TDK、2027年3月期第2四半期決算(中間決算)、AI需要で通期予想を上方修正

TDKの2027年3月期第2四半期決算を分析すると、2026年4~9月期はAIデータセンター向け需要や円安を追い風に、売上高が前年同期比31.9%増、営業利益が41.0%増、親会社株主に帰属する中間利益が58.4%増となりました。会社は業績が期初想定を上回ったとして通期予想を上方修正し、年間配当予想も50円へ引き上げました。スマートフォン関連の生産減を補うAI関連製品の伸びが目立ちます。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1.6兆円 | +31.9% | 3.0兆円 | 51% |
| 営業利益 | 2,082億円 | +41.0% | 3,650億円 | 57% |
| 純利益 | 1,764億円 | +58.4% | 2,800億円 | 63% |
| 営業利益率 | 13.3% | |||
この決算のポイント
- 1受動部品と磁気応用製品のセグメント利益は、それぞれ前年同期比167.9%増、178.1%増
- 2通期営業利益予想を4月時点の2950億円から3650億円へ、23.7%上方修正
- 3年間配当予想は前期実績の36円から50円へ増額し、中間配当も25円に引き上げ
- 4営業キャッシュフローは前年同期の1894億円から786億円に減少、運転資本の増加が影響
- 5海外売上高比率は前年同期の92.7%から92.8%へ上昇し、中国など全地域で売上増
業績のポイント
TDK(TDK)は2026年4~9月期に増収増益となり、売上高は前年同期比31.9%増、営業利益は41.0%増、親会社の所有者に帰属する中間利益は58.4%増でした。営業利益率も前年同期の12.5%から13.3%に上昇し、利益の伸びが売上の伸びを上回りました。
主な増益・増収要因は次の通りです。
- 為替: 対米ドル、対ユーロで前年同期より円安となり、為替変動の影響は売上高を約1344億円、営業利益を約199億円押し上げました。
- AIデータセンター: 需要が堅調で、受動部品やニアラインHDD用ヘッド、サスペンションの販売が伸びました。
- 新製品・ICT関連: スマートフォンなどの生産は減少した一方、新モデル向けの二次電池やセンサの販売が拡大しました。
- 収益改善: 合理化に加え、前期に実施した構造改革の効果が利益を支えました。
AI関連と円安が利益成長を後押しした一方、スマートフォンなどICT関連製品の生産減やメモリ価格の高騰は逆風でした。市場環境が厳しい分野を、データセンター向けの需要や新製品、コスト改善で補った形です。売上高の増加だけでなく営業利益率も改善しており、成長分野の拡大が収益性につながった点が今回の決算の特徴です。
セグメント別動向
4つの報告セグメントはすべて増収増益でした。売上高の伸びが大きい磁気応用製品に加え、主力のエナジー応用製品も売上規模を拡大しています。
| セグメント | 売上高の前年比 | セグメント利益の増減(百万円) |
|---|---|---|
| 受動部品 | +25.3% | +24,838 |
| センサ応用製品 | +18.3% | +6,168 |
| 磁気応用製品 | +52.8% | +21,205 |
| エナジー応用製品 | +33.9% | +12,478 |
| その他 | +17.1% | +3,251 |
エナジー応用製品は二次電池を中心にICT市場向け販売が増え、全社売上高の過半を占める主力事業として増収を確保しました。ただし、第2四半期単独では売上高が前年同期比27.4%増となる一方、セグメント利益は1.9%減で、利益の伸びは一服しています。
磁気応用製品はAIデータセンター向け需要を背景に、HDD用ヘッドとサスペンションの販売が大幅に増加しました。受動部品は産業機器向けコンデンサなどに加え、データセンター向け需要が寄与し、利益の伸びが売上の伸びを大きく上回りました。センサ応用製品も産業機器・ICT市場向け販売が増え、その他事業は赤字幅が縮小しました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 受動部品 | 3,580億円 | 23% | 396億円 | 11.1% |
| センサ応用製品 | 1,277億円 | 8% | 183億円 | 14.3% |
| 磁気応用製品 | 1,769億円 | 11% | 331億円 | 18.7% |
| エナジー応用製品 | 8,677億円 | 56% | 1,501億円 | 17.3% |
| その他 | 303億円 | 2% | -7億円 | -2.4% |
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前期末比6.1%増の4兆6865億円、親会社所有者帰属持分比率は49.7%でした。利益の積み上がりで自己資本が増えた一方、営業債権や有形固定資産も増加しています。
- 資本の厚み: 親会社所有者帰属持分比率は前期末から0.2ポイント上昇し、利益剰余金は前期末比1369億円増となりました。
- 営業キャッシュフロー: 786億円の収入で、前年同期の1894億円から減少しました。会社は主因を運転資本の増加と説明しています。
- 投資・財務キャッシュフロー: 投資活動は1016億円の支出、財務活動は326億円の収入でした。固定資産の取得額は前年同期より増えています。
- 配当: 中間配当は前期の16円から25円に増額し、年間予想は前期実績の36円から50円へ引き上げました。
利益成長を株主還元にも反映する判断です。中期経営計画では配当性向35%を目安としており、事業への再投資とROE、DOEなどを考慮して配当を決める方針を示しています。営業キャッシュフローが利益の伸びに比べて弱く、売掛債権など運転資本の増加が続くかは、資金創出力をみるうえでの確認点です。
通期見通し
TDKは2027年3月期の業績予想を上方修正しました。中間期の実績が2026年4月時点の想定を上回り、AIデータセンター向け需要やICT市場での新モデル向け販売が堅調に推移したことを反映しています。
| 項目(百万円) | 2026年10月予想 | 2026年4月予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,050,000 | 2,580,000 | 2,504,820 |
| 営業利益 | 365,000 | 295,000 | 272,415 |
| 税引前利益 | 370,000 | 300,000 | 276,810 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 280,000 | 225,000 | 195,663 |
営業利益予想の上方修正幅は前回比700億円で、前期実績に対しては34.0%増を見込みます。通期売上高予想は前回から18.2%増額され、前期比では21.8%増の計画です。一方、構造改革などの一時費用は期初見通しの約60億円から約110億円に増やしており、費用を織り込んだうえでの上方修正となりました。
第3四半期以降の為替前提は1ドル155円、1ユーロ180円です。固定資産の取得見通しも前回の3700億円から4000億円へ引き上げており、需要拡大に向けた投資も増やす計画です。
研究開発・成長投資
中間期の研究開発費は前年同期比15.0%増の1538億円、固定資産の取得は1664億円で前年同期比47.6%増でした。通期の研究開発費予想は3100億円で前回から据え置く一方、固定資産取得予想は前回より300億円増額しています。
- 研究開発: AIデータセンターやICT、自動車など幅広い市場を支える製品開発を継続します。
- 設備投資: 通期の取得予想を前期実績の2986億円から4000億円へ増やしました。
- 事業ポートフォリオ: 構造改革費用などを通期約110億円見込み、収益力向上と事業の入れ替えを進めます。
研究開発費は高水準を保ちつつ、設備投資を上積みする計画です。旺盛なAIデータセンター需要を取り込みながら、ICT関連や自動車の電動化・自動運転化といった中長期市場にも対応する構えですが、投資の回収と稼働率の向上が今後の焦点になります。
リスクと課題
業績はAIデータセンター向け需要や為替の追い風を受けていますが、電子部品市場は需要変動が大きく、会社も将来の実績が予想と異なる可能性を挙げています。
- ICT需要の変動: スマートフォンなどの生産はメモリ需給の逼迫や価格高騰の影響を受けています。新モデル需要が弱まれば、二次電池やセンサなどの販売に影響する可能性があります。
- AIデータセンター需要への依存: ニアラインHDDや受動部品の販売が伸びていますが、設備投資の減速や需要の変化があれば、成長を支える製品群の販売に波及します。
- 為替・地政学リスク: 中東情勢などで世界経済が不安定な状況が続いています。円高への転換は、円換算の売上高や利益を押し下げる要因になり得ます。
- 運転資本と投資負担: 営業債権の増加などで営業キャッシュフローが前年同期を下回りました。設備投資を拡大する中、キャッシュ創出の回復が課題です。
需要の持続性とキャッシュ回収が焦点です。上方修正の背景となった市場環境が続くかに加え、売上拡大を現金収入につなげられるかが、通期計画の達成度を見極めるポイントになります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
2,572円
最新終値(2026/10/30)
2,572円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
TDKをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電機業界の今
掲載59社TDKは電機業界の掲載59社中、売上高で9位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +15.4%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +22.9%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 23社下方 3社
- 営業利益率(業界)
- 10.6%
- TDK−3.8%
- 電機(業界平均)+15.4%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は25社合計で売上高+9.2%・営業利益+57.8%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は13社、下回る企業は21社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは23社、下方修正は3社。修正幅が最も大きいのは村田製作所(営業利益+36.8%)。






タグ#TDK#決算#決算分析#四半期決算#AIデータセンター#業績上方修正#増配#電子部品#HDD
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AIデータセンター向け需要が、HDD部品だけでなく受動部品の利益成長にもつながっている点は、事業の広がりを示す好材料です。全セグメントが増収増益となり、構造改革の効果も出ているため、単なる円安頼みではない収益改善が見えます。
一方、円安による営業利益押し上げ効果は約199億円と大きく、為替前提が変われば利益計画への影響も無視できません。営業キャッシュフローが前年同期から減少したため、通期の増益予想だけでなく、運転資本の管理と設備投資の成果を合わせて追いたい決算です。
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