住友ファーマ、2027年3月期第2四半期決算、米国好調で通期予想を上方修正

住友ファーマの2027年3月期第2四半期決算は、米国で「オルゴビクス」「ジェムテサ」の販売が伸び、売上収益が前年同期比17.3%増の2,665億円となりました。一方、前年に計上した事業譲渡益がなくなり、販売促進費や研究開発費も増えたため、営業利益は56.0%減、親会社の所有者に帰属する中間利益は61.3%減でした。米国販売の上振れと円安を受け、通期予想は上方修正しています。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,665億円 | +17.3% | 5,650億円 | 47% |
| 営業利益 | 423億円 | -56.0% | 1,040億円 | 41% |
| 純利益 | 382億円 | -61.3% | 940億円 | 41% |
| 営業利益率 | 15.9% | |||
この決算のポイント
- 1米国の「オルゴビクス」「ジェムテサ」が伸び、米国売上は前年同期比408億円増
- 2日本は「ゼプリオン」自社販売開始や「ツイミーグ」伸長で売上が前年同期比18億円増
- 3通期売上収益予想を前回から250億円増の5,650億円に上方修正
- 4公募増資などで親会社所有者帰属持分比率は前期末の36.4%から50.7%に上昇
- 5期末配当予想を0円から15円に修正し、年間配当予想は15円
業績のポイント
住友ファーマ(住友ファーマ株式会社)の中間期は、売上収益が前年同期比17.3%増の2,665億円となる一方、営業利益は56.0%減の423億円、親会社の所有者に帰属する中間利益は61.3%減の382億円でした。米国の成長が増収をけん引しましたが、利益は前年の一時的な譲渡益の反動などで大きく減りました。
- 米国製品の販売拡大: 「オルゴビクス」「ジェムテサ」の売上が伸び、円安も加わって米国売上は前年同期比408億円増の1,978億円。
- 前年の譲渡益の反動: 前年同期にはアジア事業の一部持分譲渡に伴う関係会社持分譲渡益をその他の収益に計上しましたが、当期は同様の収益がありませんでした。
- 販売費と研究開発費の増加: 米国での販売拡大に向けた販促費に加え、がん領域などの臨床試験を進めるための研究開発費が増えました。
売上総利益は増収にもかかわらず前年同期から大きくは伸びず、利益を押し下げました。増収がそのまま利益成長につながっていないため、今後は米国製品の販売拡大が販促費や開発費の増加を吸収できるかが焦点です。
セグメント別動向
住友ファーマは今中間期から報告セグメントを医薬品事業の単一セグメントに変更しました。このため、以下は会社が説明した地域別売上の動きであり、現在の報告セグメント別の業績ではありません。米国の増収が全体を押し上げた一方、その他地域ではアジア事業の一部持分譲渡の影響が残りました。
- 米国: 売上収益は前年同期比408億円増の1,978億円。前年に「オルゴビクス」の販売マイルストン収入があったものの、同剤と「ジェムテサ」の販売拡大、円安が増収につながりました。
- 日本: 売上収益は前年同期比18億円増の446億円。「エクア」「エクメット」の販売提携終了があった一方、「ゼプリオン」「ゼプリオンTRI」の自社販売開始と「ツイミーグ」の伸長が寄与しました。
- その他: 売上収益は前年同期比32億円減の241億円。欧州向けは増えましたが、前年にアジア事業の一部持分を譲渡したことによる減収影響が上回りました。
単一セグメントへの変更は、米国基幹製品の事業運営に直接関与する体制を整え、経営資源の配分や業績評価を医薬品事業全体で行う実態を反映したものです。地域別の増減だけでなく、グローバルで研究開発や販売資源をどう振り向けるかにも注目されます。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 医薬品事業 | 2,665億円 | 100% | 423億円 | 15.9% |
通期見通し
住友ファーマは2027年3月期の通期予想を上方修正しました。米国で「ジェムテサ」を中心に売上が計画を上回る見込みとなったことに加え、想定為替レートを1ドル155円から157円に見直したことが背景です。
| 項目(億円) | 前回予想 | 今回予想 | 修正幅 | 前期実績 |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 5,400 | 5,650 | +250 | 4,533 |
| コア営業利益 | 910 | 1,050 | +140 | 1,059 |
| 営業利益 | 900 | 1,040 | +140 | 1,073 |
| 親会社帰属当期利益 | 770 | 940 | +170 | 1,069 |
増収に伴う売上総利益の増加を見込む一方、販売拡大に向けた費用も増えるため、会社はコア営業利益の予想を売上収益ほど大きく引き上げていません。修正後の営業利益と親会社帰属当期利益は、なお前期実績を下回る計画であり、販売成長と費用管理の両立が通期達成の鍵となります。
財務状況と資本政策
中間期末の資産合計は公募増資などを受けて前期末から465億円増え、自己資本に相当する親会社所有者帰属持分比率は50.7%に上昇しました。借入金などの減少もあり、財務基盤は前期末より改善しています。
| 項目 | 2026年9月末 | 2026年3月末 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 資産合計(億円) | 8,511 | 8,046 | +465 |
| 負債合計(億円) | 4,199 | 5,121 | -922 |
| 資本合計(億円) | 4,311 | 2,925 | +1,386 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 50.7% | 36.4% | +14.3ポイント |
| 現金及び現金同等物(億円) | 778 | 443 | +335 |
- 営業キャッシュ・フロー: 167億円の収入で、前年同期の180億円から14億円減少しました。
- 投資キャッシュ・フロー: 5億円の収入で、前年同期の276億円から縮小しました。前年同期には子会社の支配喪失による収入がありました。
- 財務キャッシュ・フロー: 176億円の収入。株式発行による収入があり、借入金返済による支出を補いました。
- 配当: 中間配当は0円、期末配当予想は15円で、年間配当予想は前期の0円から15円に修正されました。
公募増資による株式発行収入は財務キャッシュ・フローに寄与し、資本の増加と負債の圧縮につながりました。増資で財務余力を確保する一方、期末配当を再開する方針を示しており、成長投資と株主還元の両立が今後の判断材料になります。
研究開発・成長投資
研究開発費は前年同期比35.6%増の238億円でした。前年同期に事業構造改善費用が含まれていた影響を除いたコアベースでも35.9%増となり、臨床開発を加速する姿勢がうかがえます。
- がん領域: 急性骨髄性白血病を対象に、enzomenib(開発コードDSP-5336)のピボタル・フェーズ2試験を4月に開始しました。
- 臨床試験の進展: KMT2A遺伝子再構成陽性の急性白血病を対象とするピボタル・フェーズ2試験では、6月に中間解析に必要な症例登録を完了しました。
研究開発費の増加は中間期の利益を圧迫する一因ですが、将来の製品候補を育てるための投資でもあります。試験の進捗だけでなく、開発の成否や上市までの期間が、米国基幹製品に続く成長を左右します。
リスクと課題
中間期は米国製品の販売と円安が増収を支えましたが、利益は前年同期から大きく減りました。売上の伸びだけでなく、為替や販促費、臨床開発の進捗が利益と通期予想に与える影響を見極める必要があります。
- 米国製品への依存: 増収の中心は米国の「オルゴビクス」「ジェムテサ」です。販売が計画を下回れば、通期売上予想や利益の達成に影響する可能性があります。
- 為替変動: 通期想定を1ドル157円に変更しており、円高に振れた場合は円換算の売上や利益を押し下げる要因となります。
- 販売費・研究開発費の増加: 販売拡大のための販促費と臨床試験費用が増えています。売上の伸びが費用増を上回らなければ、利益回復は限定されます。
- 臨床開発の不確実性: 開発中の薬剤は試験結果や進捗によって事業化の見通しが変わり得ます。研究開発投資の回収時期も不確実です。
会社自身も、業績予想は発表時点の情報と前提に基づき、実際の結果はさまざまな要因で異なる可能性があるとしています。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
1,884.5円
最新終値(2026/10/30)
1,884.5円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
住友ファーマをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて製薬業界の今
掲載24社住友ファーマは製薬業界の掲載24社中、売上高で11位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +10.9%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +12.2%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 7社下方 1社
- 営業利益率(業界)
- 13.9%
- 住友ファーマ+11.9%
- 製薬(業界平均)+10.9%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は11社合計で売上高+14.2%・営業利益+55.2%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は9社、下回る企業は8社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは7社、下方修正は1社。修正幅が最も大きいのは大塚HD(営業利益+35.6%)。






タグ#住友ファーマ#決算#決算分析#四半期決算#医薬品#米国販売#通期予想上方修正#研究開発#増資#配当
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増収と減益が同時に進んだ決算で、売上の拡大だけでは利益成長を判断しにくい局面です。前年の事業譲渡益の反動という一時要因に加え、米国での販売費や研究開発費も増えており、今後は売上成長が費用増を吸収するかが重要になります。
公募増資で財務基盤を厚くし、期末配当を再開する方針を示した点は、財務の立て直しと株主還元を同時に進める動きです。投資家は通期予想の上方修正だけでなく、米国製品の販売進捗と利益率の改善を確認したいところです。
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4期- 2027年3月期 第2四半期(中間期)
- 2027年3月期 第1四半期
- 2026年3月期 通期
- 2026年3月期 第3四半期







