双日、2027年3月期第2四半期決算、純利益40%増で通期予想据え置き

双日の2027年3月期第2四半期決算は、電力・ガス小売事業の連結子会社化や化学品の取引増加などを背景に、収益が前年同期比34.8%増、親会社株主に帰属する中間利益が40.4%増となりました。エネルギー・総合インフラや化学が利益を伸ばす一方、自動車や生活産業・アグリビジネスは減益です。年間配当は180円を予定し、通期の親会社株主利益予想1,300億円は据え置きました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1.7兆円 | +34.8% | — | — |
| 営業利益 | - | — | — | — |
| 純利益 | 636億円 | +40.4% | 1,300億円 | 49% |
この決算のポイント
- 1収益は34.8%増の1兆6,721億円、親会社株主に帰属する中間利益は40.4%増
- 2化学の中間利益は201億円、前年同期から95億円増とセグメント最大の増益
- 3エネルギー・総合インフラは中間利益141億円、前年同期から62億円増
- 4豪州中古車事業の不調などで自動車の中間利益は3,200万円に縮小
- 5年間配当予想は前期比15円増の180円、通期利益予想は1,300億円で据え置き
業績のポイント
双日(双日株式会社)は、2026年4〜9月の収益が前年同期比34.8%増の1兆6,721億円、税引前中間利益が60.0%増の861億円、親会社の所有者に帰属する中間利益が40.4%増の636億円となりました。IFRSの決算短信に営業利益の記載はなく、利益の比較には税引前利益などを用いています。
- 増収の背景: 電力・ガス小売事業の連結子会社化に加え、エネルギーソリューション関連事業の取引が増加しました。
- 化学の伸長: 各種化学品の取引増加や市況上昇が収益を押し上げ、メタノール価格上昇も利益に寄与しました。
- 売上総利益の増加: 前年同期比29.5%増の2,223億円となり、税引前利益の増益を支えました。
- 持分法投資損益の増加: 前年同期の209億円から289億円へ増え、税引前利益を押し上げました。
売上総利益の増加に加え、持分法投資損益が伸びたことで、税引前利益は収益の伸びを上回る増加となりました。一方、子会社の新規取得などで販売費及び一般管理費は増えています。中間利益の1株当たり額は304.48円と前年同期の216.45円から上昇し、利益成長が株主価値にも反映されました。
セグメント別動向
セグメント利益は、化学とエネルギー・総合インフラが大きく伸びた一方、自動車や生活産業・アグリビジネスなどで減益となりました。下のグラフは、各セグメントの親会社株主に帰属する中間利益の前年同期比を示しています。
エネルギー・総合インフラは中間利益141億円となり、前年同期から62億円増加しました。豪州インフラ開発事業の新規連結や、米国エネルギーソリューション関連事業の取引増加、一部事業の売却益が寄与しました。電力・ガス小売事業の子会社化も、同分野の収益拡大につながっています。
化学は中間利益201億円で、前年同期から95億円増加しました。メタノール価格の上昇、日本エイアンドエルの利益貢献、国内外のトレードの堅調さが重なり、今回の増益をけん引しました。
リテール・コンシューマーサービスは中間利益84億円で、前年同期から65億円増加しました。煙草取引やベトナムの業務用食品卸売事業が好調で、一部事業の売却益も加わりました。
自動車は中間利益が3,200万円にとどまりました。中南米の自動車販売事業が利益に貢献したものの、豪州中古車事業の不調や構造改革対象事業の費用が響いています。
航空・交通インフラは中間利益67億円で、前年同期の貨車リース事業の一部売却益の反動などから減益でした。金属・資源・リサイクルは原料炭事業の構造改革に伴う損益などにより中間利益95億円へ増加し、生活産業・アグリビジネスは海外肥料事業の取扱数量減少で中間利益38億円に減りました。セグメント区分は2026年4月に変更されており、前年同期も変更後の区分で比較されています。
- 自動車-95.9%
- 航空・交通-36.0%
- エネルギー+78.1%
- 金属・資源+39.0%
- 化学+90.1%
- 生活・農業-34.6%
- リテール+346.3%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 自動車 | 2,057億円 | 12% | - | - |
| 航空・交通インフラ | 425億円 | 3% | - | - |
| エネルギー・総合インフラ | 4,006億円 | 24% | - | - |
| 金属・資源・リサイクル | 2,548億円 | 15% | - | - |
| 化学 | 3,777億円 | 23% | - | - |
| 生活産業・アグリビジネス | 2,018億円 | 12% | - | - |
| リテール・コンシューマーサービス | 1,607億円 | 10% | - | - |
通期見通し
双日は2027年3月期の親会社株主に帰属する当期利益予想を1,300億円とし、直近予想から変更しませんでした。短信に記載された通期予想と前期実績の比較は次の通りです。前期実績は今回の短信に記載がないため、表では数値を示していません。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上総利益(億円) | 4,400 | 4,400 | 記載なし |
| 税引前利益(億円) | 1,700 | 1,700 | 記載なし |
| 当期純利益(億円) | 1,350 | 1,350 | 記載なし |
| 親会社株主に帰属する当期利益(億円) | 1,300 | 1,300 | 記載なし |
会社は為替の前提を1米ドル=150円としています。中間期の親会社株主利益636億円は通期予想に対して約49%の水準ですが、上期の進捗だけで通期達成を判断することはできません。会社は市場環境や為替の変動によって実績が予想から大きく変わる可能性があると説明しています。
財務状況と資本政策
9月末の総資産は3兆7,964億円となり、2026年3月末から1,484億円増加しました。自己資本比率は30.5%で、前期末の29.9%から上昇しています。
| 項目 | 2027年3月期中間期 | 前年同期・前期末との比較 |
|---|---|---|
| 営業キャッシュ・フロー(億円) | 89 | 前年同期比225億円減 |
| 投資キャッシュ・フロー(億円) | -775 | 前年同期比19億円、支出増 |
| 財務キャッシュ・フロー(億円) | 470 | 前年同期比99億円、収入増 |
| ネット有利子負債(億円) | 11,285 | 前期末比890億円増 |
| 1株当たり年間配当予想(円) | 180 | 前期実績165円から15円増 |
営業キャッシュ・フローは、営業収入や配当収入があった一方、運転資金の増加などで前年同期より減りました。投資キャッシュ・フローは、金融ソリューション事業への出資や航空関連取引での拠出などを背景に支出が続いています。財務面では新規調達などを受けてネット有利子負債が増えましたが、会社は長期調達比率の維持と手元流動性の確保を基本方針に掲げています。
配当は中間90円、期末予想90円で、年間では前期の165円から180円へ増配する計画です。中期経営計画では、基礎的営業キャッシュ・フローの3割程度を株主還元に充て、株主資本DOE4.5%を基本とする累進配当方針を示しています。自己株式取得について、当中間期の取得額は800万円で、大規模な自社株買いの発表はありません。
リスクと課題
増益となった一方、事業の利益はセグメントごとにばらつきがあり、資源価格や為替、運転資金の動きも業績と資金繰りを左右します。会社は内外の市場環境や為替変動などにより、実績が業績見通しから大きく異なる可能性を挙げています。
- 為替・市場環境: 通期予想の為替前提は1米ドル150円です。為替相場や主要市場の経済状況が前提から変われば、収益や利益が変動する可能性があります。
- 事業ごとの業績差: 豪州中古車事業の不調や海外肥料事業の取扱数量減少が減益要因となりました。構造改革対象事業の費用を含め、個別事業の回復が課題です。
- 運転資金と投資負担: 運転資金の増加などで営業キャッシュ・フローは前年同期を下回り、投資支出も続いています。投資回収と資金調達のバランスが今後の財務運営の焦点です。
- 有利子負債の増加: ネット有利子負債は前期末から増加しました。新規投資や事業拡大が利益・キャッシュ創出につながるかを見極める必要があります。
特に、利益成長が進むエネルギーや化学の勢いを保ちながら、弱含む事業の立て直しと投資資金の回収を進められるかが、下期の注目点です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
5,130円
最新終値(2026/10/30)
5,130円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
双日をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて総合商社業界の今
掲載9社双日は総合商社業界の掲載9社中、売上高で7位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +39.2%全業界 +14.9%
- 営業利益率(業界)
- 5.8%
- 双日+25.2%
- 総合商社(業界平均)+39.2%
- 全業界+14.9%
- 会社計画2026年度の会社計画(2社合計)は売上高+2.7%・営業利益+8.0%。営業利益の伸びは全業界の計画(+13.0%)を下回る。
- 決算予定今後30日で7社が決算を発表予定。11月2日の住友商事、11月4日の三菱商事など。






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利益の伸びをけん引したのは化学とエネルギー・総合インフラで、電力・ガス小売の子会社化や事業取引の拡大が数字に表れています。一方、自動車の利益がほぼゼロに近い水準まで縮小しており、増益を全社一様の回復と捉えるのは早計です。
年間配当の増額は株主還元の継続性を示す材料です。ただ、営業キャッシュ・フローが前年同期を下回り、ネット有利子負債も増加しているため、投資が将来の利益と資金回収につながるかを下期以降に確認したい決算です。
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- 2027年3月期 第1四半期
- 2026年3月期 通期
- 2026年3月期 第3四半期




