北海道電力、2027年3月期第2四半期決算、増収も営業利益49%減

北海道電力の2027年3月期中間決算を分析すると、売上高は前年同期比7.1%増の4,413億円となった一方、営業利益は49.4%減の344億円、純利益は54.1%減の206億円だった。電気事業の営業収益が伸びたものの、営業費用の増加が利益を押し下げた。泊発電所3号機の安全対策工事など将来の供給力確保に向けた投資を進める中、通期予想は据え置き、年間配当は前期より1円増の33円を見込む。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,413億円 | +7.1% | 1.0兆円 | 43% |
| 営業利益 | 344億円 | -49.4% | 610億円 | 56% |
| 純利益 | 206億円 | -54.1% | 330億円 | 62% |
| 営業利益率 | 7.8% | |||
この決算のポイント
- 1電気事業の営業収益は前年同期比7.5%増え、全体の増収をけん引した
- 2営業費用が前年同期より629億円増え、営業利益は335億円減少した
- 3通期営業利益予想は610億円で据え置き、前期比では16.7%減を見込む
- 4年間配当予想は前期の32円から33円に増加し、予想の修正はない
- 5泊発電所3号機の建設関連支払利息を資産計上し、中間純利益を1.71億円押し上げた
業績のポイント
北海道電力(北海道電力株式会社)の2027年3月期中間期は、増収ながら大幅減益となった。売上高は前年同期比7.1%増の4,413億円、営業利益は49.4%減の344億円、親会社株主に帰属する中間純利益は54.1%減の206億円だった。営業利益率は前年同期の約16.5%から約7.8%へ低下した。
- 売上高の増加: 前年同期から293億円増加。電気事業の営業収益が伸び、その他事業も小幅に増収となった。
- 営業利益の減少: 前年同期から335億円減少。営業収益の増加を上回って営業費用が629億円増えた。
- 経常利益の減少: 前年同期比55.8%減の274億円。支払利息は前年同期の67億円から104億円に増加した。
増収を利益に結びつけられず、電気事業の収益増だけでは費用増を吸収できなかった。短信には営業費用の増加要因を燃料費などに分けた説明はなく、費目別の詳細な要因分析には限界がある。なお、会計方針変更により建設資金の支払利息を資産計上した結果、経常利益は2.41億円、純利益は1.71億円押し上げられており、変更がなければ利益はさらに小さかった。
セグメント別動向
短信ではセグメント別の営業利益は開示されていないため、ここでは損益計算書に記載された電気事業とその他事業の営業収益を確認する。電気事業の営業収益は前年同期比7.5%増え、全体の増収を主導した一方、その他事業の伸びは小幅にとどまった。
| 事業区分 | 営業収益(百万円) | 前年同期比 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 電気事業 | 418,304 | +7.5% | 94.8% |
| その他事業 | 23,030 | +0.4% | 5.2% |
電気事業の営業収益は全体の大半を占め、同社業績が電力販売と電力供給に関わる費用の動きに大きく左右される構造がうかがえる。ただし、利益の事業別内訳はこの短信から確認できず、収益の伸びが各事業の採算改善につながったかは判断できない。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 電気事業 | 4,183億円 | 95% | - | - |
| その他事業 | 230億円 | 5% | - | - |
通期見通し
2027年3月期の連結業績予想は修正されず、売上高1兆250億円、営業利益610億円、純利益330億円を見込む。売上高は前期比19.7%増の計画だが、営業利益と純利益はともに25.0%減を予想しており、増収と利益回復が一致しない見通しだ。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 | 今回予想の前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 記載なし | 1,025,000 | 記載なし | +19.7% |
| 営業利益(百万円) | 記載なし | 61,000 | 記載なし | -16.7% |
| 経常利益(百万円) | 記載なし | 46,000 | 記載なし | -25.0% |
| 純利益(百万円) | 記載なし | 33,000 | 記載なし | -25.0% |
前回予想と前期実績の金額は今回の短信に掲載されていないため、比較表では数値を補っていない。中間期の純利益は通期予想に対して約62%に達する一方、営業利益は約56%にとどまる。中間期に費用が膨らんだ状況を踏まえると、下期に利益率をどう立て直すかが計画達成の焦点となる。
財務状況と資本政策
9月末の総資産は前期末から1,041億円増えて2兆5,752億円となり、自己資本比率は18.5%から18.7%へ0.2ポイント上昇した。年間配当は33円を予想し、前期の32円から1円増やす計画だ。
| 項目 | 2026年9月末・2027年3月期予想 | 比較対象 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 2,575,195 | 2026年3月末 2,471,051 | +104,144 |
| 純資産(百万円) | 498,906 | 2026年3月末 473,636 | +25,270 |
| 自己資本比率 | 18.7% | 2026年3月末 18.5% | +0.2ポイント |
| 年間配当(円) | 33.00 | 前期 32.00 | +1.00 |
中間連結キャッシュフロー計算書の数値はこの短信に掲載されておらず、営業・投資・財務キャッシュフローの動向は確認できない。現金及び預金は前期末から464億円減少し、社債は600億円増加した。泊発電所3号機の安全対策工事など供給力確保への投資を進める中、配当を増やす一方で財務基盤を保てるかも注目点となる。自社株買いの実施については記載がない。
戦略トピック
北海道電力は、泊発電所3号機の建設に充てた資金の支払利息を、2027年3月期から費用処理ではなく資産の取得原価に算入する会計方針へ変更した。安全対策工事について長期脱炭素電源オークションで落札し、原子炉設置変更許可も得たことで、投資回収の予見性が高まったと説明している。
- 泊発電所の再稼働準備: 安全性の確保を前提に、3号機の安全対策工事と再稼働に向けた取り組みを進める。
- 会計方針の変更: 建設に充当した資金の支払利息を資産計上し、中間期の経常利益を2.41億円、純利益を1.71億円押し上げた。
- 将来の電力需要への備え: 次世代半導体工場や大型データセンターの道内進出、再生可能エネルギーの導入拡大を見込み、供給力と調整力の確保を掲げる。
今回の変更は当期利益を支える一方、現金収入を増やすものではなく、投資負担そのものが軽くなるわけではない。泊発電所の安全対策と再稼働の進展が、将来の電力供給や投資回収にどう結びつくかが中長期の重要テーマだ。
リスクと課題
中間期は増収でも営業利益が前年同期の半分程度となり、費用の変動が収益性に直結する状況が表れた。今後は電力需要の拡大を取り込みつつ、発電設備への投資と財務のバランスを保てるかが課題となる。
- 費用増加と採算性: 営業費用が前年同期から629億円増え、営業利益を押し下げた。会社はこの短信で増加要因の詳細を示しておらず、費用の推移が通期利益を左右する。
- 金利負担: 支払利息は前年同期の67億円から104億円に増加した。借入や社債による資金調達が続く場合、金利負担の拡大が利益の重荷となる可能性がある。
- 泊発電所の工事・再稼働: 安全対策工事を進める一方、事業計画は安全性を大前提としている。工事や再稼働に向けた進展が想定どおり進むかは、将来の供給力と投資回収に関わる。
- 需要見通しと設備投資: 半導体工場やデータセンターの進出、再エネ拡大による需要・供給構造の変化を見込む。需要の実現時期と必要な設備投資の規模には不確実性が残る。
通期予想は据え置かれており、会社自身も実際の業績はさまざまな要因で予想と異なる可能性があると注意を促している。費用の内訳や下期の利益改善策が今後の説明で焦点となる。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
1,079円
最新終値(2026/10/30)
1,079円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
北海道電力をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電気・ガス業界の今
掲載19社北海道電力は電気・ガス業界の掲載19社中、売上高で11位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +12.2%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- −17.6%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 4社下方 2社
- 営業利益率(業界)
- 7.8%
- 北海道電力+0.4%
- 電気・ガス(業界平均)+12.2%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第2四半期累計は12社合計で売上高+13.7%・営業利益−39.6%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は8社、下回る企業は8社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは4社、下方修正は2社。修正幅が最も大きいのは北海道電力(営業利益+27.1%)。




タグ#北海道電力#決算#決算分析#四半期決算#電力会社#泊発電所#営業利益減益#配当#電力需要
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売上高が伸びても利益が大きく減った点は、北海道電力の業績が販売収益だけでなく費用の動きに強く左右されることを示しています。短信では費用増の内訳が十分に説明されていないため、通期予想の達成可能性を判断するには、下期の費用動向や説明会での補足が重要です。
一方、泊発電所3号機の工事や、半導体工場・データセンターを見据えた供給力確保は、北海道の電力需要と脱炭素化を支える長期投資です。会計方針の変更で当期利益はわずかに押し上げられていますが、注目すべきなのは会計上の利益より、工事の進展と投資回収の見通しが実際に強まるかどうかです。
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