NSユナイテッド海運、2027年3月期第2四半期決算、利益急伸で通期予想を上方修正

NSユナイテッド海運の決算を分析すると、2027年3月期中間期は増収増益となり、売上高は前年同期比22.9%増、営業利益は91.6%増でした。ドライバルクやLPG船の市況改善と円安が利益を押し上げ、会社は通期業績予想を上方修正しました。一方、燃料油価格の上昇や内航海運の減益を踏まえ、年間配当は無配の見通しです。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,371億円 | +22.9% | 2,630億円 | 52% |
| 営業利益 | 177億円 | +91.6% | 322億円 | 55% |
| 純利益 | 145億円 | +31.0% | 264億円 | 55% |
| 営業利益率 | 12.9% | |||
この決算のポイント
- 1外航海運の市況改善と円安が寄与し、営業利益は前年同期比91.6%増の177億円
- 2内航海運は燃料費の増加が響き、営業利益が前年同期比12.4%減の18億円
- 3通期営業利益予想を前回から21.5%引き上げ、322億円に上方修正
- 42027年3月期の年間配当は0円の予想で、前期の310円から無配に
- 5中間期末の自己資本比率は65.2%と、前期末から2.0ポイント上昇
業績のポイント
NSユナイテッド海運(NSユナイテッド海運株式会社)の2027年3月期中間期は、売上高1,371億円(前年同期比22.9%増)、営業利益177億円(同91.6%増)、親会社株主に帰属する中間純利益145億円(同31.0%増)でした。営業利益の増加額は85億円で、経常利益も101.3%増の170億円となりました。
- 海運市況: ドライバルクは鉄鉱石、石炭、穀物などの輸送需要が底堅く、前年同期を上回る市況で推移しました。
- 輸送距離の伸長: ギニアのシマンドゥ鉄鉱石の出荷拡大や、中東以外からのLPG調達増加が船腹需給を引き締めました。
- 為替: 6カ月平均の為替レートは1ドル160円と、前年同期の146円50銭から円安となり、収益を押し上げました。
- 燃料費: 平均燃料油価格は1トン681ドルと前年同期比29.5%上昇し、内航海運では運賃への反映だけでは増加分を補いきれませんでした。
外航市況と円安が利益を押し上げた中間期です。純利益の伸びが営業利益より小さいのは、前年同期に船舶売却益47億円を計上していた反動があるためです。当期の固定資産売却益は3,300万円にとどまり、営業段階の大幅な改善が純利益にそのまま表れにくい比較となりました。
セグメント別動向
外航海運事業は売上高1,200億円(前年同期比25.6%増)、営業利益159億円(同119.0%増)でした。ケープ型船ではブラジルの鉄鉱石や西アフリカのボーキサイト輸送が堅調で、シマンドゥ鉱山の出荷拡大も輸送距離を伸ばしました。中小型船は石炭、南米発穀物、マイナーバルクが市況を支え、VLGCは中東以外からの調達増による航海距離の伸長が収益に寄与しました。
内航海運事業は売上高171億円(同7.0%増)、営業利益18億円(同12.4%減)でした。主要荷主の生産回復などで鉄鋼関連の輸送量が増え、燃料油価格上昇分の運賃反映も増収につながりました。一方、セメントは内需低迷や建設現場の人手不足、台風などで輸送が減り、火力発電所の稼働低下も電力関連貨物を押し下げました。燃料費の上昇を吸収できず減益となっています。
- 外航海運: 連結売上高の約9割を占め、全社の増収増益をけん引しました。
- 内航海運: 連結売上高の約1割。LNG輸送は大阪湾・瀬戸内エリアでのLNGバンカリング船の竣工を受けて増加しましたが、LPG輸送は減少しました。
外航と内航で利益の方向が分かれ、業績が外航市況に大きく左右される事業構造が改めて表れました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 外航海運事業 | 1,200億円 | 88% | 159億円 | 13.2% |
| 内航海運事業 | 171億円 | 13% | 18億円 | 10.7% |
| その他 | - | - | 3百万円 | - |
通期見通し
NSユナイテッド海運は中間期の実績と今後の市況見通しを踏まえ、2027年3月期の通期業績予想を上方修正しました。営業利益の予想は前回から57億円、21.5%引き上げて322億円とし、売上高や経常利益も上積みしました。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 修正幅 | 今回予想の前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 242,000 | 263,000 | +21,000 | +14.5% |
| 営業利益(百万円) | 26,500 | 32,200 | +5,700 | +56.9% |
| 経常利益(百万円) | 25,300 | 30,700 | +5,400 | +45.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 25,000 | 26,400 | +1,400 | +9.6% |
会社は第3・第4四半期の為替前提を1ドル155円に据え置く一方、燃料油価格の前提を1トン630ドルから800ドルへ引き上げました。世界の鉄鉱石、石炭、ボーキサイト、穀物などの需要は底堅いとみる一方、新造船の増加や中国の粗鋼生産、地政学リスクを警戒し、第4四半期には季節要因で市況が軟化する可能性も示しています。上方修正後も、燃料費と海運市況の変動が利益の焦点です。
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は3,032億円で、2026年3月末から68億円増加しました。自己資本比率は65.2%となり、前期末の63.2%から上昇しています。営業活動で得た資金は前年同期とほぼ同水準を確保しました。
| 項目 | 2027年3月期中間期末・中間期 | 前期末・前年同期 | 比較 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 303,154 | 296,361 | +2.3% |
| 自己資本比率 | 65.2% | 63.2% | +2.0ポイント |
| 営業キャッシュフロー(百万円) | 20,966 | 21,130 | -0.8% |
| 投資キャッシュフロー(百万円) | -2,683 | 1,552 | 前年はプラス |
| 財務キャッシュフロー(百万円) | -10,156 | -10,917 | 支出が縮小 |
- 配当: 中間配当は0円で、2027年3月期の年間配当予想も0円です。前期の年間配当310円から無配となる見通しです。
- 資金・負債: 短期借入金の減少などを受け、負債合計は前期末比38億円減の1,054億円でした。
営業キャッシュフローは約210億円のプラスを維持し、投資キャッシュフローは船舶取得などでマイナスに転じました。自己資本の積み上がりと借入金の減少で財務基盤は改善していますが、会社はすでに公表した方針に沿って今期を無配としています。
リスクと課題
通期予想は上方修正されたものの、会社は海運市況、燃料価格、為替の変動を業績に影響する要因として挙げています。とくに外航海運への売上依存度が高く、国際的な需給や地政学情勢の変化が利益に波及しやすい状況です。
- 船腹供給の増加: 新造船の竣工が増えれば船腹需給が緩み、ドライバルクやLPG船の市況が下落して収益を圧迫する可能性があります。
- 中国の粗鋼生産: 生産動向の変化は鉄鉱石などの輸送需要に影響し、ケープ型船の市況を左右します。
- 地政学リスク・通商政策: 米国の通商政策や中東情勢の変化により、貨物の調達先、航路、輸送距離が変わり、市況やコストの変動につながるおそれがあります。
- 燃料油価格: 中東情勢を背景に高値が続き、会社は下期の前提を1トン800ドルに引き上げました。運賃への転嫁が遅れれば採算を損ないます。
- 為替・季節性: 為替は金融政策や金利差などで変動し、第4四半期は季節的な荷動きの変化による市況軟化も想定されています。
内航ではセメントや電力関連の荷動きが弱く、燃料費を運賃に転嫁しきれない点も課題です。上方修正の達成度を見るには、下期の市況とコスト転嫁の進み具合が重要になります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
10,540円
最新終値(2026/10/30)
10,540円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
NSユナイテッド海運をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて海運業界の今
掲載5社NSユナイテッド海運は海運業界の掲載5社中、売上高で4位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +57.0%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +8.5%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 3社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 6.8%
- NSユナイテッド海運+91.3%
- 海運(業界平均)+57.0%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は2社合計で売上高+19.9%・営業利益+43.6%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は1社、下回る企業は0社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは3社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのはNSユナイテッド海運(営業利益+39.4%)。





タグ#NSユナイテッド海運#決算#決算分析#四半期決算#海運業#ドライバルク市況#業績予想上方修正#無配#円安
この記事はいかがでしたか?
登録不要・匿名で送信コメント
中間期は外航市況の追い風と円安が重なり、営業利益が大きく伸びました。ただし、これは運賃・需給環境に左右される海運業の性格が強く出た結果であり、同じ利益水準が通期以降も続くかは市況次第です。
注目したいのは、利益予想を大幅に上方修正しながら、燃料油価格の前提も引き上げ、年間配当を無配としている点です。業績改善を還元に直結させるのではなく、燃料費や市況変動への備えを重視していると読めます。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/ns-united/report/2027-Q2
関連記事
中堅海運の最新記事
- 決算解説飯野海運2027年3月期 第1四半期飯野海運、2027年3月期第1四半期決算、純利益240%増で大幅増益

- 決算解説日本郵船2027年3月期 第1四半期日本郵船、2027年3月期第1四半期決算、営業利益70%増で通期予想を上方修正

- 決算解説商船三井2026年3月期 通期商船三井・2026年3月期通期、純利益50%減の2,132億円——コンテナ船市況下落が響くも、新方針で「累進配当」導入

- 決算解説川崎汽船2027年3月期 第1四半期川崎汽船、2027年3月期第1四半期決算、増収も純利益減 通期上方修正

- 業績予想修正日本郵船10月29日日本郵船、27年3月期の純利益予想を3300億円に上方修正、前期実績も上回る見通し

- 自己株式消却完了のお知らせ川崎汽船10月2日川崎汽船、発行済株式6.95%に相当する4442万株を消却へBTO強化と資本効率向上を目指す

掲載企業

NSユナイテッド海運株式会社
東証 9110
これが最新の決算解説です
次回の決算発表
同業他社の発表予定
今後2週間に609社が決算発表 · 注目企業と進捗率を見る他の決算期
4期- 2027年3月期 第2四半期(中間期)
- 2027年3月期 第1四半期
- 2026年3月期 通期
- 2026年3月期 第3四半期




