マキタ、2027年3月期第2四半期決算、関税還付も寄与し営業益23%増

マキタの2027年3月期中間決算は、売上収益が前年同期比9.6%増、営業利益が23.0%増、純利益が23.5%増となりました。現地通貨ベースの売上は前年並みでしたが、円安が円換算の売上を押し上げ、米国関税の還付による原価率の改善も利益を支えました。通期予想は据え置き、期末配当は未定です。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,147億円 | +9.6% | 8,200億円 | 51% |
| 営業利益 | 633億円 | +23.0% | 1,100億円 | 58% |
| 純利益 | 479億円 | +23.5% | 810億円 | 59% |
| 営業利益率 | 15.3% | |||
この決算のポイント
- 1売上収益は円安効果もあり前年同期比9.6%増の4,147億円
- 2米国関税の還付などで営業利益は23.0%増、営業利益率は15.3%
- 3北米の地域別売上は販促などが寄与し前年同期比17.9%増
- 4通期予想は据え置き、売上収益8,200億円、営業利益1,100億円
- 5中間配当は1株79円、期末・年間配当は未定で配当性向50%以上を方針
業績のポイント
マキタ(株式会社マキタ)の2027年3月期中間決算は、売上収益が前年同期比9.6%増の4,147億円、営業利益は23.0%増の633億円、親会社の所有者に帰属する中間利益は23.5%増の479億円でした。営業利益率は15.3%で、前年同期の13.6%から上昇しました。
- 売上の伸び: 現地通貨ベースでは前年並みでしたが、円安・現地通貨高の影響で円換算の売上収益が増加しました。
- 利益の押し上げ: 米国関税の還付などによる原価率の改善が、営業利益の増加に寄与しました。
- コストと利益: 売上原価は前年同期比で増えた一方、売上総利益は19.1%増。販売費及び一般管理費等も増加しましたが、営業利益の伸びが上回りました。
円安と関税還付が増益を後押しした半期です。もっとも、会社は現地通貨ベースの売上が前年並みだったと説明しており、売上の増加を需要の大幅回復だけで捉えるのは早計です。今後は為替の追い風が弱まった場合にも、XGTシリーズなど高付加価値製品の販売やコスト改善で利益を維持できるかが焦点になります。
セグメント別動向
外部顧客向け売上をセグメント別に見ると、北米やアジアで伸びました。一方、営業利益は日本、欧州、アジア、その他で前年同期を下回り、北米は前年の低い水準から増加しました。以下の前年比は決算短信のセグメント情報を基にしています。
| セグメント | 売上収益の前年比 | 営業利益の前年比 |
|---|---|---|
| 日本 | +4.6% | -25.6% |
| 欧州 | +7.7% | -6.4% |
| 北米 | +17.1% | +2,681.7% |
| アジア | +14.1% | -6.4% |
| その他 | +16.0% | -30.2% |
日本は売上が増えた一方、営業利益は減少しました。欧州も売上は伸びましたが、金利が高水準で建築・建設市場が低調に推移し、利益は前年を下回りました。北米は売上が伸び、営業利益も増加しましたが、前年の営業利益が小さかったため、前年比の伸び率は大きく見えます。
アジアは中国の不動産不況が周辺国にも波及し、工具需要は総じて低調でした。その他には地域別情報で中南米、オセアニア、中近東・アフリカなどが含まれます。なお、セグメント情報は出荷元基準で、各地域の市場における売上を示す地域別売上とは区分が異なります。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 799億円 | 19% | 163億円 | 20.4% |
| 欧州 | 2,042億円 | 49% | 188億円 | 9.2% |
| 北米 | 479億円 | 12% | 56億円 | 11.7% |
| アジア | 186億円 | 5% | 124億円 | 66.8% |
| その他 | 641億円 | 16% | 22億円 | 3.4% |
通期見通し
マキタは2027年3月期の通期業績予想を据え置きました。会社はコスト全般の上昇を見込む一方、高付加価値分野や新分野の開拓に注力し、期初予想の達成を目指すとしています。
| 項目(億円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 8,200 | 8,200 | 7,776 |
| 営業利益 | 1,100 | 1,100 | 1,047 |
| 税引前利益 | 1,110 | 1,110 | 1,080 |
| 親会社帰属当期利益 | 810 | 810 | 794 |
売上収益の予想は前期比5.5%増、営業利益は5.1%増です。予想に修正はなく、会社は為替の通期想定レートを米ドル155円、ユーロ180円、人民元22.5円としています。
中間期までの増益を踏まえても予想を引き上げなかった背景には、原材料や人件費などコスト上昇への警戒があると考えられます。中間期の利益成長が下期も続くかを確認するうえでは、為替の推移に加え、建築・建設需要の持ち直しと高付加価値製品の販売動向が重要です。
財務状況と資本政策
中間期末の資産合計は前期末比109億円増の1兆1,921億円で、親会社所有者帰属持分比率は84.2%でした。営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期より増加し、現金及び現金同等物も増えています。
| 項目 | 2027年3月期中間期末・中間期 | 前期末・前年同期との比較 |
|---|---|---|
| 親会社所有者帰属持分比率 | 84.2% | 前期末84.4% |
| 営業CF | 607億円 | 前年同期比+44.3% |
| 投資CF | -16億円 | 前年同期は+14億円 |
| 財務CF | -420億円 | 前年同期は-543億円 |
| 現金及び現金同等物 | 2,701億円 | 前期末比+127億円 |
中間配当は1株79円で、前年同期の20円から増額しました。期末配当と年間配当の予想は未定ですが、会社は連結配当性向50%以上を基本方針とし、2027年4月開催予定の取締役会で配当額を決めるとしています。
中間期には自己株式の取得に41億円を支出し、前年同期の200億円から縮小しました。現金の増加と高い自己資本比率を保ちながら、配当と自己株式取得を実施する財務構造です。投資活動のキャッシュ・フローには固定資産取得のほか、子会社取得や事業譲受による支出も含まれています。
研究開発・成長投資
中間期の研究開発費は前年同期比13.1%増の91億円でした。設備投資額は前年同期を下回りましたが、通期計画は前期実績より大きく、研究開発と生産基盤への投資を進める方針です。
- 研究開発費: 中間期は91億円で、前年同期の81億円から増加。通期計画は185億円で、前期実績の166億円を上回ります。
- 設備投資額: 中間期は103億円で、前年同期の112億円を下回りました。通期計画は300億円で、前期実績の215億円を上回ります。
- 減価償却費: 中間期は127億円で、前年同期の123億円から増加しました。
開発では、ハイパワー・高耐久の40Vmaxリチウムイオンバッテリ「XGT」シリーズを中心に、電動工具や園芸用機器の品ぞろえを拡充しています。会社は充電式園芸用機器を電動工具に続く将来の事業の柱と位置付けており、建築分野以外の市場開拓や脱炭素への対応も成長投資の方向性です。
リスクと課題
会社は地政学リスクやエネルギー価格の高止まり、高金利の継続を経済環境上の懸念として挙げています。中間期は増収増益となりましたが、需要回復や為替の追い風が今後も続くとは限りません。
- 地政学リスク: 中東情勢などの緊迫化は経済活動を下押しし、地域によっては販売や物流に影響する可能性があります。
- 金利高と建築需要: 国内、欧州、北米などで建築・住宅関連需要が弱い状況が続けば、電動工具の販売回復を妨げるおそれがあります。
- 為替変動: 中間期の売上増には円安・現地通貨高が寄与しました。円高に転じれば、海外売上の円換算額や利益を押し下げる可能性があります。
- コスト上昇と供給網: 会社はコスト全般の上昇を見込んでいます。また、生産の92.9%を海外が占めるため、地政学的な変化や需要の急変に柔軟に対応できる生産体制が課題です。
- 需要の地域差: 中近東・アフリカの地域別売上は前年同期比9.8%減でした。地域ごとの需要や市場環境の差を捉えた販売施策が必要です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
5,264円
最新終値(2026/10/30)
5,264円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
マキタをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電機業界の今
掲載59社マキタは電機業界の掲載59社中、売上高で21位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +15.4%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +22.9%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 23社下方 3社
- 営業利益率(業界)
- 10.6%
- マキタ+12.6%
- 電機(業界平均)+15.4%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は25社合計で売上高+9.2%・営業利益+57.8%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は13社、下回る企業は21社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは23社、下方修正は3社。修正幅が最も大きいのは村田製作所(営業利益+36.8%)。






タグ#マキタ#決算#決算分析#四半期決算#2027年3月期#電動工具#XGTシリーズ#円安影響#配当
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利益の伸びが売上の伸びを上回り、関税還付による原価率改善も確認できた点は好材料です。一方、会社自身が現地通貨ベースの売上は前年並みと説明しており、中間期の増収には為替の寄与が含まれます。需要の本格回復と利益成長を見極めるには、下期の販売動向が重要です。
通期予想を変えず、期末配当も未定としたのは、コスト上昇や市場環境を慎重に見ている表れでしょう。高付加価値製品の拡販が、為替や関税還付に頼らない収益力の強化につながるかに注目したいです。
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