NSD、2027年3月期第2四半期決算、AI・DX需要で営業利益10%増

NSDの2027年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比10.1%増の623億3,000万円、営業利益が10.0%増の90億6,300万円となり、増収増益だった。金融ITの受注や医療・セキュリティ関連製品の販売が伸び、注力するDX・AI分野も拡大した。成長投資で販管費は増えたものの、増収が利益を押し上げ、純利益も7.6%増。通期予想は据え置いた。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 623億円 | +10.1% | 1,280億円 | 49% |
| 営業利益 | 91億円 | +10.0% | 201億円 | 45% |
| 純利益 | 58億円 | +7.6% | 133億円 | 43% |
| 営業利益率 | 14.5% | |||
この決算のポイント
- 1注力するDAS事業の売上高は前年同期比30.1%増、DX・AI関連は36.8%増。
- 2金融ITは大手銀行の基幹システム更改などが寄与し、売上高が前年同期比15.8%増。
- 3ソリューション事業の営業利益は前年同期比187.4%増。高利益率製品の販売が好調。
- 4年間配当予想は100円で、前期実績の96円から4円増配。自己株式取得も実施。
- 5通期業績予想は据え置き。売上高1,280億円、営業利益201億円を見込む。
業績のポイント
NSD(NSD)は2027年3月期中間期に、売上高が前年同期比10.1%増の623億3,000万円、営業利益が10.0%増の90億6,300万円、親会社株主に帰属する中間純利益が7.6%増の57億7,800万円となった。AI・DX需要を追い風に増収増益を確保した。
- 売上高の押し上げ: 金融ITの受注拡大に加え、医療・ヘルスケアやセキュリティ製品の販売が伸びた。
- 注力領域の成長: DAS事業の売上高は前年同期比30.1%増。内訳のうちDX・AIなど新技術関連は36.8%増だった。
- 利益の伸び: 中期経営計画に基づく成長投資で販管費が増えた一方、増収効果が上回り、営業利益は前年同期比10.0%増となった。
国内の情報サービス市場では、企業の経営課題解決に向けたAI・DX投資が続き、受注環境は良好だった。営業利益率は前年同期の約14.6%に対し当期も約14.5%とおおむね横ばいで、成長投資を進めながら収益性を保った形だ。純利益の伸びが営業利益を下回っており、今後は投資を将来の利益拡大につなげられるかが焦点となる。
セグメント別動向
システム開発の各領域で増収となり、ソリューション事業も拡大した。セグメント利益の伸びではソリューション事業が目立つ一方、ITインフラは売上増に利益が追いつかなかった。
金融ITは売上高が前年同期比15.8%増、営業利益が11.1%増。大手銀行の基幹システム更改や既存案件の拡大、保険会社からの受注が寄与し、システム開発事業の中で最も高い売上成長となった。
産業ITは売上高が前年同期比3.4%増、営業利益が2.4%増。サービス業の大型プロジェクト収束が重しとなったが、物流などの運輸業や建設業で受注が拡大した。
社会基盤ITは売上高が前年同期比8.6%増、営業利益が14.8%増。通信、航空などの運輸、公共団体からの受注が伸びたうえ、前年同期にあった採算性の低いプロジェクトが収束し、利益率も改善した。
ITインフラは売上高が前年同期比7.7%増だった一方、営業利益は0.9%増にとどまった。金融業や公共団体のインフラ構築案件は堅調だったが、ハードウェアの調達環境や販管費の増加が利益を抑えた。
ソリューション事業は売上高が前年同期比14.7%増、営業利益が約2.8倍に拡大した。医療・ヘルスケアの伸長に加え、公共団体などでセキュリティ強化の需要が増え、利益率の高い製品の販売も好調だった。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 金融IT | 196億円 | 31% | 36億円 | 18.2% |
| 産業IT | 140億円 | 23% | 20億円 | 14.4% |
| 社会基盤IT | 127億円 | 20% | 24億円 | 18.9% |
| ITインフラ | 69億円 | 11% | 11億円 | 16.1% |
| ソリューション事業 | 91億円 | 15% | 4億円 | 4.7% |
通期見通し
NSDは2027年3月期の通期連結業績予想を据え置いた。中間期までの売上高は通期計画に対して約48.7%、営業利益は約45.1%の進捗で、いずれも通期予想の達成には下期の積み上げが必要となる。
| 項目 | 2027年3月期予想 | 2026年3月期実績 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 128,000 | 117,865 | +8.6% |
| 営業利益(百万円) | 20,100 | 19,070 | +5.4% |
| 経常利益(百万円) | 20,400 | 19,319 | +5.6% |
| 親会社株主に帰属する純利益(百万円) | 13,300 | 13,012 | +2.2% |
会社は9月28日に公表した業績予想から変更していない。通期では売上高の伸びに対して営業利益の伸びを抑えた計画で、成長投資や人材強化を続けながら収益を拡大する前提とみられる。中間期は増収効果が投資負担を吸収したが、下期も受注の堅調さと案件の採算を維持できるかが計画達成のポイントとなる。
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前期末比8億3,700万円減の966億500万円、自己資本比率は73.0%だった。営業活動で資金を確保する一方、配当と自己株式取得を含む株主還元などで現金及び現金同等物は減少した。
| 項目 | 2027年3月期中間期末・中間期 | 比較対象 | 増減・内容 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 96,605 | 前期末 97,442 | -837 |
| 自己資本比率 | 73.0% | 前期末 75.7% | -2.7ポイント |
| 営業CF(百万円) | +9,063 | 前年同期 +8,883 | +180 |
| 投資CF(百万円) | -4,699 | 前年同期 -2,585 | 支出拡大 |
| 財務CF(百万円) | -9,150 | 前年同期 -7,221 | 配当・自己株式取得など |
| 年間配当予想 | 100円 | 前期実績 96円 | +4円 |
営業CFは税引前利益などを主因に黒字を維持した。財務CFには配当金の支払い72億8,800万円と自己株式取得による支出17億9,600万円が含まれるほか、年間配当予想は前期実績から増額する計画だ。成長投資を進めながら株主還元も行う方針がうかがえるが、自己資本比率は前期末から低下しており、投資と還元のバランスにも注目したい。
戦略トピック
NSDは2027年3月期を初年度とする3カ年の中期経営計画を始動し、AIなど新技術の活用や得意分野の育成を成長投資の柱に据えた。システム開発では上流工程を担う人材を増やし、AIソリューションの研究・開発にも資源を集中する。
- AI活用の実案件: ステンレス鋼管・鋼材の製造会社で、最適化AIを使って生産計画業務を自動化。業務効率化や技能継承の課題解決につなげた。
- 人材への投資: 上流工程を担う人材の拡充と、AI事業を支える「AIエキスパート」の育成を強化する。
- ソリューション拡販: 魅力あるAIソリューションの開発に加え、認知度向上を目的としたPRにも取り組む。
受託開発を中心とする事業から、顧客の経営課題に近い上流工程や自社ソリューションの比重を高める狙いがある。中間期はDX・AI関連の売上が大きく伸びたが、研究開発や人材育成は費用が先行しやすい。投資を継続的な受注や採算改善へ結びつけられるかが、中期計画の進捗を測る指標となる。
リスクと課題
足元の受注環境は良好だが、外部環境の変化や案件の採算、成長投資の費用負担が今後の業績を左右する。特に次の点に注意が必要だ。
- 景気・地政学リスク: 物価高や金利上昇が企業活動を抑える可能性がある。会社は中東情勢の長期化による景気下振れリスクにも留意が必要としている。
- ハードウェア調達環境: ITインフラでは調達環境の影響で利益率が低下した。調達コストや納期の変化が続けば、売上の伸びに対して利益が伸びにくくなるおそれがある。
- 成長投資と費用負担: AIソリューションの開発、人材育成などで販管費が増加している。投資効果が受注や収益に結びつくまで時間がかかれば、利益率を圧迫する可能性がある。
- 案件ごとの採算: 大型プロジェクトの収束や採算性の低い案件の有無が利益を左右する。受注量だけでなく、上流工程へのシフトを通じた採算管理が課題となる。
企業のIT投資需要が続くことは追い風だが、受注拡大がそのまま利益成長につながるとは限らない。人材の確保・育成と案件の品質管理を進め、成長投資を収益力の向上に結びつけられるかが問われる。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
3,099円
最新終値(2026/10/29)
3,099円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
NSDをライバルと比較
年収・業績・株価を並べてITサービス業界の今
掲載31社NSDはITサービス業界の掲載31社中、売上高で12位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +6.9%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- +29.6%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 9社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 14.5%
- NSD−4.9%
- ITサービス(業界平均)+6.9%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第2四半期累計は13社合計で売上高+9.7%・営業利益+13.1%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は3社、下回る企業は11社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは9社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのはAppier(営業利益+16.7%)。





タグ#NSD#決算#決算分析#四半期決算#情報サービス#AI・DX#システム開発#増収増益#配当増額
この記事はいかがでしたか?
登録不要・匿名で送信コメント
金融ITの基幹システム更改、公共分野の受注、医療・セキュリティ製品と、成長の源泉が一つに偏っていない点は評価できます。特にソリューション事業の利益改善は、単なる売上拡大だけでなく製品構成や採算の改善が進んだことを示しています。
一方、会社が進めるAI・人材への投資は短期的には費用を押し上げます。成長投資を利益成長に変えられるかが次の焦点であり、下期の受注量に加えて、ITインフラの調達コストや案件採算の変化を確認したい決算です。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/nsd/report/2027-Q2
関連記事
同社の関連記事
ITコンサル・開発支援の最新記事
- 決算解説SHIFT2026年8月期SHIFT、2026年8月期通期決算、売上高1616億円で過去最高益も純利益は減益

- 決算解説フューチャー2026年12月期 第3四半期フューチャー、2026年12月期第3四半期決算、増収も初期ライセンス反動で営業減益

- 決算解説システナ2027年3月期 第2四半期(中間期)システナ、2027年3月期第2四半期決算(中間決算)、増収も移転費用で営業減益

- 決算解説電通総研2026年12月期 第2四半期(中間期)電通総研、2026年12月期第2四半期決算、営業利益15.8%増で各段階利益が増益

- 吸収分割・合併SHIFT10月27日SHIFT、保険特化のSHIFT AXISを2027年4月に吸収合併、コンサル機能新設で提案力強化

- 株式併合・自己株式消却フューチャー10月28日フューチャー、MBO後の株式併合を決議、1千万株を1株に併合し12月23日上場廃止へ

掲載企業

株式会社NSD
東証 9759
これが最新の決算解説です
次回の決算発表
同業他社の発表予定
今後2週間に604社が決算発表 · 注目企業と進捗率を見る他の決算期
4期- 2027年3月期 第2四半期(中間期)
- 2027年3月期 第1四半期
- 2026年3月期 通期
- 2026年3月期 第3四半期




