ZOZO、2027年3月期第2四半期決算、増収増益で営業利益5.6%増

ZOZOの2027年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比5.1%増の1,106億円、営業利益が5.6%増の328億円、純利益が3.5%増の217億円となり、増収増益でした。ZOZOTOWNの購入者増加やLINEヤフーコマース、LYSTの伸長が業績を支えた一方、年間購入金額は前年を下回りました。通期予想は据え置き、自己株式の取得と年間配当の増額を進めています。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,106億円 | +5.1% | 2,419億円 | 46% |
| 営業利益 | 328億円 | +5.6% | 744億円 | 44% |
| 純利益 | 218億円 | +3.5% | 497億円 | 44% |
| 営業利益率 | 29.7% | |||
この決算のポイント
- 1ZOZOTOWNの年間購入者数は1,355万5,784人と前年同期から102万6,119人増えた
- 2LINEヤフーコマースの売上高は前年同期比13.0%増、LYSTは20.8%増
- 3年間購入金額は前年同期比3.4%減、新規会員の構成比上昇が背景
- 42027年3月期の年間配当予想は40円で、前期実績39円から1円増配
- 5上限300億円の自社株買いを実施中、中間期は191億6,500万円を取得
業績のポイント
ZOZO(株式会社ZOZO)は2027年3月期中間期に増収増益となり、売上高は前年同期比5.1%増、営業利益は5.6%増、親会社株主に帰属する中間純利益は3.5%増でした。営業利益率は前年同期と同じ29.7%で、増収に沿って利益も伸びました。
- 取扱高の基調: 商品取扱高は前年同期比1.0%減。ただし、前年9月末で計上を終えたYahoo!ショッピングの「その他」分を除くと5.7%増でした。
- 売上総利益: 前年同期比4.4%増。商品取扱高の成長に対し、売上高から控除する値引きやポイント施策の強化などが伸び率を抑えました。
- 費用効率: 販管費は3.8%増えた一方、取扱高に対する比率は0.4ポイント改善。配送委託条件の改善や物流拠点の作業効率向上が寄与しました。
- 利益の伸び: 経常利益は6.6%増、調整後EBITAは5.1%増。中間純利益の伸びは利益指標の中では小幅でした。
主力ECの成長と利益率を維持した決算です。ZOZOTOWNでは広告やセールで集客を強め、会員数と出荷件数が増加しました。一方、値引き・ポイント施策やLYSTの連結期間増加による事業構成の変化で、売上高の伸びは取扱高(その他を除く)の伸びを下回り、粗利率も前年同期から0.4ポイント低下しています。
- ZOZOTOWN+4.1%
- LINEヤフー+13.0%
- LYST+20.8%
- BtoB-12.7%
- 広告+5.8%
セグメント別動向
ZOZOはEC事業の単一セグメントで、会社は事業別のセグメント利益を開示していません。以下では事業ごとの売上高の増減と、取扱高・顧客動向から成長の中身を見ます。
ZOZOTOWN事業は売上高が前年同期比4.1%増でした。受託販売とUSED販売が伸び、出店ショップ数やブランド数も増加し、年間購入者数は前年同期比で約102万6,000人増えました。一方、会員歴の短い新規購入者の比率が高まったため、年間購入金額は3.4%減、年間購入点数は2.5%減でした。
LINEヤフーコマースは売上高が13.0%増でした。Yahoo!ショッピングやYahoo!オークションで、既存顧客の定着に加え、モール側の集客と「本気のZOZO祭」などの販促が寄与しました。
LYSTは売上高が20.8%増となりました。提携ブランドから成果報酬型の手数料を得る海外ファッションプラットフォームで、取扱高も16.0%増加しました。前年同期より連結対象期間が1カ月長い点には留意が必要です。
- 広告事業: 売上高は5.8%増。ZOZOTOWNや「WEAR by ZOZO」のユーザー基盤を活用した広告収入が伸びました。
- BtoB事業: 売上高は12.7%減。ブランドの自社EC構築・運営や物流受託を手掛け、受託サイト数は前年同期末の数値ではなく当中間期末で28サイトでした。
- 買取・製造販売: 売上高は3.1%減。ZOZOTOWN事業内での構成比は小さく、取扱高も4.5%減でした。
複数の販売接点が成長を補完する一方、中心となるZOZOTOWNでは新規会員の獲得と既存会員の購買額向上を両立できるかが焦点です。年間購入金額の減少について会社は、新規会員の構成比上昇が主因と説明しており、獲得した会員の定着後に購入頻度や購入額が伸びるかを見極める必要があります。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ZOZOTOWN事業 | 756億円 | 68% | - | - |
| LINEヤフーコマース | 119億円 | 11% | - | - |
| LYST | 30億円 | 3% | - | - |
| BtoB事業 | 6億円 | 1% | - | - |
| 広告事業 | 58億円 | 5% | - | - |
| その他 | 138億円 | 13% | - | - |
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前期末比11.8%減の1,748億9,200万円、自己資本比率は52.7%でした。営業キャッシュ・フローは前年同期より増えた一方、自己株式取得と配当の支払いで財務キャッシュ・フローは大幅なマイナスとなりました。
| 項目 | 2027年3月期中間期末・実績 | 比較対象 | 増減・予想 |
|---|---|---|---|
| 自己資本比率 | 52.7% | 前期末53.9% | -1.2ポイント |
| 営業CF(百万円) | 21,502 | 前年同期17,246 | +24.7% |
| 投資CF(百万円) | -9,643 | 前年同期-25,945 | 使用額が縮小 |
| 財務CF(百万円) | -47,952 | 前年同期-28,772 | 支払いが増加 |
| 現金同等物(百万円) | 33,308 | 前期末69,422 | -36,113 |
| 年間配当(円) | 40円予想 | 前期実績39円 | +1円 |
中間期の営業キャッシュ・フローは税引前利益の計上などで215億200万円となり、前年同期比24.7%増でした。財務キャッシュ・フローの主な支出は配当金と自己株式の取得です。2026年6月の取締役会決議に基づく自社株買いは、上限300億円・4,300万株で、9月末までに191億6,500万円を取得しました。会社は取得株式を全株消却する方針で、2027年1月29日の消却を予定しています。
中間配当は前年同期の19円から20円に増え、期末予想も20円です。2023年に公表した、自己株式取得を含む総還元性向を5年平均で80%超とする方針に沿った還元策ですが、現金同等物は減少しており、成長投資と株主還元の両立が今後も注目されます。
通期見通し
会社は2027年3月期の連結業績予想を据え置きました。売上高は前期比5.9%増、営業利益は7.3%増、親会社株主に帰属する当期純利益は3.7%増を見込みます。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 241,900 | 241,900 | +5.9% |
| 営業利益(百万円) | 74,400 | 74,400 | +7.3% |
| 調整後EBITA(百万円) | 77,900 | 77,900 | +7.2% |
| 経常利益(百万円) | 74,400 | 74,400 | +7.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 49,700 | 49,700 | +3.7% |
上期実績の通期予想に対する進捗率は、売上高が約45.7%、営業利益が約44.1%、純利益が約43.8%です。これらは中間期実績を会社予想で割った参考値で、季節性を考慮した会社独自の達成見込みではありません。
会社は、雇用・所得環境を背景に国内ファッション市場は底堅い一方、物価上昇や気候変動、地政学リスクなどで先行きは不透明と説明しています。ZOZOTOWNの集客施策や新規ブランドの出店、LINEヤフーコマースの販促が下期も計画通りに成果を上げるかが、予想達成のポイントです。
戦略トピック
ZOZOは2026年4月、香りの総合プラットフォーム「カラリア」を運営するHigh Linkを完全子会社化しました。ファッション周辺領域へ事業を広げ、サブスクリプションを含む販売手法を取り込む狙いです。
- 取得の概要: 議決権の100%を取得し、取得対価は現金49億5,000万円。2026年5月から連結対象に加わりました。
- 会計上の影響: のれんは46億3,200万円で、7年間の均等償却。顧客関連資産5億3,800万円も計上し、5年間で償却します。
- 期待する連携: ZOZOTOWNの既存ユーザーへの送客などを通じ、香水を中心としたフレグランス市場で相乗効果を目指します。
会社は2026年4月に中期経営計画を公表し、2030年3月期に調整後EBITA900億円を目指す方針です。成長領域を「More Fashion」「Near Fashion」「Global」の3つに分け、主力ECの拡大に加え、カラリアなどファッション周辺分野とLYSTの海外成長を組み合わせる考えです。
ZOZOTOWNでは、AIを使ったコーディネート提案「ZOZOの似合うコーデAI ラボくん」をLINE公式アカウントで開始し、「WEAR by ZOZO」ではバーチャル試着を含む「似合うルーム by ZOZO」を導入しました。購買前の相談や提案からECへの新たな流入をつくり、会員獲得だけでなく購入につなげられるかが次の評価ポイントです。
リスクと課題
会社は国内ファッション市場について、物価上昇や気候変動、地政学リスクを挙げ、先行きの不透明さを指摘しています。加えて、決算で示された顧客単価や事業構成の変化にも注意が必要です。
- 消費環境の変化: 物価上昇などで消費者の支出が抑えられれば、ファッションECの購入頻度や購入額に影響する可能性があります。
- 購入額・点数の低下: ZOZOTOWNの年間購入金額は前年同期比3.4%減、年間購入点数は2.5%減でした。新規会員の定着後に購入が伸びなければ、会員数の増加が取扱高の成長に結びつきにくくなります。
- 販促と収益性のバランス: 値引きやポイント施策の強化は集客を支える一方、売上高や粗利率を押し下げる要因にもなります。販促の効果と利益率の維持を両立できるかが課題です。
- 事業拡大と買収後の運営: High Linkの連結やLYSTの成長で事業領域が広がる一方、のれん償却や連携施策の実行が伴います。買収先との相乗効果を継続的に生み出せるかが焦点です。
主力ECの会員基盤や物流効率には強みがありますが、会員数の拡大だけでなく購入頻度・購入額の回復が重要です。販促による成長が粗利を損なわず、周辺事業の拡大が利益にも貢献するかを追う必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
1,173円
最新終値(2026/10/29)
1,173円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
ZOZOをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて小売業界の今
掲載56社ZOZOは小売業界の掲載56社中、売上高で46位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +2.4%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- +11.2%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 6社下方 1社
- 営業利益率(業界)
- 6.3%
- ZOZO−10.9%
- 小売(業界平均)+2.4%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は22社合計で売上高+10.7%・営業利益+21.4%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は16社、下回る企業は9社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは6社、下方修正は1社。修正幅が最も大きいのは4℃HD(営業利益+19.4%)。






タグ#ZOZO#決算#決算分析#四半期決算#ZOZOTOWN#増収増益#自社株買い#配当#カラリア
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ZOZOの今回の決算は、主力ECの購入者数を増やしながら、物流効率の改善で営業利益率を保った点が評価できます。一方で、新規会員の増加が平均購入額の低下にもつながっており、会員獲得から継続購入へ移る力が問われています。
私が注目するのは、カラリアやLYST、AIを使った提案機能が、単なる事業の広がりに終わらず、ZOZOTOWNへの送客や顧客あたりの購入額向上につながるかです。通期予想は据え置きで上期の進捗はおおむね半分に届いておらず、下期の販促効果と利益率の維持を確認したいところです。
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- 2027年3月期 第1四半期
- 2026年3月期 通期
- 2026年3月期 第3四半期




