東北電力、2027年3月期第2四半期決算、売上高急増も純利益66%減
東北電力の2027年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比47.8%増の1兆7,275億円となる一方、営業利益は57.2%減の603億円、純利益は66.0%減の297億円でした。エリア外取引の増加が売上高を押し上げましたが、女川原子力発電所2号機の定期検査や送配電の需給調整費用増加などが利益を圧迫しました。会社は通期予想を初めて公表し、年間配当予想も2円増額しました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1.7兆円 | +47.8% | 3.5兆円 | 50% |
| 営業利益 | 604億円 | -57.2% | 2,100億円 | 29% |
| 純利益 | 298億円 | -66.0% | 1,200億円 | 25% |
| 営業利益率 | 3.5% | |||
この決算のポイント
- 1間接オークションの自己約定を含むエリア外取引が増え、売上高は前年同期比47.8%増の1兆7,275億円。
- 2女川原発2号機の定期検査や需給調整費用の増加で、発電・販売事業の利益は54.3%減。
- 3送配電事業は需給調整の調達単価上昇などで、経常損失が前年同期から166億円拡大。
- 4通期の営業利益予想は2,100億円、純利益予想は1,200億円。年間配当予想は前期比2円増の42円。
- 5営業キャッシュフローは前年同期の1,658億円の黒字から127億円の赤字に転じた。
業績のポイント
東北電力(東北電力株式会社)の2027年3月期中間期は、売上高が前年同期比47.8%増の1兆7,275億円、営業利益は57.2%減の603億円、親会社株主に帰属する中間純利益は66.0%減の297億円でした。経常利益も63.5%減の458億円となり、売上高の大幅増とは対照的に利益は落ち込みました。
- 売上高の増加: エリア外取引の拡大などで前年同期から5,585億円増えました。うち間接オークションに伴う自己約定は3,776億円で、前年同期より3,509億円増加しています。
- 利益を押し下げた要因: 女川原子力発電所2号機の定期事業者検査による稼働差や、燃料費調整制度のタイムラグが収支を悪化させました。
- 送配電の費用増: 調整力の調達単価上昇などで需給調整関係の収支が悪化し、送配電事業の損失が拡大しました。
- 収支を下支えした要素: 市場・販売環境の変化に伴う収支改善や、電力先渡取引などの時価評価影響がありました。
自己約定は売りと買いを同時に行う取引で、売上高と費用の両方に計上されるため、会社は収支への影響がないと説明しています。したがって、売上高の伸びをそのまま電力販売の採算改善とみることはできません。売上高は取引増で膨らむ一方、利益は大幅減となり、発電所の稼働状況や燃料費調整の時間差が収益を左右した中間期でした。
セグメント別動向
発電・販売事業は売上高が前年同期比54.3%増の1兆4,125億円となった一方、セグメント利益は54.3%減の626億円でした。送配電事業は増収ながら損失が拡大し、事業ごとに収益環境の違いが表れています。
発電・販売事業は、小売販売電力量が前年同期比7.8%増の301億kWh、卸売が11.6%増の124億kWhとなり、販売電力量全体では8.8%増の424億kWhでした。新規顧客の獲得や相対取引の増加が販売を押し上げましたが、女川原発2号機の定期検査による稼働差や燃料費調整のタイムラグが利益を圧迫しました。
送配電事業は、外部顧客向け売上高が前年同期比27.0%増の2,895億円となりました。一方、エリア電力需要は夏の気温が前年より低く推移し、冷房需要が減ったことなどから3.9%減少しました。基準託送料金の減少や調整力の調達単価上昇も重なり、経常損失は225億円と前年同期から166億円拡大しました。
- その他: 外部顧客向け売上高は前年同期比0.4%減の256億円でした。総合設備エンジニアリング事業では原子力関連工事が増え、セグメント利益は11.1%増の68億円となりました。
発電・販売の販売量は増えたものの、定期検査や調達コストの影響で利益の回復にはつながっていません。送配電でも、電力需要の減少と需給調整費用の増加が重荷となりました。
- 発電・販売-54.3%
- 送配電-279.7%
- その他+11.1%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 発電・販売事業 | 1.4兆円 | 82% | 626億円 | - |
| 送配電事業 | 2,895億円 | 17% | -226億円 | - |
| その他 | 256億円 | 2% | 68億円 | - |
財務状況と資本政策
2026年9月末の総資産は前期末比0.7%増の5兆7,735億円、自己資本比率は19.4%で前期末から横ばいでした。年間配当予想は前期の40円から42円へ引き上げ、期末配当予想を22円としています。
| 項目 | 2027年3月期中間期・9月末 | 前年同期・前期末との比較 |
|---|---|---|
| 総資産 | 5兆7,735億円 | 前期末比+0.7% |
| 自己資本比率 | 19.4% | 前期末と同水準 |
| 営業キャッシュフロー | -127億円 | 前年同期は+1,658億円 |
| 投資キャッシュフロー | -2,003億円 | 前年同期は-2,844億円 |
| 財務キャッシュフロー | +1,041億円 | 前年同期は+318億円 |
| 年間配当予想 | 42円 | 前期実績から2円増 |
営業キャッシュフローが赤字に転じた一方、投資キャッシュフローも固定資産取得などで支出が続きました。財務キャッシュフローは借入金の調達などで黒字となり、現金及び現金同等物の中間期末残高は5,529億円でした。総資産の増加には固定資産仮勘定の増加などが寄与し、有利子負債も増えています。配当予想の引き上げは株主還元の強化を示しますが、自社株買いの発表はありません。
通期見通し
東北電力は、2027年3月期の通期連結業績予想を今回初めて公表しました。4月30日時点では未定としていたため、前回予想との修正幅はありません。売上高は前期比46.3%増の3兆4,700億円、営業利益は30.9%増の2,100億円を見込みます。
| 項目 | 今回予想 | 前期実績 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3兆4,700億円 | 約2兆3,712億円 | +46.3% |
| 営業利益 | 2,100億円 | 約1,604億円 | +30.9% |
| 経常利益 | 1,700億円 | 約1,264億円 | +34.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,200億円 | 約850億円 | +41.2% |
会社は通期予想の前提や具体的な増減要因を短信本文では詳述せず、同日公表の「業績予想および配当予想の修正に関するお知らせ」を参照するよう案内しています。中間期の純利益は前年同期を大きく下回りましたが、通期では前期を上回る利益を見込む計画です。予想の達成には、下期の発電所稼働や燃料費調整のタイムラグ、需給調整コストの動向が焦点になります。
リスクと課題
中間期の利益を押し下げた要因には、発電所の定期検査、燃料費調整の時間差、送配電の調整力調達コストなどがあります。通期予想の達成には、こうした変動要因の改善が重要です。
- 原子力発電所の稼働: 女川原発2号機の定期事業者検査に伴う稼働差が発電・販売事業の収支を悪化させました。検査や稼働状況の変化が続けば、発電量や調達費用を通じて利益に影響します。
- 燃料費調整のタイムラグ: 燃料価格などの変化が電気料金に反映されるまでの時間差が収支を左右します。中間期はこの影響が利益を押し下げました。
- 需給調整コスト: 調整力の調達単価上昇で送配電事業の損失が広がりました。調達価格や電力需給の変化が続けば、送配電部門の採算回復が遅れる可能性があります。
- 需要と販売環境: 夏の気温が前年より低く、家庭・業務用の冷房需要が減少しました。気象や顧客獲得の状況は販売電力量と収益に影響します。
特に送配電事業では、売上高が増えても費用増により損失が拡大しています。取引量だけでなく、発電稼働と調達コストの改善が利益回復の鍵となります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
1,288.5円
最新終値(2026/10/30)
1,288.5円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
東北電力をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電気・ガス業界の今
掲載19社東北電力は電気・ガス業界の掲載19社中、売上高で5位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +12.2%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- −17.6%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 4社下方 2社
- 営業利益率(業界)
- 7.8%
- 東北電力+22.0%
- 電気・ガス(業界平均)+12.2%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第2四半期累計は12社合計で売上高+13.7%・営業利益−39.6%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は8社、下回る企業は8社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは4社、下方修正は2社。修正幅が最も大きいのは北海道電力(営業利益+27.1%)。




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この中間決算は、売上高の大幅増だけでは業績の勢いを判断しにくい内容です。エリア外取引に伴う自己約定が売上高を押し上げても収支には影響しないため、投資家は営業利益や発電・販売事業の採算を重視する必要があります。
注目点は、通期では増益を見込む一方、中間期の利益が大きく落ち込んでいることです。下期に女川原発2号機の稼働差や燃料費調整の影響がどう変化するか、送配電の調整力コストが落ち着くかが、予想達成と配当の持続性を見極める焦点になります。
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掲載企業
東北電力株式会社
東証 9506
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