アルプスアルパイン、2027年3月期第2四半期決算、増収も品質損失で純利益78%減

アルプスアルパインの2027年3月期第2四半期決算を分析すると、車載・モバイル向けの販売が伸び、売上高は前年同期比7.4%増の5,429億円でした。一方、製品構成の変化や車載用トルクセンサーの品質問題が響き、営業利益は37.8%減、純利益は77.8%減。増収の一方で利益が大きく落ち込む決算となり、通期予想は据え置きました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,430億円 | +7.4% | 1.0兆円 | 52% |
| 営業利益 | 132億円 | -37.8% | 485億円 | 27% |
| 純利益 | 30億円 | -77.8% | 300億円 | 10% |
| 営業利益率 | 2.4% | |||
この決算のポイント
- 1モビリティ事業は売上高が8.9%増えた一方、営業損益は57億円の黒字から15億円の赤字に転落
- 2センサー・コミュニケーション事業は売上高10.2%増、営業損失は29億円から12億円へ縮小
- 3車載用トルクセンサーのリコールに伴う製品補償損失89億円を特別損失に計上
- 42027年3月期の業績予想は据え置き、年間配当予想は前期比2円増の64円
- 5営業キャッシュフローは199億円の支出、売上債権や棚卸資産の増加が資金を圧迫
業績のポイント
アルプスアルパイン(正式名称もアルプスアルパイン)の2027年3月期中間期は、売上高が前年同期比7.4%増の5,429億円となった一方、営業利益は37.8%減の132億円、親会社株主に帰属する中間純利益は77.8%減の29億円でした。経常利益も44.1%減の138億円で、1株当たり中間純利益は65.19円から15.20円に減少しました。
- 売上の押し上げ: 車載市場では日本・北米の自動車メーカー向け販売が堅調で、モバイル市場向けも前年同期を上回りました。
- 利益率の低下: コンポーネント事業では製品構成の変化に伴う変動費率の上昇が利益を押し下げ、モビリティ事業はメモリー価格上昇による原価増で営業赤字に転じました。
- 純利益への影響: トルクセンサーの品質問題に伴う製品補償損失を計上しました。投資有価証券売却益もありましたが、損失を補いきれませんでした。
増収にもかかわらず、売上総利益は前年同期を下回り、販売費及び一般管理費も増加しました。特に純利益の落ち込みには、通常の営業活動に加えて車載製品の品質問題による特別損失が影響しており、販売の伸びを利益に結び付ける力が課題です。
セグメント別動向
売上高は3つの主要事業すべてで前年同期を上回りましたが、利益面では明暗が分かれました。最大のモビリティ事業が営業赤字に転じた一方、センサー・コミュニケーション事業は赤字幅を縮小しました。
コンポーネント事業は売上高が前年同期比4.5%増の1,976億円、営業利益が12.2%減の157億円でした。車載製品が堅調で、モバイル向け製品では為替影響も売上増に寄与しましたが、製品構成の変化で変動費率が上昇し、利益は減少しました。
センサー・コミュニケーション事業は売上高が10.2%増の464億円、営業損失は前年同期の29億円から12億円へ縮小しました。小型フォトプリンターや、データセンター需要を背景とする民生向けガラスレンズが伸びたほか、大型新製品の開発終息に伴って開発費が減少しました。
モビリティ事業は売上高が8.9%増の2,880億円となりましたが、営業損益は前年同期の57億円の黒字から15億円の赤字に転じました。日本・北米の主要顧客向け販売は伸びたものの、データセンター投資の拡大を背景としたメモリー価格上昇が原価を押し上げました。
- その他: 売上高は108億円、営業利益は4億円でした。前年同期に比べて売上高は増加した一方、営業利益は減少しています。
売上の中心であるモビリティ事業の採算悪化が、連結営業利益を押し下げる構図です。販売の回復だけでなく、メモリーなど部材価格の上昇を吸収できるか、また品質問題の再発防止と補償負担の管理が今後の焦点になります。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| コンポーネント事業 | 1,977億円 | 36% | 157億円 | 7.9% |
| センサー・コミュニケーション事業 | 464億円 | 9% | -13億円 | -2.8% |
| モビリティ事業 | 2,881億円 | 53% | -16億円 | -0.5% |
| その他 | 108億円 | 2% | 4億円 | 3.6% |
財務状況と資本政策
2026年9月末の総資産は前期末比144億円増の7,975億円、自己資本比率は前期末の57.1%から54.8%に低下しました。営業活動によるキャッシュフローが支出となり、現金及び現金同等物も前期末から664億円減少しています。
| 項目 | 2027年3月期中間期・9月末 | 比較・前年差 |
|---|---|---|
| 総資産 | 7,975億円 | 前期末比 +144億円 |
| 自己資本比率 | 54.8% | 前期末比 -2.3ポイント |
| 営業キャッシュフロー | -199億円 | 前年同期は +343億円 |
| 投資キャッシュフロー | -296億円 | 前年同期は -270億円 |
| 現金及び現金同等物 | 870億円 | 前期末比 -664億円 |
- 株主還元: 中間配当は1株当たり32円と、前年同期の30円から2円増えました。年間配当予想は64円で、前期実績の62円を上回ります。
- 自己株式取得: 中間期に自己株式の取得で78億円を支出し、取得株数は358万2,300株でした。
営業キャッシュフローの赤字は、売上債権と棚卸資産の増加が主因です。設備投資などによる投資支出も続くため、利益の回復と運転資金の管理が現金残高を安定させるうえで重要です。自己資本比率はなお54.8%を保っていますが、配当増額と自己株式取得を続けるなか、資金創出力も確認したいところです。
通期見通し
2027年3月期の連結業績予想は、2026年4月30日に公表した内容から変更していません。売上高は前期比2.5%増、営業利益は15.4%増を見込む一方、経常利益は7.4%減の予想です。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 10,450億円 | 10,450億円 | +2.5% |
| 営業利益 | 485億円 | 485億円 | +15.4% |
| 経常利益 | 455億円 | 455億円 | -7.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 300億円 | 300億円 | +11.6% |
中間期の実績は売上高が通期予想の約52%に達した一方、営業利益は約27%、純利益は約10%にとどまりました。通期予想の達成には下期の利益回復が欠かせず、部材価格上昇の影響を抑え、モビリティ事業の黒字化につなげられるかがポイントです。
リスクと課題
販売は堅調な市場もあるものの、利益やキャッシュフローにはコスト上昇と運転資金の負担が表れています。会社が示した事業環境や今回の決算に表れた損失を踏まえると、次の点に注意が必要です。
- 品質問題と補償負担: 車載用トルクセンサーの品質問題でリコールが実施され、製品補償損失を計上しました。再発防止や顧客対応が長引けば、追加費用や取引への影響につながる可能性があります。
- 部材価格の上昇: データセンター投資の拡大を背景にメモリー価格が上がり、モビリティ事業の原価を押し上げました。価格転嫁や調達改善が追いつかなければ、販売増が利益につながりにくくなります。
- 地政学・通商政策: 中東情勢の緊迫化に伴う原材料価格や物流費の上昇、各国の通商政策を巡る不透明感が続いています。供給網やコストへの影響が拡大するリスクがあります。
- 運転資金と現金残高: 売上債権と棚卸資産の増加で営業キャッシュフローが前年同期の黒字から赤字になりました。事業拡大に伴う在庫・回収管理が遅れれば、投資や株主還元に充てる資金を圧迫しかねません。
- 地域ごとの需要差: 中国では内需の停滞が続く一方、北米は個人消費やAI関連投資が景気を支えました。地域による需要の差が大きくなると、製品や顧客の構成によって業績が変動します。
中間期は売上が伸びても営業利益が減り、品質対応と部材コストが利益を左右しました。通期予想を据え置いた会社の見通しに対し、下期の採算改善と現金創出が実際に進むかを確認する必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
2,085円
最新終値(2026/10/30)
2,085円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
アルプスアルパインをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電機業界の今
掲載59社アルプスアルパインは電機業界の掲載59社中、売上高で17位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +15.4%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +22.9%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 23社下方 3社
- 営業利益率(業界)
- 10.6%
- アルプスアルパイン+7.1%
- 電機(業界平均)+15.4%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は25社合計で売上高+9.2%・営業利益+57.8%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は13社、下回る企業は21社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは23社、下方修正は3社。修正幅が最も大きいのは村田製作所(営業利益+36.8%)。






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売上の伸びだけを見ると堅調ですが、最大事業のモビリティが赤字に転じたことで、成長が利益に結び付いていない点は軽視できません。特に品質問題による補償損失は、今回の純利益を大きく押し下げただけでなく、顧客との信頼や今後の品質管理体制も問う材料です。
一方、センサー・コミュニケーション事業では赤字幅が縮まり、車載やデータセンター関連の需要も底堅さを示しています。下期に販売増を採算改善へつなげられるかが、通期予想の達成と投資家評価を左右するでしょう。
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- 2027年3月期 第1四半期
- 2026年3月期 通期
- 2026年3月期 第3四半期





