大同特殊鋼、2027年3月期第2四半期決算、増益で通期予想を上方修正

大同特殊鋼の2027年3月期第2四半期決算は、売上収益が前年同期比16.2%増、営業利益と親会社株主に帰属する中間利益がともに41.2%増となりました。AI向け半導体関連や産業機械の受注拡大に加え、子会社化した企業の連結も増収に寄与しました。高機能製品の受注が好調なことから通期利益予想を引き上げ、年間配当予想も56円に増額しています。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,307億円 | +16.2% | 6,800億円 | 49% |
| 営業利益 | 261億円 | +41.2% | 460億円 | 57% |
| 純利益 | 183億円 | +41.2% | 310億円 | 59% |
| 営業利益率 | 7.9% | |||
この決算のポイント
- 1機能材料・磁性材料の営業利益は前年同期比で57億円増え、全社の増益をけん引
- 2エンジニアリングは売上収益が前年同期比14.0%減、営業利益も8億円超減少
- 3通期営業利益予想を460億円に修正、前期実績を9.3%上回る計画
- 4年間配当予想は前期の49円から56円へ増額、中間配当も28円に引き上げ
業績のポイント
大同特殊鋼(正式名称:大同特殊鋼)は、2027年3月期中間期に増収増益となりました。売上収益は3,306億52百万円(前年同期比16.2%増)、営業利益は260億68百万円(同41.2%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益は182億62百万円(同41.2%増)です。
調整後営業利益は前年同期の185億24百万円から231億63百万円に増加しました。会社が示した増減要因を億円単位で整理すると次の通りです。
原燃料価格の上昇が大きな減益要因となった一方、販売価格の上昇や販売数量の増加が利益を押し上げました。自動車関連需要が低迷する中でも、産業機械やAI用途の半導体関連が伸び、子会社の新規連結も売上を押し上げています。なお、営業利益の伸びにはその他の収益の増加も含まれるため、調整後営業利益の増加率は営業利益を下回っています。
- 前年中間期185億円
- 価格・数量+119億円
- 構成・連結+36億円
- 原燃料-82億円
- 固定費-19億円
- 変動費-7億円
- 当中間期232億円
セグメント別動向
セグメントでは、機能材料・磁性材料が増益を大きく伸ばした一方、エンジニアリングは減収減益でした。各事業の売上収益の前年同期比は次の通りです。
| セグメント | 売上収益の前年比 |
|---|---|
| 特殊鋼鋼材 | +20.1% |
| 機能材料・磁性材料 | +25.2% |
| 自動車部品・産業機械部品 | +4.2% |
| エンジニアリング | -14.0% |
| 流通・サービス | +8.2% |
特殊鋼鋼材は売上収益1,200億33百万円、営業利益53億60百万円でした。産業機械向けの需要回復で構造用鋼の数量は増えましたが、鉄スクラップ価格や原油市況の上昇による価格差の負担が利益を圧迫しました。
機能材料・磁性材料は売上収益1,212億33百万円、営業利益120億82百万円と、利益の伸びが目立ちました。半導体関連のステンレス鋼や高合金、プラント向けの受注が増加し、重希土類フリー磁石も中国の輸出規制強化を背景に需要が堅調でした。東北特殊鋼の連結子会社化も業績に寄与しています。
自動車部品・産業機械部品は売上収益616億54百万円、営業利益58億79百万円でした。北米などでエンジンバルブ部品が増え、航空・宇宙、重電、半導体関連の自由鍛造品も受注が堅調です。
エンジニアリングは売上収益122億64百万円、営業利益3億90百万円で、鉄鋼用溶解設備や熱処理炉などの工事進捗が前年同期を下回りました。流通・サービスは売上収益154億66百万円、営業利益23億44百万円と、増収増益を確保しました。
- 特殊鋼鋼材+20.1%
- 機能・磁性+25.2%
- 部品+4.2%
- エンジニア-14.0%
- 流通+8.2%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 特殊鋼鋼材 | 1,200億円 | 36% | 54億円 | 4.5% |
| 機能材料・磁性材料 | 1,212億円 | 37% | 121億円 | 10.0% |
| 自動車部品・産業機械部品 | 617億円 | 19% | 59億円 | 9.5% |
| エンジニアリング | 123億円 | 4% | 4億円 | 3.2% |
| 流通・サービス | 155億円 | 5% | 23億円 | 15.2% |
通期見通し
大同特殊鋼は2027年3月期の通期業績予想を修正し、営業利益を460億円、親会社の所有者に帰属する当期利益を310億円としました。半導体製造装置向けステンレス鋼や自由鍛造品の受注、産業機械向け需要が堅調で、当初計画を上回る利益水準を見込んでいます。
| 項目 | 今回予想 | 前期実績 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上収益(百万円) | 680,000 | 578,129 | +17.6% |
| 営業利益(百万円) | 46,000 | 42,081 | +9.3% |
| 調整後営業利益(百万円) | 45,000 | 39,920 | +12.7% |
| 税引前利益(百万円) | 47,000 | 44,756 | +5.0% |
| 親会社帰属当期利益(百万円) | 31,000 | 32,605 | -4.9% |
会社は業績予想を修正したとしていますが、短信には修正前の予想額が掲載されていないため、表では今回予想と前期実績を比較しました。売上収益と営業利益は前期を上回る計画ですが、親会社帰属当期利益は前期実績を下回る見通しです。原燃料価格や人件費などのコスト上昇を見込みつつ、高機能製品の受注拡大と価格転嫁で利益を確保する方針です。
財務状況と資本政策
9月末の資産合計は9,496億74百万円で、2026年3月末から932億93百万円増加しました。親会社所有者帰属持分比率は52.1%で、前期末の55.2%から低下しています。
| 項目 | 2026年9月末・中間期 | 前期末・前年同期 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 資産合計(百万円) | 949,674 | 856,380 | +93,293 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 52.1% | 55.2% | -3.1ポイント |
| 営業活動CF(百万円) | -9,000 | 37,888 | -46,888 |
| 投資活動CF(百万円) | -21,614 | -25,354 | +3,740 |
| 財務活動CF(百万円) | 37,747 | -15,129 | +52,876 |
営業キャッシュフローは、棚卸資産や営業債権の増加などでマイナスとなりました。成長投資や東北特殊鋼の連結子会社化などを背景に有利子負債も増えており、利益成長と運転資金の管理を両立できるかが焦点です。
配当は中間を1株28円とし、当初予想の24円から4円引き上げました。期末予想も28円とし、年間配当は前期の49円から56円へ増額する計画です。
戦略トピック
大同特殊鋼は、成長市場の需要を取り込むため、半導体、電動車、航空・宇宙、エネルギー分野への投資を進めています。2026年7月に公開買付けを行った東北特殊鋼を連結子会社とし、2026年2月には日本高周波鋼業を完全子会社化しました。
- 半導体関連: 知多第2工場に導入したVAR設備を活用し、半導体製造装置向けステンレス鋼の受注増に対応します。
- 磁石製品: 重希土類フリー磁石などの需要拡大を受け、2026年4月に電動車駆動モータ用の新製造ラインを設置しました。
- 高合金: 航空・宇宙やエネルギー分野の需要を見据え、360億円規模の「高合金プロセス改革プロジェクト」を進めています。
こうした投資は、需要が伸びる高機能材料へ事業構成を移す取り組みです。設備投資額は通期で559億円を計画しており、受注拡大を実際の利益やキャッシュ創出につなげられるかが重要になります。
リスクと課題
高機能製品の受注は追い風ですが、原燃料価格や国際情勢、主要顧客の需要変動が利益を左右します。会社が挙げる主なリスクは次の通りです。
- 原燃料価格の上昇: 鉄スクラップやニッケル、原油・LNGの価格が高止まりすれば、製造コストを押し上げます。価格転嫁が遅れれば利益率の低下につながります。
- 自動車需要の低迷: 中国やASEANを中心に日系自動車メーカーのシェアが低迷しており、自動車向け鋼材や部品の需要が弱含む可能性があります。
- 地政学・通商政策: 中東やウクライナ情勢、米国の関税政策、各国の輸出管理が、サプライチェーンや世界の生産活動に影響するおそれがあります。
- 需要の振れと在庫負担: AI向け半導体関連の受注拡大には期待がかかる一方、顧客の在庫調整や需要の変化で受注が変動する可能性があります。棚卸資産の増加が続けば資金負担も重くなります。
- 大型投資の回収: 高合金などへの設備投資は将来の成長を狙うものですが、需要が想定に届かなければ稼働率や投資採算が課題となります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
2,166.5円
最新終値(2026/10/29)
2,166.5円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
大同特殊鋼をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて鉄鋼業界の今
掲載15社大同特殊鋼は鉄鋼業界の掲載15社中、売上高で4位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +7.9%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- +72.3%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 6社下方 3社
- 営業利益率(業界)
- 3.5%
- 大同特殊鋼+46.1%
- 鉄鋼(業界平均)+7.9%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は11社合計で売上高+22.1%・営業利益+26.8%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は1社、下回る企業は5社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは6社、下方修正は3社。修正幅が最も大きいのは東京製鐵(営業利益+125.0%)。




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利益の伸びを支えたのは、景気全体の一様な回復というより、半導体・産業機械・航空宇宙など用途のはっきりした高機能製品です。自動車需要が弱い中でも成長分野へ販売を広げられている点は、事業ポートフォリオの変化を示す前向きな材料です。
一方、営業キャッシュフローはマイナスに転じ、棚卸資産も増えています。原材料高や生産対応に伴う運転資金の増加が背景にあるものの、受注が売上と現金回収に結び付くかを今後確認したいところです。成長投資を利益とキャッシュに変えられるかが、通期業績を見るうえでの焦点になります。
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- 2026年3月期 通期
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