
| グリーンインフラ | -95.3% |
| デジタルソリューション | +118.6% |
| ライフスタイル | -35.6% |
| アフリカ | +40.2% |
サーキュラーエコノミーは資源市況の上昇を受け、中間利益が576億円に拡大しました。アフリカは自動車販売の増加などで650億円となり、8セグメントの中で最大です。デジタルソリューションはメモリ市況の上昇や車載エレクトロニクスの取り扱い増加が寄与しました。
対照的に、グリーンインフラは海外発電事業体の一過性損益や国内発電量の減少で利益が落ち込みました。ライフスタイルも南米食料事業の取り扱い増加があったものの、コメや綿実油の市況下落が重荷となっています。
- メタル++7.3%
- サーキュラー+206.4%
- サプライ+34.3%
- モビリティ+27.7%
- グリーン-95.3%
- デジタル+118.6%
- ライフスタイル-35.6%
- アフリカ+40.2%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| メタル+(Plus) | 9,205億円 | 13% | - | - |
| サーキュラーエコノミー | 1.4兆円 | 20% | - | - |
| サプライチェーン | 7,126億円 | 10% | - | - |
| モビリティ | 7,190億円 | 10% | - | - |
| グリーンインフラ | 4,214億円 | 6% | - | - |
| デジタルソリューション | 1.4兆円 | 20% | - | - |
| ライフスタイル | 4,133億円 | 6% | - | - |
| アフリカ | 1.1兆円 | 16% | - | - |
財務状況と資本政策
9月末の総資産は前期末比1,106億円増の8兆6,342億円でした。自己資本比率に相当する親会社所有者帰属持分比率は30.9%となり、前期末の37.0%から低下しました。
| 項目 | 2027年3月期中間期 | 比較・前年同期 |
|---|---|---|
| 総資産 | 8兆6,342億円 | 前期末比+1,106億円 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 30.9% | 前期末37.0% |
| 営業キャッシュフロー | -29億円 | 前年同期は+1,405億円 |
| 投資キャッシュフロー | -1,141億円 | 前年同期は-2,365億円 |
| 財務キャッシュフロー | -3,640億円 | 前年同期は+870億円 |
| 年間配当予想 | 125円 | 前期実績120円 |
営業キャッシュフローは、棚卸資産や営業債権の増加などが影響してマイナスとなりました。財務キャッシュフローの大幅な支出には、自己株式の取得に伴う約6,637億円の支出が含まれ、資本合計も自己株式の取得や配当などを背景に前期末から減少しました。
中間配当は前年同期の58円から62円に増え、期末配当予想は63円です。年間配当は前期から5円増える計画で、利益成長を株主還元にも反映する一方、運転資金の増加と大型の自己株取得が財務の変化として目立ちます。
通期見通し
豊田通商は2027年3月期の通期業績予想を据え置き、親会社の所有者に帰属する当期利益を4,300億円、基本的1株当たり利益を458.58円としました。会社は7月31日に公表した予想から変更していませんが、セグメント別の業績予想内訳は変更したと説明しています。
| 指標 | 2027年3月期予想 | 7月公表予想との比較 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 4,300億円 | 変更なし | +16.1% |
| 基本的1株当たり当期利益 | 458.58円 | 変更なし | 記載なし |
中間期の親会社帰属利益は2,620億円で、通期予想に対する進捗は約61%です。市況の上昇や自動車関連の取り扱い増加が続くかが、予想達成を左右するポイントになります。業績予想の前提には不確実性があり、会社も実際の業績はさまざまな要因で予想と異なる可能性があるとしています。
戦略トピック
豊田通商は中間期に、資源・エネルギーからデジタル、モビリティ、アフリカの医薬品流通まで、事業基盤を広げる施策を進めました。短期的な市況の追い風を取り込みながら、将来の成長領域への投資も並行させています。
- レアアース開発: ナミビアの探査・開発事業会社を設立し、JOGMECが最大4,700万カナダドルの出資を決定しました。今年度中を目途に事業化に向けた最終判断を行う計画です。
- アフリカの医薬品流通: ボツワナの医薬品卸売会社の株式75%を取得し、マダガスカルの大手卸売会社も子会社化しました。南部アフリカの流通網を広げ、品質管理やトレーサビリティの強化を目指します。
- 航空機整備拠点: ベトナムで航空機の整備・修理・オーバーホールを行う総額3億6,000万米ドル規模の合弁事業を立ち上げました。施設は2028年の稼働を予定しています。
- 新しい事業領域: 風力発電の電力を直接使う北海道のデータセンターは2027年度中の稼働を目指します。また、都市型小型EV「Lean3」の国内販売・リースや、搬送ロボットを開発するTriOrbへの出資にも取り組みました。
いずれも、地域の需要や社会課題に根ざした事業づくりを意識した施策です。投資が収益に結びつくまでには時間がかかるものもあり、今後は事業化判断や稼働開始後の顧客獲得、投資回収の進捗が注目されます。
リスクと課題
会社は、世界経済が底堅さを保つ一方で、通商政策や地政学情勢、為替・金利の変動などを不確実性として挙げています。市況上昇の恩恵を受けた決算だけに、外部環境の変化と運転資金の管理が今後の焦点です。
- 通商政策・地政学リスク: 米国の通商政策や中東情勢の長期化が、貿易や供給網、エネルギー価格に影響する可能性があります。
- 資源・メモリ市況の変動: 今中間期の収益増加には市況上昇が寄与しました。市況が反落すれば、関連事業の売上や利益が下押しされるおそれがあります。
- 中国経済の弱さ: 不動産不況や内需・雇用の停滞が続いており、自動車を含む取引需要が想定を下回るリスクがあります。
- 為替・物価・金利の変動: 為替相場の乱高下やエネルギー高、長期金利の上昇は、事業採算や資金調達環境に影響し得ます。
- 運転資金とキャッシュ創出: 営業キャッシュフローが前年同期の黒字から赤字に転じました。棚卸資産や営業債権の増加を抑え、利益を現金化できるかが課題です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
7,247円
最新終値(2026/10/29)
7,247円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
豊田通商をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて総合商社業界の今
掲載9社豊田通商は総合商社業界の掲載9社中、売上高で4位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +43.6%全業界 +16.0%
- 営業利益率(業界)
- 5.8%
- 豊田通商+61.0%
- 総合商社(業界平均)+43.6%
- 全業界+16.0%
- 会社計画2026年度の会社計画(2社合計)は売上高+2.7%・営業利益+8.0%。営業利益の伸びは全業界の計画(+11.7%)を下回る。
- 決算予定今後30日で8社が決算を発表予定。10月30日の双日、11月2日の住友商事など。






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市況上昇を背景に、資源関連に加えてメモリやアフリカの事業が利益を伸ばした点は、事業ポートフォリオの広さが業績に表れた決算です。中でもアフリカは自動車販売だけでなく医薬品流通にも基盤を広げており、地域内での事業展開が中長期の強みになり得ます。
一方、営業キャッシュフローの赤字転落と自己株取得に伴う大きな資金流出は見過ごせません。利益の伸びが資源・メモリ市況に支えられた面もあるため、次の決算では市況の変化だけでなく、運転資金の回収と投資後の収益化を確認したいところです。
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