大塚ホールディングス、IgA腎症薬シベプレンリマブが腎不全リスク97.1%低減、米国正式承認申請へ
大塚ホールディングスは、IgA腎症治療薬「VOYXACT(シベプレンリマブ)」のフェーズ3試験で、2年間の腎機能低下・腎不全の複合イベントリスクをプラセボ比97.1%低減した最終結果を公表した。510人を対象にした解析で、薬剤群は259人中1人、プラセボ群は251人中28人に発生した。米国では2025年11月に迅速承認済みで、正式承認に向けた申請の段階的提出も完了。2026年12月期の連結業績予想は据え置く。

開示の要点
- イベントリスク
- プラセボ比97.1%低減
- 試験対象
- 510人
- 薬剤群の発生数
- 259人中1人
- タンパク尿
- 24カ月時点で61.3%低下
- 正式承認申請
- 10月6日(米国時間)に段階的提出完了
2年間の腎イベント、薬剤群は259人中1人
大塚製薬のシベプレンリマブは、フェーズ3「VISIONARY」試験の最終解析で、腎機能低下または腎不全からなる複合腎イベントの発生リスクをプラセボ比97.1%低減した。
| 指標 | シベプレンリマブ群 | プラセボ群 |
|---|---|---|
| 複合腎イベント | 1人(0.4%) | 28人(11.2%) |
| eGFRが40%以上持続低下 | 1人 | 28人 |
| 血清クレアチニン値が持続的に2倍 | 0人 | 13人 |
| eGFRが15未満に持続低下 | 1人 | 10人 |
| 腎代替療法の開始 | 0人 | 5人 |
試験は成人の原発性IgA腎症患者510人を対象とした無作為化比較試験で、24カ月にわたり評価した。薬剤群では複合イベントの発生が1人にとどまり、腎機能低下や腎不全に関する各評価項目でもプラセボ群より少なかった。
腎機能低下を強く抑制した結果は、腎不全への進行リスクがある患者にとって重要な臨床データとなる。一方、複合イベントの発生数は両群合計29人であり、今後の長期データの蓄積も治療効果を評価するうえで注目される。
eGFR維持、ガイドラインの治療目標を達成
試験では24カ月間の腎機能の維持効果も確認した。シベプレンリマブ群の年間eGFRスロープはプラス0.3、プラセボ群はマイナス4.2 mL/min/1.73m²/年で、群間差はプラス4.5だった。
- 24カ月時点のeGFR変化量: ベースライン比で薬剤群はプラス1.3、プラセボ群はマイナス7.9 mL/min/1.73m²。群間差はプラス9.2だった。
- 血尿: ベースライン時に血尿があった患者のうち、尿試験紙で陰性となった割合は薬剤群78.6%、プラセボ群20.2%だった。
- サブグループ: 事前に定めたすべてのサブグループで、腎機能維持効果が一貫して確認された。
年間の腎機能低下を正常な速度である1 mL/min/1.73m²未満に抑えるというKDIGO 2025の治療目標を、IgA腎症のフェーズ3試験として初めて達成したと同社は説明する。腎機能を長期に保つ効果を示すデータとして、タンパク尿の改善に加え、疾患進行を抑える可能性を支える結果となった。
24カ月の安全性はプラセボと同程度
24カ月にわたる安全性プロファイルはプラセボ群と同程度で、新たな安全性上の懸念は確認されなかった。重篤な感染症の発現率は薬剤群で低かった。
| 有害事象 | シベプレンリマブ群 | プラセボ群 |
|---|---|---|
| 全有害事象 | 90.7% | 90.0% |
| 感染症・寄生虫症 | 51.4% | 51.0% |
| 注射部位反応 | 35.1% | 32.3% |
| 重篤な感染症 | 1.9% | 4.0% |
有効性と安全性の両面で、2年間のデータが得られたことは、治療選択肢としての評価に関わる。免疫に関わる薬剤であるため、今後も長期投与時の安全性や効果の持続が確認されるかが焦点となる。
米国で正式承認に向けた申請を完了
VOYXACTは2025年11月、進行リスクのある成人IgA腎症患者のタンパク尿減少を効能として、米食品医薬品局(FDA)の迅速承認を取得している。大塚製薬は10月6日(米国時間)、正式承認に向けた生物製剤承認一部変更申請(sBLA)の段階的提出を完了した。
- 発表の場: 米国腎臓学会(ASN)の年次学術集会で最終解析結果を発表し、医学誌「The New England Journal of Medicine」にも同時掲載した。
- 今後のデータ: 現在実施中の非盲検長期継続試験から、追加データが得られる予定としている。
- 業績への影響: 2026年12月期の連結業績予想に変更はない。
今回の試験結果は、迅速承認から正式承認を目指す手続きの重要な根拠となる。同社はVOYXACTを今後の成長を牽引する製品群の一つと位置付けているが、今回の発表時点で当期業績予想への反映はない。
開示前後の株価推移
開示当日の終値(2026/10/23)
12,455円
最新終値(2026/10/23)
12,455円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#大塚ホールディングス#大塚製薬#シベプレンリマブ#VOYXACT#IgA腎症#腎臓病治療薬#フェーズ3試験
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コメント
腎機能低下や腎不全に関する複合イベントを大幅に抑えた点に加え、eGFRの年間変化や安全性の結果がそろったことで、正式承認に向けた臨床面の根拠は厚みを増した。ただし、現時点では米国で迅速承認された薬剤であり、正式承認や今後の長期データが次の焦点となる。臨床成果を実際の事業成長につなげられるかを見極めたい。
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