ヒューリック、2026年12月期第3四半期決算、増収増益で配当予想を増額

ヒューリックの2026年12月期第3四半期決算を分析すると、物件の賃貸収入が安定し、販売用不動産の売上も伸びたことで、営業収益は前年同期比35.4%増、営業利益は13.2%増、純利益は14.5%増となりました。会社は通期業績予想を修正し、年間配当予想も70円へ引き上げました。賃貸と物件販売が成長を支える一方、金利負担や建築費の高騰が利益を左右する局面です。

決算の数字第3四半期累計
期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,747億円 | +35.4% | 9,000億円 | 64% |
| 営業利益 | 1,205億円 | +13.2% | 2,170億円 | 56% |
| 純利益 | 695億円 | +14.5% | 1,260億円 | 55% |
| 営業利益率 | 21.0% | |||
この決算のポイント
- 1不動産賃貸収入が安定し、営業収益は前年同期比35.4%増の5,747億円
- 2営業利益は前年同期比13.2%増、支払利息の増加も利益の伸びを抑制
- 3ホテル・旅館事業はインバウンド需要と新規開業で営業収益が14.1%増
- 4年間配当予想を前期の62円から70円に引き上げ、通期予想も修正
- 5総資産は前期末比2,819億円増、自己資本比率は25.1%に低下
業績のポイント
ヒューリック(ヒューリック)は、2026年1〜9月の営業収益が前年同期比35.4%増の574,725百万円、営業利益が13.2%増の120,503百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が14.5%増の69,470百万円でした。営業収益の増加額は150,506百万円に達しましたが、営業利益の増加額は14,131百万円にとどまり、売上の伸びに比べて利益の伸びは緩やかです。
- 賃貸収入: 前期および当期に竣工・取得した物件が寄与し、オフィスなどの賃貸収入が安定して推移しました。
- 販売用不動産: 物件の売買が順調に進み、営業収益の拡大を後押ししました。
- 費用負担: 営業原価は前年同期比で増え、支払利息も22,972百万円と前年同期の15,330百万円から増加しました。
賃貸の安定収入と物件販売が成長をけん引。一方、販売用不動産の売上拡大に伴う原価や、資金調達にかかる利息の増加が利益率を押し下げる要因になっています。営業利益率は21.0%で、今後は物件販売の採算と賃料収入の積み上がりが利益成長の持続性を見極めるポイントです。
セグメント別動向
不動産事業は営業収益が前年同期比31.6%増の470,617百万円、営業利益が11.4%増の127,351百万円でした。東京23区の駅近を中心に約250件の賃貸物件を保有し、賃貸可能面積は約122万㎡です。新規取得や開発物件の竣工で賃貸収入を積み上げ、販売用不動産の売却も伸びました。
ホテル・旅館事業は営業収益が14.1%増の47,417百万円、営業利益が7.9%増の3,313百万円でした。「THE GATE HOTEL」「ビューホテル」「ふふ」などで、旺盛なインバウンド需要を取り込み、宿泊単価の上昇と新規開業施設の売上が寄与しました。
保険事業は営業収益が2.0%増の3,107百万円、営業利益が9.1%増の1,026百万円でした。既存の損害保険代理店の営業権取得を重点戦略として営業を進めています。
その他は営業収益が97.7%増の62,385百万円となる一方、営業利益は57.4%減の514百万円でした。リソー教育グループの株価に応じた追加のれん償却4,814百万円が利益を押し下げており、これを除けば営業利益は5,328百万円で前年同期比340.1%増となります。
不動産事業が利益の柱である一方、各事業の利益の伸びには差が出ました。ホテルは訪日客需要を取り込んで増収増益を保ちましたが、その他事業は買収後の会計処理による一時的な負担が表面化しています。
- 不動産+11.5%
- 保険+9.1%
- ホテル旅館+7.9%
- その他-57.4%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 不動産事業 | 4,652億円 | 81% | 1,274億円 | 27.4% |
| 保険事業 | 31億円 | 1% | 10億円 | 33.0% |
| ホテル・旅館事業 | 471億円 | 8% | 33億円 | 7.0% |
| その他 | 593億円 | 10% | 5億円 | 0.9% |
財務状況と資本政策
9月末の総資産は3,788,049百万円と前期末から281,981百万円増加しました。自己資本比率は25.1%で、前期末の26.0%から0.9ポイント低下しています。
| 指標 | 2026年9月末・予想 | 比較対象 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 3,788,049 | 2025年末 3,506,068 | +281,981 |
| 自己資本比率 | 25.1% | 2025年末 26.0% | -0.9ポイント |
| 借入金残高(百万円) | 1,781,309 | 2025年末 1,607,396 | +173,913 |
| 年間配当予想(円) | 70.00 | 前期実績 62.00 | +8.00 |
年間配当予想は、すでに実施した中間配当33.50円と期末予想36.50円の合計です。前期の中間配当28.50円、期末配当33.50円から増額し、会社は直近の予想を修正しました。
資産の増加には、営業投資有価証券や販売用不動産の増加、開発の進行が反映されています。会社は設備投資などに伴い資金調達を行ったと説明しており、借入金残高も増えました。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されておらず、短信から期間中の営業・投資・財務キャッシュフローは確認できません。自社株買いについても、この短信に記載はありません。
通期見通し
会社は2026年12月期の業績予想を修正し、これまで予測が困難として公表していなかった営業収益の予想も示しました。短信には修正前の予想額と前期実績が掲載されていないため、下表ではその欄を「短信に記載なし」としています。
| 項目 | 修正前予想 | 今回予想 | 前期実績 | 9カ月進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 営業収益(百万円) | 短信に記載なし | 900,000 | 短信に記載なし | 63.9% |
| 営業利益(百万円) | 短信に記載なし | 217,000 | 短信に記載なし | 55.5% |
| 純利益(百万円) | 短信に記載なし | 126,000 | 短信に記載なし | 55.1% |
今回の通期予想は、営業収益が前期比23.7%増、営業利益が16.1%増、純利益が10.2%増です。会社は予想を修正したとしていますが、この短信だけでは修正前の金額や修正理由の詳細、修正幅は確認できないため、上方修正と断定することはできません。
9カ月時点で営業収益の進捗は約64%ですが、営業利益と純利益は約55%です。残る3カ月の物件販売や費用、利息負担の動向が、通期計画の達成度を左右します。
リスクと課題
インフレや不動産売買市場の活性化を成長機会とする一方、建築費の高騰や資金調達の増加が収益を圧迫する可能性があります。物件の取得・開発・販売を拡大する中で、以下の点が注目されます。
- 建築費の上昇: 建替えや開発案件の工事費が想定を上回れば、投資採算の低下や竣工後の収益化の遅れにつながります。
- 金利・資金調達: 借入金残高が増加し、支払利息も前年同期から増えています。調達金利の上昇が続けば、賃貸収入や物件売却益の利益寄与を弱めるおそれがあります。
- 不動産市場の変動: 物件価格や賃料、売買の活発さが変化すれば、販売用不動産の売却益や保有物件の収益性に影響します。
- 買収後の費用・のれん: リソー教育グループに関する追加のれん償却がその他事業の利益を押し下げました。買収事業の収益力と会計上の費用の双方を見ていく必要があります。
同社は流動性の高い資産や賃料成長が見込める物件への投資を掲げています。投資拡大が賃料収入や売却利益の増加につながる一方、資産と借入金が膨らむ局面では、投資回収の確度と財務の余力が重要になります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/28)
1,741円
最新終値(2026/10/28)
1,741円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/28更新
ヒューリックをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて建設・不動産業界の今
掲載61社ヒューリックは建設・不動産業界の掲載61社中、売上高で22位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +4.7%全業界 +17.1%
- 今期計画 営業利益
- +0.9%全業界 +11.4%
- 予想の上方修正
- 6社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 10.1%
- ヒューリック+11.6%
- 建設・不動産(業界平均)+4.7%
- 全業界+17.1%
- 足元の業績今期第1四半期累計は41社合計で売上高+5.8%・営業利益+14.3%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は5社、下回る企業は30社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは6社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのはユアテック(営業利益+16.9%)。






タグ#ヒューリック#決算#決算分析#四半期決算#不動産#増収増益#配当増額#インバウンド需要#通期業績予想
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賃貸収入の安定に加え、物件販売とホテルのインバウンド需要が増収を支えており、不動産を軸に複数の収益源を育てる姿勢が見えます。
一方、売上の伸びほど営業利益は伸びず、借入金と利息負担も増えています。今後の焦点は、拡大した投資を継続的な賃料と利益に結びつけられるかです。通期予想は修正されましたが、修正前の数値や理由の詳細はこの短信だけでは分からないため、別途公表された説明資料も確認したいところです。
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