住友電工、2027年3月期第2四半期決算、純利益63%増で通期予想を上方修正

住友電工の2027年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比16.5%増、営業利益が43.5%増、純利益が62.7%増となり、各利益は中間期として過去最高を更新しました。生成AI関連のデータセンター需要や生産性改善、円安が業績を押し上げ、会社は通期業績予想を上方修正。自動車関連の原材料高や在庫増によるキャッシュ創出の鈍化も焦点です。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2.8兆円 | +16.5% | 5.8兆円 | 48% |
| 営業利益 | 2,196億円 | +43.5% | 5,000億円 | 44% |
| 純利益 | 1,594億円 | +62.7% | 3,700億円 | 43% |
| 営業利益率 | 7.9% | |||
この決算のポイント
- 1データセンター向け光配線製品などが伸び、情報通信関連の売上高は前年同期比48.8%増
- 2自動車関連は売上高が17.3%増えた一方、原材料高などで営業利益は減益
- 3通期営業利益予想を前回から500億円引き上げ、5,000億円に上方修正
- 4期末配当予想は株式分割後で25円、年間配当予想は44円に修正
- 5棚卸資産の増加などで営業キャッシュフローは前年同期の2,519億円から1,394億円に減少
業績のポイント
住友電工(住友電気工業)の2027年3月期中間期は、売上高が前年同期比16.5%増の2兆7,649億円、営業利益が43.5%増の2,196億円、親会社株主に帰属する中間純利益が62.7%増の1,593億円でした。営業利益は前年同期から665億円、純利益は614億円増え、いずれも中間期として過去最高です。需要拡大と収益改善で中間期最高益を更新しました。
- データセンター需要: 生成AIの普及を背景に、データセンター向け光配線製品や光デバイスの需要が大きく伸びました。
- 幅広い製品の堅調さ: 電力ケーブル、自動車用ワイヤーハーネス、FPC、超硬製品などの需要も底堅く推移しました。
- 利益率の改善: 品種構成の改善、生産性向上、売値の改善に取り組み、円安も利益を押し上げました。
- コスト上昇の影響: 中東情勢を背景とする原価上昇や銅価格の上昇はあったものの、増収と改善策で吸収しました。
売上高の伸びを利益の伸びが上回り、営業利益率は前年同期の約6.4%から約7.9%に上昇しました。市場の拡大だけでなく、製品構成や工場の生産性を改善して利益につなげた点が今回の決算の特徴です。一方、円安や原材料価格の動きが利益に影響する構造は続いており、今後も改善効果を維持できるかが注目されます。
セグメント別動向
5事業すべてで売上高が前年同期を上回りました。営業利益では情報通信と産業素材の伸びが目立つ一方、自動車と環境エネルギーは減益となり、事業ごとの採算に差が出ています。
情報通信関連事業は、売上高が前年同期比48.8%増の2,014億円、営業利益が612億円でした。生成AI向けデータセンター市場の拡大で光配線製品や光デバイスの需要が増え、品種構成や生産性の改善、円安も利益を押し上げました。今後は光ケーブル、光コネクタ、光デバイスなどの生産能力を増強する方針です。
自動車関連事業は、売上高が17.3%増の1兆6,165億円となりましたが、営業利益は537億円に減少しました。ワイヤーハーネスや防振ゴムの需要は堅調だったものの、中東情勢の影響による原材料価格の上昇や銅価格の上昇が採算を圧迫しました。グローバル供給体制の強化や、電動化・知能化に対応する製品開発が課題です。
環境エネルギー関連事業は、電力ケーブルや電動車向けモーター用平角巻線、銅価格上昇の影響で売上高が2.0%増えました。営業利益は、住友電設(現セムリンクス)が連結対象から外れた影響もあり減益でした。
エレクトロニクス関連事業は、主要顧客向けFPCの需要が堅調で売上高が18.3%増加しました。増収に加えて、生産性改善や円安が利益を支えました。産業素材関連事業他は、タングステン市況の高騰と需給逼迫を受け、超硬製品の受注が増加し、売上高は28.1%増となりました。営業利益の前年同期比は、次の通りです。
- 環境エネルギー-3.6%
- 情報通信+177.4%
- 自動車-17.7%
- エレクトロニクス+58.9%
- 産業素材+230.7%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 環境エネルギー関連事業 | 5,286億円 | 19% | 332億円 | 6.3% |
| 情報通信関連事業 | 1,944億円 | 7% | 612億円 | 31.5% |
| 自動車関連事業 | 1.6兆円 | 58% | 538億円 | 3.3% |
| エレクトロニクス関連事業 | 1,996億円 | 7% | 286億円 | 14.3% |
| 産業素材関連事業他 | 2,267億円 | 8% | 427億円 | 18.8% |
通期見通し
住友電工は2027年3月期の連結業績予想を上方修正しました。売上高予想は前回から3,500億円、営業利益予想は500億円引き上げ、純利益予想も300億円増額しています。
| 項目(億円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 54,000 | 57,500 | 51,102 |
| 営業利益 | 4,500 | 5,000 | 4,182 |
| 経常利益 | 4,600 | 5,150 | 4,313 |
| 純利益 | 3,400 | 3,700 | 3,695 |
上期の実績が7月31日に公表した前回予想を上回り、直近の事業環境や需要見通しも踏まえて予想を見直しました。改定後の通期予想は、前期比で売上高が12.5%増、営業利益が19.6%増となる一方、純利益は0.1%増にとどまります。上期の好調さを下期もどこまで維持できるかに加え、原材料価格や地政学リスクの影響が見通しの達成を左右します。
財務状況と資本政策
9月末の総資産は5兆1,898億円で、前期末から3,653億円増えました。営業キャッシュフローは前年同期を下回り、棚卸資産の増加が資金の動きを押し下げています。
- 総資産: 前期末比3,653億円増の5兆1,898億円。棚卸資産や投資有価証券の増加が主な要因です。
- 自己資本比率: 55.4%と、前期末から1.5ポイント低下しました。純資産は中間純利益の計上などで増えた一方、借入金の増加もありました。
- 営業キャッシュフロー: 1,394億円の収入で、前年同期の2,519億円から減少しました。棚卸資産の増加に伴う資金負担が響いています。
- 投資・財務キャッシュフロー: 投資活動は1,222億円の支出、財務活動は269億円の支出でした。有形固定資産の取得支出は1,248億円です。
- 配当: 中間配当は株式分割後で1株19円、期末予想は25円、年間予想は44円です。前回公表予想から修正されました。
- 自社株買い: 中間期の自己株式取得による支出は600万円でした。短信では大規模な自社株買いの発表はありません。
2026年7月に1株を4株に分割しているため、前期の年間配当154円と単純比較する場合は分割を考慮する必要があります。分割後換算では前期は38.5円となり、今回の年間予想44円は増配に相当します。利益成長を株主還元に反映する一方、棚卸資産の積み上がりによる運転資金の増加にも目配りが必要です。
戦略トピック
住友電工は「中期経営計画2028」で、デジタル・AI、エネルギー、モビリティを注力分野に掲げています。2028年度に売上高6兆円、営業利益6,000億円、税引前ROIC15%以上を目指し、成長市場の需要を取り込む計画です。
- デジタル・AI: データセンター向け光配線製品や光デバイス、インジウムリン基板などの生産能力を増やし、高速・低遅延・低消費電力の製品開発を進めます。
- エネルギー: 電力ケーブルの国内更新需要や再生可能エネルギー関連の受注を狙い、欧州の新拠点立ち上げ、蓄電池や受変電設備の拡販にも取り組みます。
- モビリティ: AIを活用した設計やスマートファクトリー、サプライチェーン改革を進め、電動化・知能化に対応する製品と新規顧客の獲得を目指します。
- 産業素材: タングステン原料の安定調達に向け、リサイクル能力の増強を進めます。
今回の中間期は、情報通信のデータセンター需要が計画を上回る業績を後押ししました。会社は需要を取り込むための生産能力増強と新製品開発を進める一方、コスト低減や品質・プロジェクト管理の強化も掲げています。成長投資を利益率の持続的な向上につなげられるかが、中期目標の達成に向けた焦点です。
リスクと課題
好調な需要が続く一方で、会社は地政学リスクや物価上昇による景気下振れを懸念しています。原材料価格や為替の変動は、セグメントごとの採算にも影響します。
- 地政学リスク: 中東情勢や米中対立などで供給網や事業環境が不安定になれば、調達や販売、原価に影響する可能性があります。
- 原材料価格の上昇: 銅価格や中東情勢を受けた原価上昇が自動車関連の利益を圧迫しました。売値改善や生産性向上で吸収しきれない場合、採算悪化につながります。
- 景気・物価の変化: 世界的な物価上昇や金融引き締めによる景気下振れが、電力設備、自動車、電子部品などの需要に波及する可能性があります。
- 在庫と資金負担: 棚卸資産の増加が営業キャッシュフローを押し下げています。需要の変化に対して在庫が過大になれば、資金効率や収益性の重荷となり得ます。
- 為替変動: 今回は円安が利益を押し上げましたが、為替が反転すれば円換算額や採算に逆風となる可能性があります。
会社はコスト削減、製品構成の改善、供給網の改革を進める方針です。利益の伸びが大きかった上期の勢いだけでなく、原材料高を価格転嫁できるか、在庫を適切に管理できるかも通期予想の達成を判断する材料になります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
1,770円
最新終値(2026/10/30)
1,770円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
住友電工をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電機業界の今
掲載59社住友電工は電機業界の掲載59社中、売上高で4位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +15.4%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +22.9%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 23社下方 3社
- 営業利益率(業界)
- 10.6%
- 住友電工+25.3%
- 電機(業界平均)+15.4%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は25社合計で売上高+9.2%・営業利益+57.8%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は13社、下回る企業は21社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは23社、下方修正は3社。修正幅が最も大きいのは村田製作所(営業利益+36.8%)。






タグ#住友電工#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#データセンター#通期予想上方修正#配当増額#ワイヤーハーネス
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生成AI向けデータセンター需要が情報通信事業の利益を大きく押し上げた一方、産業素材も好調で、成長の源泉が複数ある点は評価できます。売上高の伸び以上に利益が伸びたのは、生産性や品種構成の改善が機能したためです。
一方で、自動車関連は増収でも原材料高で減益となり、営業キャッシュフローも在庫増で縮小しました。成長需要を利益とキャッシュに変えられるかが、下期と中期計画を見極めるうえでのポイントです。
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- 2026年3月期 通期
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