アドバンテスト、2027年3月期第2四半期決算、過去最高益で通期予想を上方修正

アドバンテストの2027年3月期第2四半期決算を分析すると、AI向け半導体テスタの需要拡大を追い風に、売上高は前年同期比60.5%増、営業利益は96.5%増、純利益は116.8%増となりました。円安や売上構成の改善も利益を押し上げ、中間期として過去最高を更新。好調な進捗を受け、会社は通期予想を上方修正しました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 8,452億円 | +60.5% | 1.9兆円 | 45% |
| 営業利益 | 4,568億円 | +96.5% | 9,670億円 | 47% |
| 純利益 | 3,681億円 | +116.8% | 7,415億円 | 50% |
| 営業利益率 | 54.0% | |||
この決算のポイント
- 1テストシステム事業の売上高は61.2%増、AI向けSoCやデータセンター向けメモリがけん引
- 2投資有価証券の評価益を主因に金融収益570億円を計上、税引前利益の伸びを押し上げ
- 3通期売上高予想を1兆8,630億円に引き上げ、7月時点の予想から1,490億円増額
- 4中間配当は1株49円、前年同期の29円から20円増額。自己株式取得にも1,059億円を支出
業績のポイント
株式会社アドバンテスト(以下、アドバンテスト)の中間期は、売上高8,452億円(前年同期比60.5%増)、営業利益4,568億円(同96.5%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益3,681億円(同116.8%増)でした。いずれも中間期として過去最高で、営業利益の伸びが売上高の伸びを上回りました。
- AI関連半導体: データセンター向けSoCやメモリの生産増加、半導体の複雑化を背景にテスタ需要が拡大
- 売上構成: 増収に加えて売上ミックスが良化し、営業利益の伸びが売上高を上回る要因に
- 為替: 平均為替レートは1ドル160円(前年同期146円)、1ユーロ185円(同166円)で、円安も業績に寄与
- 金融収益: 投資有価証券の評価益を主因に570億円を計上し、税引前利益の増加を後押し
AIを巡る技術競争と社会実装の進展を受け、高性能半導体市場の成長が続いています。アドバンテストは旺盛な受注に対応するため、サプライチェーン全体で生産能力の拡大を進めました。一方、純利益の増加には投資有価証券の評価益も寄与しており、営業面の成長と金融収益による押し上げは分けて見る必要があります。
セグメント別動向
テストシステム事業部門は、売上高7,702億円(前年同期比61.2%増)、セグメント利益4,556億円(同89.4%増)でした。AI関連SoC半導体の生産数量増加と複雑化でSoCテストシステムが伸び、データセンター投資を背景にDRAMや不揮発性メモリ向けの販売も増加しました。売上構成の改善も利益の伸びを支えています。
サービス他部門は、売上高750億円(同53.7%増)、セグメント利益209億円(同584.6%増)でした。製品の設置台数増加に伴うサポート・サービスに加え、高性能SoC向けテスト用インタフェースボードなど消耗品の販売が拡大しました。
サービス他の利益は前年同期比で大きく伸びましたが、前年には事業の一部譲渡による譲渡益25億円が含まれていました。したがって、伸び率だけで判断せず、設置台数の増加に伴う継続的なサービス需要と、前年の一時的な利益の両方を考慮することが重要です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| テストシステム事業部門 | 7,702億円 | 91% | 4,556億円 | 59.1% |
| サービス他部門 | 750億円 | 9% | 209億円 | 27.8% |
通期見通し
アドバンテストは、2027年3月期の通期連結業績予想を上方修正しました。AI関連投資の拡大と中間期までの業績進捗を反映し、売上高、営業利益、当期利益をいずれも引き上げています。
| 指標(億円) | 7月時点の予想 | 今回予想 | 前期実績(概算) | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 17,140 | 18,630 | 約11,284 | +65.1% |
| 営業利益 | 8,460 | 9,670 | 約4,992 | +93.7% |
| 当期利益 | 6,600 | 7,415 | 約3,754 | +97.5% |
前期実績は、短信記載の前年比から逆算した概算です。会社は、AI関連の高性能半導体を中心に半導体市場が高成長となり、特に推論AIの進展でテスタ市場も過去最大規模を更新すると見込んでいます。下期の想定為替レートは1ドル150円、1ユーロ170円で、会社は生産能力の増強とサプライチェーンの強化を続ける方針です。AI需要を踏まえた上方修正ですが、部品の供給が需要に追いつかない状況もあり、計画達成には供給力の確保が欠かせません。
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前年度末比5,603億円増の1兆7,321億円、親会社所有者帰属持分比率は66.1%でした。営業活動で現金を確保する一方、金融商品への投資や自己株式取得も進めています。
| 項目 | 2027年3月期中間期末・中間期 | 比較・前年同期 |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 66.1% | 前年度末比1.8ポイント低下 |
| 営業キャッシュフロー | 3,070億円の収入 | 前年同期は1,399億円の収入 |
| 投資キャッシュフロー | 2,109億円の支出 | 前年同期は171億円の支出 |
| 財務キャッシュフロー | 304億円の支出 | 前年同期は872億円の支出 |
| 中間配当 | 1株49円 | 前年同期は29円 |
| 自己株式の取得 | 1,059億円の支出 | 前年同期は700億円の支出 |
営業キャッシュフローは税引前利益の増加などで拡大しましたが、棚卸資産の増加や法人所得税の支払いが資金を押し下げました。投資キャッシュフローの支出は主に負債性金融商品の取得によるもので、財務活動では自己株式取得と配当の支払いに加え、転換社債型新株予約権付社債の発行で1,000億円を調達しています。年間配当予想は短信で具体額が示されていません。
リスクと課題
AI関連投資が成長を支える一方、外部環境や供給制約、為替の変動が業績の振れにつながる可能性があります。短信では、中東情勢の影響は現時点で限定的との見方を示しています。
- 地政学リスク: 中東情勢などにより物流コストを含む一部費用の増加が見込まれ、長期化すれば採算を圧迫する可能性
- 部品の供給制約: メモリ半導体など主要部品の需要が供給を上回っており、調達難が生産能力の拡大や納期に影響するおそれ
- AI投資の変動: 高性能半導体やデータセンターへの投資が鈍化すれば、テスタ需要や設備投資計画が変わる可能性
- 為替変動: 海外売上比率は99.4%。円安は業績に寄与した一方、為替が想定と異なれば売上高や利益の見通しに影響
アドバンテストは生産能力の増強とサプライチェーンのレジリエンス強化を掲げています。高い需要を受注につなげるだけでなく、部品調達と生産を安定させられるかが、上方修正後の計画を達成するうえでの焦点です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/28)
34,930円
最新終値(2026/10/28)
34,930円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/28更新
アドバンテストをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて半導体装置業界の今
掲載15社アドバンテストは半導体装置業界の掲載15社中、売上高で3位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +39.9%全業界 +17.1%
- 今期計画 営業利益
- +81.7%全業界 +11.4%
- 予想の上方修正
- 4社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 31.3%
- アドバンテスト+57.9%
- 半導体装置(業界平均)+39.9%
- 全業界+17.1%
- 足元の業績今期第1四半期累計は7社合計で売上高+23.2%・営業利益+28.4%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は1社、下回る企業は3社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは4社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのは日本マイクロ(営業利益+155.3%)。





タグ#アドバンテスト#決算#決算分析#四半期決算#半導体テスタ#AI半導体#上方修正#中間配当
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AI向け半導体の生産拡大と複雑化が、テスタ需要を押し上げる構図が明確な決算です。特にテストシステム事業の伸びは、アドバンテストがAI半導体の製造工程で重要な役割を担っていることを示しています。
一方、記録的な利益の一部は投資有価証券の評価益と円安にも支えられています。今後は、営業面の成長が続くかに加え、供給制約を乗り越えて生産を拡大できるか、下期の為替前提を含む通期計画を達成できるかに注目したいところです。
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4期- 2027年3月期 第2四半期(中間期)
- 2027年3月期 第1四半期
- 2026年3月期
- 2026年3月期 第3四半期





